数学II / 軌跡と領域

軌跡と領域 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 距離の2乗の和が一定
  2. アポロニウスの円(比が2:3)
  3. 交点の軌跡(媒介変数の消去)
  4. 重心の軌跡
  5. 円と直線の連立領域
  6. 絶対値の和の領域
  7. 領域と最大・最小(頂点)
  8. 領域上の距離の最大・最小
  9. 円の領域と1次式の最大
  10. 線形計画法の文章題
  11. 領域の面積
  12. 共有点をもつ条件

問1距離の2乗の和が一定

★★ 標準軌跡

問題

2点 、 について、 を満たす点 の軌跡を求めよ。

ヒントを見る

求める点を とおき、 つの距離の 乗をそれぞれ書き下ろして和をとる。整理すると意外なほど短い式になる。どんな図形になるか。

解答・解説

方針

とおいて を 、 で表す。2乗の和なので展開すると円の式になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 軌跡の第一手は決まっている。動く点を とおき、与えられた条件をそのまま式にする。

は、距離の2乗の和。根号が出ない分、展開だけで進む。整理して出てきた式が、どんな図形か(円なら中心と半径)を言葉で述べるところまでが答えだ。

公式 が一定の点の軌跡は、円(または1点)

とおく。

これが に等しいので

中心 、半径 の円。

xyOAB
軌跡は円 x²+y²=4

発展。 右辺の を変えると、円の半径が変わる。 より小さくすると が負になり、軌跡は空集合になる。条件の数値が図形の存在まで支配している。

「」なら軌跡は直線、「」なら円。2乗の和と差で図形の種類が分かれる対比も、セットで覚える価値がある。

答

円

別解

数学Aで学んだ中線定理を使うと、展開せずに図形が分かる。 の中点 は原点だ。中線定理から、どんな点 でも

条件 を入れると 、つまり 。 は「原点 からの距離が 」の点。これは円の定義そのものだから、軌跡は円 と即断できる。

「距離の2乗の和」を見たら中点に注目すればよい、ということが定理1本で分かる。座標の展開(本解)はこの中線定理を毎回証明し直している計算である。

ポイント

  • 一定 → 円。展開すると が出る。

よくある間違い

  • 展開の符号ミスで の1次の項が残る(対称な配置なら消えるはず)
  • 式を出して終わりにする(「中心◯・半径◯の円」と図形の言葉で述べるまでが答え)
  • 逆の確認(出てきた円上の点がすべて条件を満たすこと)への意識がない

問2アポロニウスの円(比が2:3)

★★ 標準軌跡アポロニウスの円

問題

2点 、 について、 を満たす点 の軌跡を求めよ。

ヒントを見る

比のままでは扱えない。両辺を整数倍して 乗の等式に直してから座標を入れる。この型(距離の比が一定)の軌跡が何になるかは、整理し切れば自然に分かる。

解答・解説

方針

比 を に直し、2乗して 。、 で整理すると円になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 比の条件は、まず等式に直す。 は のこと。

距離の等式は2乗して根号を消す。。あとは で書いて整理するだけだ。距離の「比が一定」の軌跡は円になる(アポロニウスの円)。等距離()のときだけ、円がつぶれて垂直二等分線になる。

定理アポロニウスの円:2定点からの距離の比が一定( 以外)の点は円をえがく

とおく。 より 、2乗して

展開して整理する。

両辺 で割り、平方完成する。

中心 、半径 の円。

xyOAB
PA:PB=2:3 の軌跡は円

発展。 比を から動かすと、アポロニウスの円は膨らんだり縮んだりし、 の極限で「無限に大きい円」= 垂直二等分線に退化する。直線は円の仲間だった、という視点がここで手に入る。

この円は複素数平面(数C)では という簡単な式になる。距離の比という同じ内容が、座標・図形・複素数の3通りの方法で書ける。

答

円

別解

円の中心と半径は、展開の前に「2つの特別な点」から見当がつく。線分 上で になる点は、 の内分点 。延長上にもう1つ、 の外分点 がある。

この2点はどちらも軌跡の上にあり、しかも直線 と円の交点だから、アポロニウスの円の直径の両端になる。中心は2点の中点 、半径は距離の半分 。

展開ルートの答えと一致する。「内分点と外分点が直径の両端」という位置関係を知っていれば、検算はこの2点の位置確認だけで済む。図形の性質(数A)の角の二等分線の内分・外分と、同じ考え方が使われている。

ポイント

  • 比 → を2乗して整理。
  • でない比は必ず円になる。

よくある間違い

  • 比を等式に直すとき と向きを逆にする
  • 2乗の際の係数( と )の対応を取り違える
  • 円の式まで出して、中心と半径を読み取らずに終える

問3交点の軌跡(媒介変数の消去)

★★ 標準軌跡媒介変数

問題

が実数全体を動くとき、2直線 と の交点 の軌跡を求めよ。

ヒントを見る

つの式に共通して現れる を消すのが目標。どちらかの式から を表して他方に代入しよう。消すときに割り算を使ったなら、割った文字が になる場合を別に確認すること。

解答・解説

方針

交点は2式を同時に満たす。 を消去して 、 だけの関係式にすれば、それが軌跡。 を一方の式から求めて他方へ代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 交点の座標は とともに動く。ほしいのは「 が消えた、 と だけの関係式」だ。

一方の式から を解いて、他方に代入する。これが媒介変数消去の基本動作である。消去の割り算で分母が になる場合( など)は別に検分する。この検分から「除く点」が見つかるのが、この型の問題でよくある見落としだ。

重要交点の軌跡:2式から媒介変数()を消去して、・ の関係式にする

1つ目 から 。2つ目 に代入する。

ここで より ()。代入して

平方完成して

中心 、半径 の円。ただし、どんな でも原点は交点にならないので、原点 は除く。

xyO除く
交点の軌跡は円(原点を除く)

発展。 「それぞれ定点を通る、直交する2直線の交点」というこの問題の形は、この型の軌跡問題の多くに含まれている。2つの定点を見つけて垂直を確かめる、が最初の観察項目だ。

除外点は「媒介変数 で実現できない点」から生まれる。 は実数なので、 に対応する位置(今回は ではなく 側)が届かない。媒介変数の可動範囲と軌跡の欠けは、常にセットで検分する習慣をつけたい。

答

円 (原点を除く)

別解

2直線の「向き」を見比べると、消去計算の前に答えの図形が分かる。 は必ず原点 を通る。 は必ず定点 を通る。そして2直線の傾きの積(方向どうしの内積)を調べると、どんな でも垂直だ。

つまり交点 はいつでも「 と を直角に見込む点」。直角を見込む点の集まりは、 を直径とする円(タレスの定理)だから

ただし 自身は、第2の直線 が通れない( になる)ので除く。「動く2直線が、それぞれ定点を通り、常に垂直」という形に気づけば、軌跡の円は計算なしで描ける。除外点の理由も式でなく図の言葉で説明できる。

ポイント

  • 交点の軌跡は媒介変数()を消すのが基本。
  • 除外点(どの でも通らない点)がないか最後に確認。

よくある間違い

  • を消去した式だけで満足し、除外点( が軌跡に入らないこと)の検分を飛ばす
  • を割り算で消すとき、分母が になる場合の場合分けを忘れる
  • 「どんな でも交点が1つ存在する」ことを確認せずに進める(垂直だから必ず交わる)

問4重心の軌跡

★★ 標準軌跡連動型重心

問題

点 が円 上を動く。原点 、定点 、 を頂点とする三角形の重心 の軌跡を求めよ。

ヒントを見る

重心の座標の関係から、動く点 の座標を の座標で逆に表す。それを の満たす円の式に代入すれば、 の条件だけが残る。

解答・解説

方針

重心を とおいて考える。重心の公式から の座標を 、 で表し、それを『 が円上』の条件に代入する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 軌跡を求めるのは重心 だ。 とおく。動かされる側の は と別の文字にする。

重心の公式から 、。これを逆に解くと 、。 は円 の上にいる。代入すれば、 の関係式=軌跡が出る。「つなぎ役の文字を、条件式に送り込んで消す」流れである。

重要連動型の軌跡:求める点 で動点 を表し、 の条件式に代入

、 とおく。重心の座標より

、 について解く。

は円 上にあるので代入する。

両辺 で割って

xyOA
P の円(大)と重心 G の軌跡(小)

発展。 「縮小+平行移動で図形ごと写す」見方は、中点の軌跡( 倍)、内分点の軌跡(比に応じた縮小)にそのまま拡張できる。円だけでなく、直線や放物線が動く問題でも同じ映像が通用する。

数学Cの複素数平面では、この変換が という1本の式になる。「点の対応=式の変形」という対応表は、軌跡の問題すべてで使う。

答

円

別解

「軌跡を点ごとでなく、図形ごと写す」見方をすると、計算が観察に変わる。重心の式は と書き直せる。つまり は を に縮小して、 だけ平行移動した点だ。

が描く図形(原点中心・半径 の円)も、丸ごと同じ変換を受ける。円は縮小しても平行移動しても円のままだから、軌跡は

中心 、半径 の円、すなわち 。「 の円がどこへ、どんな大きさで写るか」という映像で捉えると、答えの検算(中心は の中心の像か、半径は 倍か)も、すぐに済む。

ポイント

  • 重心で動点を表す → 動点の条件(円)に代入。
  • 元の円の 倍に縮んだ円になる。

よくある間違い

  • 動く点 まで とおいて、求める点 と文字が衝突する
  • 重心の公式の で割る操作を忘れる
  • 逆に解いた の代入先を、重心の式のほうに戻してしまう( の条件=円の式へ)

問5円と直線の連立領域

★★ 標準領域

問題

連立不等式 、 の表す領域を図示せよ。

ヒントを見る

円の内部と、直線の上側。 つを別々に塗ってから重なりを取る。境界のどこが含まれてどこが含まれないかまで、図に描き分けよう。

解答・解説

方針

は円の内部、 は直線の上側。この2つの共通部分は円を直線で切った半円形になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 連立不等式の領域は、1本ずつ描いてから重ねる。

は円の内部(境界込み)。 は直線 の上側(境界込み)。2つの共通部分だけが答えの領域だ。図を描いたら、境界線が実線(含む)か破線(含まない)かの区別まで書き込んで仕上げる。

重要円と直線の連立領域は、円の内部と半平面の共通部分

は半径 の円の内部と周。 は直線 の上側(境界含む)。両方を満たすのは、円を直線 で切った、上側の半円形の部分。どちらも等号つきなので、境界(円弧と弦)を含む。

xyO
円の内部かつ直線 y=x の上側

発展。 領域の図は、それ自体が答えであると同時に、次の段階(領域上の最大最小=線形計画法)の前提になる。境界の実線・破線の区別は、最大値が「存在する」か「近づけるだけ」かを分ける実質的な情報だ。

「かつ=共通部分、または=和集合」の対応は、集合と命題で学んだ論理がそのまま図になったもの。不等式の否定( の反対側)まで含め、論理と図の行き来に慣れておきたい。

答

円 の内部のうち、直線 より上側の半円形(境界を含む)

別解

「どちら側を塗るか」で迷ったら、テスト点方式が確実だ。代表の点を1つ選んで、不等式に入れてみる。たとえば点 を試す。

  • : 。成立。
  • : 。成立。

両方成立したから、 を含む側(円の内側かつ直線の左上側)が求める領域だ。逆に を試すと が で不成立。この点の側は塗らない。

境界線が領域を2つに分けるとき、どちらか一方の点で判定すれば全体が決まる(境界をまたがない限り真偽は変わらないからだ)。「上側・下側」の暗記より、この1点実験のほうが複雑な曲線でも間違えない。

ポイント

  • 円の内部 ∩ 半平面 = 円を弦で切った領域。
  • 境界を含むかは各不等号で判断。

よくある間違い

  • 直線の上下を勘で塗る(テスト点で確認する)
  • の境界を破線で描く(等号つきは実線=境界を含む)
  • 共通部分でなく、どちらかを満たす和集合を塗ってしまう

問6絶対値の和の領域

★★ 標準領域絶対値

問題

不等式 の表す領域を図示せよ。

ヒントを見る

絶対値が つあるので、象限ごとに場合分けして境界を求める。第 象限で出た形を、対称性で他の象限へ写すと早い。

解答・解説

方針

、 の符号で4つの場合に分ける。各象限で という直線になり、4本の直線で囲まれたひし形ができる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 絶対値が2つ。正攻法は の符号による4つの場合分けだ。

各象限で絶対値が外れて、 という1次不等式になる。4本の直線が境界だ。4枚の図を重ねると、、、、 を頂点とするひし形(正方形)が現れる。

公式 は、4点 、 を頂点とする正方形(ひし形)

、 の符号で場合分けすると、各象限で境界は

の4本の直線。これらで囲まれた、頂点が 、、、 のひし形の周と内部が領域。

xyO(2,0)(0,2)
4頂点(±2,0),(0,±2)のひし形

発展。 は「原点からの、碁盤の目に沿った距離」と読める(タクシー距離と呼ばれる)。この距離で「原点から 以内」を描いたのがこの問題のひし形で、ふつうの距離なら円になるところだ。距離の測り方を変えると、「円」の形も変わるのである。

の周だけを描けば正方形の枠。等号と不等号、周と内部の対応も、この図で一目になる。

答

4点 、、、 を頂点とする正方形(ひし形)の周および内部

別解

対称性を先に使うと、場合分けが1つで済む。式 は、 を に変えても、 を に変えても、まったく同じ式のままだ。つまり領域は 軸についても 軸についても対称である。だから第1象限(、)だけ調べればよい。そこでは絶対値がそのまま外れて

原点・・ の三角形だ。これを 軸・ 軸で折り返して4枚に増やせば、ひし形の全体が完成する。「式の対称性 → 図の対称性 → 一部だけ計算して複製」。この省力化は、 のような平行移動版や、絶対値が3つ以上の複雑な式ほど役に立つ。

ポイント

  • 絶対値の和は符号で場合分けして4本の直線に。
  • は対角線 のひし形。

よくある間違い

  • 場合分けで象限と符号の対応を取り違える
  • 頂点を と誤る(頂点は軸上の4点)
  • 絶対値2つを1回の操作で同時に外そうとして混乱する

問7領域と最大・最小(頂点)

★★ 標準領域最大最小

問題

点 が連立不等式 、、、、 の表す領域を動くとき、 の最大値を求めよ。

ヒントを見る

まず領域を正確にかく。境界どうしの交点(頂点)がどこにできるかが大事だ。最大を与える候補は頂点に絞れるので、すべての頂点で値を比べよう。

解答・解説

方針

領域は5つの直線で囲まれた多角形。 の直線を動かすと、領域からはみ出る直前の頂点で最大。全頂点の値を調べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) とおくと、これは傾き の直線の族だ。 を大きくすると、直線は右上へ平行移動する。

領域と共有点を保てる限界まで を上げると、最後に触れているのは領域の頂点(角)になる。だから候補は頂点だけ。全頂点で を計算して比べれば最大が決まる。「直線を滑らせて、最後に残る角を探す」映像を持って計算する。

重要領域上の1次式の最大・最小は、領域の頂点でとる

① 領域の頂点をすべて求める。 領域は5つの境界で囲まれた多角形。角 は を破る()ので切り取られる。残る頂点は

② 各頂点で を計算する。 なぜ頂点だけ調べればよいか。 は傾き一定の直線で、 を動かすと平行に動く。領域と最後に触れるのは必ず「角(頂点)」だから、頂点だけ調べれば足りる。

③ いちばん大きい値を選ぶ。 最大は での 。

xyO(4,2)
5角形の領域。頂点(4,2)で 2x+y が最大

まとめ:領域上の1次式の最大最小は直線 を動かして「領域に最後に触れる頂点」でとる。切り取られる角(すべての制約を満たさない点)を頂点に入れないよう注意。

発展。 「最適解は頂点にある」というこの原理は、線形計画法の基本定理と呼ばれ、産業の生産計画・輸送・配合の最適化を支える実用数学の基礎になっている。次の文章題で、その現実の例を扱う。

目的の傾きが辺の傾きとぴったり一致すると、最大の点は1点でなく辺全体になる。「答えが無数にある」場合の存在も、直線を滑らせる映像から自然に読み取れる。

答

最大値 (点 のとき)

別解

全頂点を調べず、「傾きの挟み撃ち」で最大の頂点を1点に絞る方法もある。目的の直線 の傾きは 。領域の右上側の境界の傾きを並べると、 が傾き 、 が垂直(いわば傾き )だ。

は より急で、垂直よりは緩い。つまり目的の直線の傾きは2つの境界の傾きのあいだにある。このとき最大は、その2辺が出会う頂点( と の交点 )でとられる。

頂点5個の総当たりと同じ結論に、比較2回で着く。目的の式の係数が変わって傾きが動くと、最適な頂点が乗り移っていく。その乗り移りの瞬間(傾きが辺と一致し、辺全体で最大になる)まで見えると、この型は完全に手の内に入る。

ポイント

  • 1次式の最大最小は頂点で。全頂点を出して比べる。
  • 切り取られる角に注意(すべての制約を満たす頂点だけ)。

よくある間違い

  • 頂点の候補をすべて挙げない(直線どうしの交点 を見落とす)
  • 傾きの比較を誤り、最大の頂点を取り違える
  • 最大値だけ答えて、それをとる点の座標を書かない

問8領域上の距離の最大・最小

★★ 標準領域最大最小

問題

点 が円 の表す領域(円の内部と周)を動くとき、 の最大値と最小値を求めよ。

ヒントを見る

を『原点からの距離の 乗』と読み替えるのが第一歩。原点・円の中心・円周上の点の位置関係を図にすると、最も遠い点と最も近い点が見える。

解答・解説

方針

は原点 から点 までの距離の2乗。原点から円板上の点への距離は中心を通る直線上で最大・最小になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) を「式」でなく「距離」として読む。原点から点 までの距離の2乗だ。

すると問題は「原点から、円板上の点までの距離の最大・最小」に言い換えられる。原点と円の中心 を結ぶ直線を引けば、いちばん遠い点と近い点はその直線上にある。中心までの距離 に、半径 を足し引きして、距離は最大 ・最小 。2乗して と だ。

重要領域上の (=原点からの距離²)の最大最小は、中心までの距離 半径

① の意味を読みかえる。 は原点 から点 までの距離 の2乗。だから「 が円板の上でどこまで大きく・小さくなるか」を考えればよい。

② 原点から円の中心までの距離を出す。 円の中心 、半径 。

③ 中心を通る向きで、±半径。 原点から見て、円板の上で が最大になるのは中心のさらに向こう側( に半径を足す)、最小はこちら側(引く)。

④ 最後に2乗する。 求めるのは なので

xyOC
原点から円板までの距離は 5±2(2乗して49・9)

まとめ: は「原点からの距離の2乗」。円板上の距離の最大最小は中心までの距離 半径。最後に2乗するのを忘れない。

発展。 「式に図形の意味を与える」言い換えを多く知っているほど、この単元の問題は解きやすくなる。 は原点からの距離の2乗、 は原点と結ぶ直線の傾き、 は直線の切片。式の顔ぶれを見て、どの図形量かを言い当てる。

今回の「中心を通る直線上で最大・最小」は、点と円の距離の一般原理()であり、2円の最近点・最遠点の問題にもそのまま伸びる。

答

最大値 、最小値

別解

円周上の点を角度で表す、パラメータ計算のルートもある(最大・最小は境界の円周上で起きる)。円周上の点は 、 と書ける。代入して展開すると

は三角関数の合成で の形になり、 から まで動く。よって は最小 、最大 。

図形ルート と一致する。合成の振幅 が「」に等しいのは偶然ではなく、2つの解法が同じ幾何を別の言葉で表している証拠だ。三角関数の道具がそろってくると、この機械的ルートも選択肢に加わる。

ポイント

  • は原点からの距離の2乗。
  • 円板上の距離の最大最小 = 中心までの距離 ± 半径(最後に2乗)。

よくある間違い

  • を距離の2乗と読めず、式変形だけで進もうとして詰まる
  • 最小を の2乗でなく、別の組み合わせで計算する
  • 距離の最大・最小()を答えてしまう(問われているのは2乗の )

問9円の領域と1次式の最大

★★ 標準領域最大最小

問題

点 が円 の表す領域を動くとき、 の最大値と最小値を求めよ。

ヒントを見る

の値が同じ点の集まりは直線。この直線を動かすイメージで、値が端をとるのは直線が円とどんな関係になる瞬間かを考え、その条件を式にする。

解答・解説

方針

は傾き一定の直線。 を動かすと直線が平行に動き、円に接するとき が最大・最小。接する条件(中心と直線の距離=半径)で を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) とおく。 を動かすと、傾き の直線が平行に滑っていく。

円板と共有点を保てるぎりぎり、つまり円に接する瞬間の が最大・最小だ。接する条件は「中心から直線までの距離=半径」。 から 。直線を滑らせる映像と、距離の等式。この2点セットが円の線形計画の型である。

公式円 上での の最大は 、最小は

① を動く直線とみる。 の値がこの直線の位置を表す。 を大きく・小さくすると直線が平行に動き、円からはみ出す直前で が端の値になる。

② 端は「直線が円に接するとき」。 接する条件は「中心と直線の距離 = 半径」。中心 から直線 までの距離が半径 に等しい。

③ 絶対値をはずす。 。よって最大値 、最小値 。

xyO
3x+4y=k が円に接するとき k=±25

まとめ: の最大最小は「その直線を平行移動して円に接するとき」。接する条件(中心と直線の距離 = 半径)で が決まる。

発展。 数学Cのベクトルを学ぶと、 は「ベクトル との内積」で、最大になるのは2つのベクトルが同じ向きのとき、と1行で説明がつく。図形・不等式・内積の3つの言葉がこの1問に同居している。

目的の式が のような非1次式になると、直線の代わりに曲線を滑らせることになる。「 とおいて図形族を滑らせる」という発想自体は、そのまま生き続ける。

答

最大値 、最小値

別解

式と証明で学んだコーシー・シュワルツの不等式なら、図を描かずに1行で挟める。

よって 、つまり 。等号成立は が と平行、かつ円周上のとき。 と合わせて で最大 、 で最小 。

この不等式を使うと、「上限と、それが達成される点」が同時に分かる。図形の接する条件と、代数の不等式の等号条件が、同じ点 を指す。2つの単元の考え方が同じ答えで一致する。

ポイント

  • を平行移動 → 円に接するとき端の値。
  • 円上の の最大は 。

よくある間違い

  • 接する条件の距離の式で、分母 を忘れる
  • 最大 だけ答えて最小 を落とす
  • 半径を とする( なので )

問10線形計画法の文章題

★★ 標準領域線形計画法

問題

ある工場で製品 P、Q を作る。P を1個作るのに材料 kg・作業 時間、Q を1個作るのに材料 kg・作業 時間かかる。材料は kg、作業時間は 時間まで使える。P 1個で 万円、Q 1個で 万円の利益があるとき、利益を最大にするには P、Q を何個ずつ作ればよいか。

ヒントを見る

まず文字をおいて、材料と時間の制約を不等式で表す(個数だから 以上も忘れずに)。利益を式にしたら、領域の頂点で値を比べる。どの頂点で最大になるか。

解答・解説

方針

P を 個、Q を 個として、制約を不等式に、利益を1次式にする。制約の表す領域の頂点で利益を計算し、最大を選ぶ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 文章を数式に直す。P を 個、Q を 個として、資源の制約を不等式に、利益を1次式にする。

材料: 。時間: 。個数: 、。利益: (万円)。

これで前問と同じ線形計画法の形になった。制約の領域(四角形)の頂点で利益を比べれば、最大が決まる。

重要線形計画法:制約を不等式にし、目的の1次式を領域の頂点で最大化する

① 変数を決め、制約を不等式にする。 を 個、 を 個とする。作れる個数は 以上で、材料と時間の上限から

② 最大にしたい量(目的)を1次式にする。 利益は (万円)。これを、上の不等式が表す領域の中で最大にしたい。

③ 領域の頂点で目的を計算する。 1次式の最大は頂点でとる。境界 と の交点は連立して 。頂点は

各頂点で利益 を計算する。

最大は での 。よって を 個、 を 個作ると、利益が最大の 万円。

xyO(3,2)
制約の領域。頂点(3,2)で利益最大

まとめ:文章題は「変数を決める → 制約を不等式に → 目的を1次式に → 領域の頂点で最大化」。境界どうしの交点(頂点)を必ず調べる。

発展。 製品や資源の種類が増えると、領域は高次元の多面体になり、手描きの図では追えなくなる。それでも「最適解は頂点にある」原理は生きていて、頂点を賢く渡り歩くシンプレックス法というアルゴリズムが実務の最適化で使われている。

「資源を使い切る制約」の考え方は、経済学では影の価格という概念につながる。1kg 材料が増えたら利益がいくら増えるか、まで線形計画法は答えてくれる。

答

P を 個、Q を 個作るとき、利益は最大 万円

別解

答えの点 を、資源の言葉で読み直すと、線形計画法の「意味」が見える。 での資源の使用量を検分する。

  • 材料: kg。上限ちょうど。
  • 時間: 時間。上限ちょうど。

最適な生産計画は2つの資源をどちらも使い切っていた。余らせている資源があれば、その分をもう一方の製品に回して利益を増やせるからだ(利益の係数が正である限り)。

だから最適点は2つの制約の直線の交点(「材料の限界」と「時間の限界」が同時にぎりぎりになる点)に来る。頂点で最大になるという幾何の定理が、「資源を使い切る」という経済の直感と同じことを言っている。

ただし、どの2本の交点が最適かは利益の係数(傾き)次第で変わる。だから頂点の比較(または傾きの挟み撃ち)は省略できない。意味の読みは検算と理解のための道具である。

ポイント

  • 文章題→変数を決め、制約を不等式、目的を1次式にする。
  • 最大は領域の頂点。境界の交点を必ず調べる。

よくある間違い

  • 制約の不等式で係数の対応(材料の行・時間の行)を混同する
  • 個数の条件 、 を書き忘れて領域が閉じない
  • 頂点が整数でない問題のときに、個数の整数条件を忘れてそのまま答える(今回は頂点が整数)

問11領域の面積

★★ 標準領域面積

問題

連立不等式 、、、 の表す領域の面積を求めよ。

ヒントを見る

領域をかくと、直線で切った三角形から円の一部をくり抜いた形になる。『全体から引く』の引き算で面積を組み立てよう。

解答・解説

方針

三角形()から、円 の内側(第1象限の四分円)をくり抜いた形。三角形の面積から四分円の面積を引く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) まず領域の姿を確定する。3つの1次不等式は原点・・ の直角三角形を作る。

は円の「外側」。つまり三角形から、円の内側(第1象限ぶんの四分円)をくり抜いた形だ。面積は引き算で、。図形を「基本図形の足し引き」に分解するのが、領域の面積の基本である。

公式複雑な領域の面積は、単純な図形の足し引きに分ける

、、 は、頂点 、、 の直角三角形。面積は

は半径 の円の外側。だから円の内側(第1象限にある四分円)を三角形から取り除く。四分円の面積は

求める面積は

xyO
三角形から四分円をくり抜いた領域

発展。 もし円の半径が を超えると、円が斜辺を横切り、くり抜きの形が「弓形の調整」を要する一段難しい計算になる。この問題の検分1はその分かれ目を確かめていたのだ。

曲線で囲まれた一般の面積は、数学IIの後半で学ぶ積分の主戦場になる。「基本図形の足し引き」で済む形と、積分が要る形の境目を知っておくと、道具選びが速くなる。

答

別解

引き算が正しく成立するかの「検分」まで含めて、初めて完答になる。2つの確認を紹介する。

確認1: くり抜く円が本当に三角形の中に収まっているか。もし円が斜辺 を突き抜けていたら、単純な引き算は過剰に引くことになる。原点から斜辺までの距離は 。半径 より大きいから、円は斜辺に届かない。安全だ。

確認2: どちら側をくり抜くか。テスト点として原点を に入れると で不成立。つまり原点側(円の内側)が除外される側で、確かに「くり抜き」だ。

この2つの検分は図を雑に描いたときのミス(円がはみ出す配置を見落とす、内外を逆に塗る)を確実に防ぐ。面積の計算自体より、この検分こそが領域問題の実力である。

ポイント

  • 複雑な領域は三角形 − 扇形 のように分解する。
  • は円の外側 → 四分円をくり抜く。

よくある間違い

  • くり抜く四分円の半径を とする( の半径は )
  • 円と斜辺が交わらないことの検分を飛ばし、はみ出す配置でも同じ引き算をしてしまう
  • 四分円の面積を のまま( を掛けずに)引く

問12共有点をもつ条件

★★ 標準領域共有点

問題

定点 を通る直線 が円 と共有点をもつような、定数 の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

『共有点をもつ』を、中心と直線の距離の条件に言い換える。接する場合がちょうど境目になるので、等号を含むかどうかも慎重に。

解答・解説

方針

直線と円が共有点をもつのは、中心から直線までの距離が半径以下のとき。この不等式を について解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 直線は定点 を軸に、 とともに回転する。円と共有点を持つ範囲を問われている。

共有点の条件は「中心から直線までの距離 半径」。直線を の形に直し、原点からの距離を で表して不等式を解く。2乗して整理すれば の1次不等式に落ちる。

重要直線と円が共有点をもつ 中心と直線の距離 半径

① なぜ「距離 ≤ 半径」で交わるのかを絵で考える。 円の中心 から直線へ下ろした垂線の長さが、直線と中心が最も近づく距離。この最短距離が半径 以下なら、直線は円の内側まで届いて交わる。逆に半径より大きいと直線は円と交わらない。だから「中心と直線の距離 半径」が共有点をもつ条件。

② 中心と直線の距離を式にする。 直線を とみて、点と直線の距離公式で中心 からの距離を書くと 。これが半径 以下。

③ 解く。 分母は正なので、両辺を2乗して整理する。

xyO(1,2)
定点(1,2)を通り、円に接する直線が境界(k=3/4)

まとめ:直線と円の共有点の有無は「中心から直線への垂線の長さ(=最短距離)と半径の大小」で決まる。距離が半径以下なら直線が円に食い込む、という絵をつかめば、あとは距離公式に当てはめて解くだけだ。

発展。 「傾き の式は垂直な直線を表せない」というこの問題の注意は、傾きで直線族を扱うすべての問題に当てはまる。取りこぼしを避けたいときは の形(全方向を表せる)に乗り換える手もある。

回転する直線と円の共有点の個数( 個)を の範囲で完全に分類する問題や、共有点を持つ の範囲から弦の長さの最大を続けて問う問題へ、この設定は自然に発展していく。

答

別解

連立して判別式で攻めるルートも、きれいに落ちる。直線 を円 に代入すると、 とおいて

共有点を持つ条件は、この2次方程式が実数解を持つこと。判別式を計算すると、うまく約分が起きて

から 。距離ルートと同じ答えだ。

図の状況も添えておく。定点 は円の外にあるから、そこから接線が2本引けそうに思えるが、答えの範囲は片側だけだ。もう1本の接線は「 の形で書けない垂直な直線 」で、 を使った式では表せない。式の形が扱える直線の範囲を狭めていた、という気づきまで拾えると十分である。

ポイント

  • 共有点あり=中心と直線の距離 ≤ 半径。
  • 距離の不等式は2乗して の不等式に直す。

よくある間違い

  • 共有点の条件を距離 半径と、等号なしにしてしまう(接する場合も共有点1個)
  • 距離の不等式を2乗するとき、両辺が正であることの確認を飛ばす
  • が垂直な直線 を表せないことに気づかず、図の接線2本と答えの片側範囲のずれに混乱する