数学A / 確率

和事象・排反事象の確率

★ 基礎和事象排反

問題

1 から 10 までの番号が書かれた10枚のカードから1枚を引く。

(1) 偶数または3の倍数のカードを引く確率を求めよ。

(2) 3 以下または 8 以上のカードを引く確率を求めよ。

ヒントを見る

(1)『偶数』と『 の倍数』は重なり()があるので、重なりを1回引く。(2)『 以下』と『 以上』は同時には起きない(排反)ので、そのまま足せる。重なるかどうかを先に確認。

解答・解説

方針

「AまたはB」の確率は、 で求める。足して、重なりを引く形だ。

ただし、AとBが同時に起きない(排反)なら、重なりがないので引き算はいらず、そのまま足すだけでよい。

(1)は共通部分がある(6は偶数かつ3の倍数)ので引き算が必要。(2)は共通部分がない(排反)ので足すだけ。この違いを見抜くのがねらいだ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「または」の確率は、重なりがあるかないかで式が変わる。

重なりを引く — これは場合の数の個数定理と同じ形だ。

(1)の「偶数」と「 の倍数」は、 が両方に入っている。だから重なりを引かないと を二重に数えてしまう。

(2)の「 以下」と「 以上」は、同時には起こりえない(そんなカードはない)。こういうのを排反という。排反なら重なりは なので、そのまま足せる

まず「重なりはあるか?」と問う — これが「または」の問題の第一手である。

公式和事象 (重なりを引く)

(1) 偶数のカードは の5枚、3の倍数は の3枚。両方に入るのは6の1枚。足して重なりを引くと

6を2回数えないよう、共通の を引くのがポイント。

(2) 『3以下』は の3枚、『8以上』は の3枚。この2つは同時に起きない(共通のカードがない)ので排反だ。排反なら重なりがないので、そのまま足す。

A(偶数)B(3の倍数)U(1〜10)4123
1〜10:偶数5・3の倍数3・6の倍数1。または=5+3−1=7 → 確率 7/10

まとめ:『または』を見たら、まず「2つが同時に起こることがあるか」を確かめよう。あるなら重なりを引く、ない(排反)なら足すだけ、と手順が分かれる。

発展 — 一歩先へ。 「排反」と「独立」は、名前が似ているうえに両方とも つの事象の関係を語るので、混同されやすい。まったく別の概念である。

  • 排反: 同時には起こらない。 枚のカードが「 以下」かつ「 以上」ということはない
  • 独立: 一方が起きても他方の確率が変わらない。。サイコロを 回振るとき、 回目の結果は 回目に影響しない

むしろ排反な 事象(どちらも確率が正)は、決して独立ではない。 が起きたと分かった瞬間、 の確率は に落ちる — これ以上ないほど強く影響しているからだ。

「排反 足す」「独立 掛ける」 と覚えておくとよい。 つの用語は、確率の 大演算(和と積)に対応している。

似た顔をした つの式が、まるで違う状況を語っている。用語の定義に立ち返って区別する — 確率で混乱しないための、いちばんの護身術である。

(1) (2)

別解

カードが 枚しかないのだから、公式を使わず、該当するカードを指さして数えるのがいちばん確実だ。そのうえで「余事象で数えるほうが速い場合」も見ておこう。

(1) 直接、書き出す。

偶数()と の倍数()に印をつけると、印のついたカードは

に印を 回つけても、カードは 。これが「重なりを引く」ということの正体だ。 ではなく になる理由が、目で見える。

余事象でも数えてみる。 印がついていないカードは

枚数えるだけで済んだ ✓。「偶数でも の倍数でもない数」は と、 以上の素数のうち — 数が少ないので、こちらのほうが速い。

(2) こちらも書き出す。

以下が 枚、 以上が 枚。両方に入るカードは 枚もない(数直線の左端と右端で、離れている)。

排反とは「同時には起こらない」ということ。 数直線に描けば、 つの範囲が離れているのが一目で分かる。逆に(1)の「偶数」と「 の倍数」は、 という共通の住人がいるから排反ではない。

判定の一手。「両方に当てはまるものを、 つでも挙げられるか?」 挙げられれば重なりあり(引く)、挙げられなければ排反(そのまま足す)。具体例を つ探すのが、抽象的な判定より速くて確実である。

ポイント

  • 排反(同時に起きない)なら で、そのまま足す
  • 「または」は、まず共通部分があるか確かめる

よくある間違い

  • (1)で共通の6を引き忘れ、 としてしまう
  • 排反かどうか確かめず、いつも引く(または、いつも足す)
  • 「排反」と「独立」を混同する(排反は同時に起こらない、独立は互いに影響しない。別の概念)