数学A / 確率
数直線上の点の移動(位置と符号)
問題
数直線上の原点に点 P がある。コインを投げて、表なら正の向きに 1、裏なら負の向きに 1 だけ P を動かす。コインを5回投げる。
(1) P が座標 3 の点にある確率を求めよ。
(2) P が正の側(座標が正)にある確率を求めよ。
ヒントを見る
(1)座標3に着く表・裏の回数を、合計と差の2式から出す。(2)は奇数回だから原点には戻れず、正・負の対称性から確率が半々 — 数えなくても言える。
解答・解説
方針
(1)は座標の条件を、表・裏の回数に置きかえる。
(2)は5回(奇数回)なので、座標が0になることはなく、必ず正か負のどちらかだ。ここで左右対称に注目する。表と裏を全部入れかえると、座標の符号がちょうど反対になる。だから正の確率と負の確率は同じで、合わせて1。つまり計算しなくても とわかる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 (2)は全場合の計算をせず、対称性で切る。
表と裏を全部入れ替えると、座標の符号が反転する。だから「正になる確率」と「負になる確率」は等しい。
奇数回だから座標 はあり得ない。正と負の つで全体を分け合う。「対称性で計算を消す」という上級の省エネが主題だ。
(1) 表が 回、裏が 回とすると 、座標は なので 。連立して解くと 、。表が4回出る確率は反復試行より
(2) 5回は奇数回なので、座標 ()は必ず奇数になり、0にはならない。だから P は必ず正か負のどちらかにある。
ここで対称性に注目する。表と裏をすべて入れかえると、座標の符号がちょうど反対になる。この対応で『正の側にある結果』と『負の側にある結果』が1対1に対応するので、両方の確率は同じだ。合わせて1だから
まとめ:(2)は を直接足しても求まる()が、対称性を使えば計算せずに答えが出る。『奇数回だから0にならない』ことと『左右対称』の2つを押さえるのがコツだ。
発展 — 一歩先へ。 コインの回数 が奇数なら、座標は必ず奇数で にならない。だから今回のように、対称性だけで と言える。
が偶数だと事情が変わる。原点に戻る( になる)場合が生じ、その分を正・負が分け合う。よって となる。
のとき 。たとえば なら で、 だ。偶奇で答えの形が変わるのがおもしろい。
(1) (2)
別解
別解 — 位置の分布を多項式で一望する(得意な人向けの母関数の視点)。 回の移動で、表()を 、裏()を に対応させる。 回分をかけた
を展開すると、 の係数が「 回で座標 に到達する場合の数」になる。係数の合計は 通りだ。
(1) 座標 は の係数 だから 。
(2) 正の座標は の 項で、係数の和は 。よって 。負の座標 の係数の和も で等しく、 の項が無い(座標 が無い)ことも展開から見てとれる。
つの展開式に、どの座標へ何通りで到達するかがすべて表れる。本解と同じ答えになる。
ポイント
- 座標の条件を「表・裏の回数」の連立に置きかえる
- 奇数回では座標が0にならない(必ず正か負)
- 表裏の入れかえによる左右対称で
よくある間違い
- (2)で座標が になる場合があると思い込み、奇数回では が不可能なことに気づかず対称性を使えない。
- (1)で連立 、 を解き誤り、表の回数を 以外にする。
- (2)を特定の座標だけで数え、正の座標 をすべて足すことを忘れる。