数学A / 確率

くじ引きの公平性の証明

★★★★ 難関論証順列

問題

本のくじの中に当たりが 本()入っている。 人が順に 本ずつくじを引き、引いたくじは戻さない。 番目()に引く人が当たりを引く確率は、 によらず であることを示せ。

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人ずつ順に計算していては一般の で詰む。くじ引き全体を『 本のくじの並べ方』と同一視できるか — 番目の位置に当たりが来る並べ方の割合は?

解答・解説

方針

1人ずつ乗法定理で追うと が一般のままでは複雑になる。くじ引きの結果全体を「 本のくじを 列に並べる並べ方」と同一視するのが急所。どの並べ方も同様に確からしく、 番目の位置に当たりが来る並べ方を数えればよい。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 人ずつ乗法定理で追うと、 番目では「 人が引いた後」の場合分けが爆発する。もっと賢い見方が要る。

急所は、くじ引きの結果全体を「 本のくじを 列に並べる並べ方」と同一視すること。 番目の人が引くのは、並びの 番目のくじだ。

どの並べ方も同様に確からしい( 通り)。 番目の位置に当たりが来る並べ方は、当たり 本のどれかを 番目に置き( 通り)、残り 本を並べる( 通り)。確率は によらない。

重要非復元のくじ引きは「くじを 列に並べて左から順に取る」ことと同じ(結果の対応が )

① くじ引きを並べ方と同一視する。 本のくじをすべて区別して考える。 人が順に引いた結果は、「 番目が引いたくじ、 番目が引いたくじ、…」という 本の並びそのものだから、起こり得る結果の全体は 本の順列 通りであり、無作為に引くのだからこれらはすべて同様に確からしい。

k 番目
n=6, a=2 の例。くじ引きの結果全体=6本の並べ方。k番目(図では3番目)の位置に当たり(●)が来る並べ方の割合を数えればよい

番目が当たりになる並べ方を数える。 番目の位置に置く当たりくじの選び方が 通り。残る か所には残る 本を自由に並べてよいから 通り。よって

③ 確率を計算する。

これは を含まない式であり、 によらず一定である。(証明終)

まとめ:「くじ引きは順番によらず公平」の背景は、結果全体が順列として対称にできていること — 番目の位置だけ特別扱いする理由が構造のどこにもない、と言い換えてもよい。個別の で乗法定理の計算(たとえば 番目なら )を検算に使うと、この一般論のありがたみがよく分かる。

発展 — 一歩先へ。 くじ引きが順番によらず公平なのは「対称性」の帰結。どのくじも、どの位置に来る確率が等しい。この“交換可能性”は、標本抽出やトランプの配りなど、多くの確率モデルの土台。「 番目に引くのが有利/不利」という直感が誤りであることを、対称性が保証している。

くじ引き全体を 本の並べ方と同一視すると、 番目が当たりの並べ方は 通りで、確率は (証明は解答参照)

別解

別解 — 特定の 本のくじに注目する(対称性のルート)。 当たりくじのうち特定の 本に印をつけて追う。この印つきくじが「 番目に引かれる」確率を考える。

本のくじが 個の位置に等確率で並ぶなら、印つきくじがどの位置に来るかも等確率。だから印つきくじが 番目に来る確率は、どの でも

当たりは 本ある。 番目が当たり 本のうちどれかが 番目に来る。 本の位置は互いに排反(同じ位置に 本は来ない)だから、確率を足して

並べ方を数える(本解)のと同じ だが、「 本のくじはどの位置にも等確率」という対称性から、 によらないことが直感的に分かる。くじ引きは引く順番によらず公平、という有名な事実の本質は、この“位置の対称性”にある。

ポイント

  • 非復元くじ引き 本の並べ方 通り(同様に確からしい)。
  • 番目が当たり: 通り — がどこでも同じ数。

よくある間違い

  • 人ずつ乗法定理で追い、 が一般のまま場合分けが処理できなくなる(並べ方に同一視するのが急所)。
  • 番目の位置の当たりの並べ方を でなく別の数にする。
  • 結果が によらないこと(公平性)を示さず、特定の だけ計算して終える。