数学A / 確率

表の枚数が3の倍数になる確率(1の3乗根の利用)

実戦編反復試行二項係数1の3乗根複素数単元横断

問題

枚の硬貨を同時に投げる。表が出た枚数が の倍数( も含む)になる確率 を、 を用いて表せ。

ヒントを見る

の倍数のときだけ 、他は になる“ふるい”を、1の3乗根 で作れる。二項定理を で使い分けて足し合わせると、狙った和が取り出せる。

解答・解説

方針

求める確率は 。1の3乗根 を使った“ の倍数だけ拾うふるい” で二項和を取り出す。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 求める確率は 。つまり「 の倍数の だけ」を選んで足したい。

ここで1の3乗根 が効く。 は、 の倍数なら 、そうでなければ 。倍数だけを通す“ふるい”になっている。

このふるいを二項和にかけると、 で評価した和に化ける。離散的な「 で割った余り」を、複素数の道具で選び出すわけだ。

定理1の3乗根 について 。ゆえに ( の倍数のとき)、(それ以外)

① ふるいで和を表す。 二項定理 で使うと を極形式にする。 より 。同様に

定理ド・モアブルの定理

よって

③ 確率にまとめる。 とあわせて で割って (例えば なら 。実際 表 枚と 枚で と一致する。)

まとめ 『余りで場合を選んで足す』和は、1の 乗根のふるい で取り出せる。複素数(単位根・ド・モアブル)が、二項係数という離散の和を鮮やかに閉じた式にする。確率と複素数の意外な融合。

発展 — 一歩先へ。 同じふるいは の倍数にも使える。1の 乗根 が「 の倍数だけ通す」フィルタになり、 で試すと の項が現れる。

1の3乗根 で二項和をふるいにかけ、

別解

別解 — 複素数を使わず、余り別の個数の漸化式で(苦手な人向け)。 表の枚数を で割った余りが になる場合の数を、それぞれ とおく()。

枚目が裏なら余りはそのまま、表なら余りが 進む。だから

を追うと 。ここから が出て、 の繰り返し(周期 )になる。

だから、 に周期 の小さな補正がつくだけ。この補正 の値 はちょうど と一致し、本解の式に戻る。複素数のふるいは、この周期 の振動をひとことで書き切る道具だったわけだ。

ポイント

  • の倍数の項だけ足す』和は、1の3乗根のふるい で取り出す。
  • 二項定理を で使い、 の和に帰着させる。
  • 、ド・モアブルで にまとめる。

よくある間違い

  • ふるい が「倍数で 、他で 」になることを確認せずに使い、係数 を落とす。
  • の極形式を誤る。 は絶対値 ・偏角 で、 自身(偏角 )と混同しやすい。
  • 答えを出したあと小さい で検算しない。 なら表 枚か 枚で 。ここが合わなければ偏角か係数のミスだ。