数学A / 確率

サイコロの和がちょうど n になる確率の極限(確率漸化式と保存量)

実戦編確率漸化式極限反復試行数列単元横断

問題

1個のサイコロを繰り返し振り、出た目を順に足していく。ある段階での和がちょうど になることがある確率を とする。 を求めよ。

ヒントを見る

和がちょうど になるのは、直前に のいずれかを通り、最後にその差の目が出たとき。漸化式の重みを とつけて足すと、 によらない量が現れる。

解答・解説

方針

『和がちょうど を通る』確率の漸化式を、 に到達する直前の値で場合分けして立てる。極限は漸化式のもつ重み付き保存量から求める。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 和が「ちょうど 」を通るかどうかは、直前にどの値を通ったかで決まる。直前の和は のどれかで、そこから対応する目が出れば に乗る。

だから は過去 項の平均、という漸化式になる。

極限の見当もつけておこう。 歩で平均 進むから、特定の整数を踏む割合はその逆数 くらいのはず。この直感を、漸化式がもつ“重み付きの保存量”で厳密に裏づける。

① 漸化式を立てる。 和がちょうど を通るには、直前に を通り、次に目 が出ればよい(各目 )。よって ② 保存量を見つける。 とおくと、 を使って よって によらず一定で、

重要重み をつけた和 は漸化式のもとで不変で、つねに

③ 極限。 は収束する(。漸化式の特性方程式で 以外の解は絶対値が 未満だから)。 とすると、 個の項がすべて に近づき したがって

まとめ 確率を『直前の状態からの推移』とみて過去6項の平均の漸化式に翻訳。重み の和が不変(=6)という保存量を見つけると、極限が から と一発で決まる。 歩あたり平均 進むことの逆数、という更新の直感とも一致する。

発展 — 一歩先へ。 歩の平均が の試行(目の出方が偏っていてもよい)でも、同じ議論で となることが知られている(更新定理)。サイコロなら 。「よく進むものほど、特定の点は踏みにくい」という関係が一般に成り立つ。

。重み付き和 が一定 で、極限は

別解

別解 — 「踏んだ整数の個数」で極限を読む(得意な人向けの高い視点)。 から までの整数のうち、和が途中で踏むものの個数を数えてみる。

和は 投ごとに新しい値を 個ずつ刻む。だから 以下で踏む個数は「和が を超えるまでの投球数」にほぼ等しい。 投で平均 進むから、この投球数はおよそ

一方、踏む個数の期待値はちょうど である( を踏むごとに を数える)。よって

つまり の“平均”は に向かう。本解のように 自身の収束を認めれば、その極限は平均の極限と一致して と決まる。保存量 は、この平均の議論を 本の等式に圧縮したものと見ることもできる。

ポイント

  • 『ちょうど を通る』確率は、直前の値 で場合分けして漸化式に。
  • 重み の和 が不変(=6)という保存量が急所。
  • より極限は (平均 の逆数)。

よくある間違い

  • を漸化式にそのまま入れると となって何も決まらず、手が止まる(漸化式だけでは値は出ない。保存量で決める)。
  • 特性方程式の 次方程式を解こうとして時間を失う。必要なのは『 以外の解は絶対値が 未満』という事実だけで、解そのものは要らない。
  • 初期条件 を明示せず、保存量の値 が決められない。