数学A / 確率
反復試行で最も確からしい回数
問題
1個のサイコロを10回投げる。1の目が出る回数を とするとき、確率 が最大となる の値を求めよ。
ヒントを見る
を1つずつ計算するのは大変。隣どうしの比 を作り、それが より大きい間は増え、 を下回ると減る — 増加から減少に変わる が最大。
解答・解説
方針
各 について を全部計算して比べるのは大変だ。
そこで、となり合う確率の比 を考える。この比が1より大きいうちは確率がふえ続け、1より小さくなったところで減り始める。その境目が最大だ。
反復試行で最大の確率を探すときは、この『比を1と比べる』やり方が便利だ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 各 について を11個ぜんぶ計算して比べるのは大変だ。
そこで、となり合う確率の比 を見る。比が1より大きいうちは増え続け、1を下回った所で減り始める。その境目が最大だ。
「値そのもの」でなく「増減の切り替わり」を追う。最大値探しの発想としては、2次関数の頂点探しと同じ心である。
だ。となり合う確率の比をとると、 の部分と累乗の部分が整理できて
この比が1より大きければ (ふえる)、1より小さければ減る。比と1の大小を調べる。
つまり のときだけ比が1より大きく()、 では比が1より小さい( 以降ずっと減る)。だから確率は で最大になる。
まとめ:感覚でも、1の目が出る回数は平均で 回なので、いちばん出やすい回数がその近くの1回、というのは自然だ。
発展 — 一歩先へ。 この分布(二項分布)の山の頂上は、期待値 のすぐ近くに来る。今日の と最頻値 の関係が、その実例だ。数学Bで期待値・分散を学ぶと、山の位置と幅が式で読めるようになる。
「隣どうしの比で増減を判定する」手法は、数列の最大項探しの標準技術でもある。確率に限らず、 と1の比較はあらゆる場面で使える。
別解
あたりを付けてから、2つの比較だけで決める省エネルートもある。
回数の「平均」は 回。最大の候補は、この近くの か に絞られるはずだ。
そこで両隣とだけ比べる。
- 。だから 。
- 。だから 。
山は で頂上と確定する。
「期待値の近くに最頻値がある」という感覚で候補を絞り、比較は最小限に。分布の形(単峰の山)を信じた分だけ、計算が軽くなる。
ポイント
- 最大の確率は、となり合う比 を1と比べる
- 比 > 1 ならふえる、比 < 1 なら減る。境目が最大
- 平均 の近くに最大がある、と見当をつけられる
よくある間違い
- すべての を計算しようとして、計算量に埋もれる
- 比の不等式で分母を払うとき、向きを間違える
- 比がちょうど1になる場合の検分を忘れる(そのときは最大が2つ並ぶ)