数学A / 確率
じゃんけんが決着するまで
問題
2人がじゃんけんをして、勝負がつくまで繰り返す。あいこ(同じ手)のときは勝負がつかず、もう一度行う。
(1) ちょうど2回目で勝負がつく確率を求めよ。
(2) 勝負がつくまでにじゃんけんを行う回数の期待値を求めよ。
ヒントを見る
1回で決着する確率と、あいこ(やり直し)の確率を出す。(1)『2回目で決着』=『1回目あいこ→2回目決着』。(2)期待値は『 回目で決着する確率』に をかけて足す(等比×等差の和)。
解答・解説
方針
まず1回のじゃんけんで『勝負がつく』確率を求めるのが土台だ。2人の手の出し方は 通りで、同じ手(あいこ)が3通り、勝負がつくのが6通り。だから決着 、あいこ 。
(1)は『1回目あいこ、2回目で決着』。(2)は同じ確率で繰り返す試行の回数の期待値(幾何分布)だ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 まず 回の決着確率 を、土台として確定させる。
すると「ちょうど 回目で決着」は「あいこが 回続いて、決着」というかけ算になる。
(2)の期待値は無限級数になる。「各回の構造が同じなら、確率は等比の形になる」。この見通しが発想の軸だ。
2人の手の出し方は 通り。同じ手(あいこ)は(グー・グー)など3通り、残り6通りで勝負がつく。だから1回で
(1) ちょうど2回目で決着するのは『1回目はあいこ、2回目で決着』。各回は別々に起こるので
(2) 決着までの回数を とすると、 となるのは『 回続けてあいこ、 回目で決着』で
これは成功(決着)の確率 の幾何分布だ。幾何分布の期待値は、成功確率の逆数になる。
念のため級数で確かめる。 で、公式 ()を使うと
まとめ:と合う。『平均1.5回で決着がつく』という結果で、決着の確率 が高いぶん少ない回数で済む、という感覚とも合う。
発展 — 一歩先へ。 成功確率 の試行を成功まで繰り返すとき、回数の期待値はいつも になる(ここでは で )。
この分布(幾何分布)には「無記憶性」がある。すでに 回あいこが続いていても、そこから決着までの期待回数は最初と変わらず だ。過去のあいこは、この先の見通しを何も変えない。
無記憶性をもつ離散分布は幾何分布だけで、その連続版が指数分布だ。電球の寿命や窓口の待ち時間など、「いつ起こるか」を扱うモデルの出発点になっている。
(1) (2) 回
別解
別解 — やり直しの構造をそのまま式にする(得意な人向けの再帰の視点)。 (2)の期待値 を、 回投げた後の場合分けで立てる。
まず必ず 回は投げる。そのあと確率 で決着し(追加 回)、確率 であいこになる。
あいこのとき、状況は最初とまったく同じに戻る。だからそこから先の期待回数は、また だ。式にすると
これを解くと 、すなわち 。
無限級数を計算しなくても、「あいこなら振り出しに戻る」という自己相似の構造だけで が決まる。本解と同じ答えになる。
ポイント
- 2人じゃんけんは、1回で決着 ・あいこ
- 同じことを成功まで繰り返す回数は幾何分布
- 幾何分布の期待値は (成功確率の逆数)
よくある間違い
- (1)で「 回目で決着」を「 回目も 回目も決着」と取り違え、 としてしまう。
- あいこの確率を、 通り中 通りの でなく別の値にする。
- (2)の期待値を成功確率 そのものと取り違える(正しくは逆数の )。