数学II / 軌跡と領域

軌跡と領域 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 線分の族の通過領域
  2. 和と積の描く軌跡
  3. 条件式のもとでの x+y の範囲
  4. 直交する2本の弦と定点
  5. 円板の像(2乗の写像)
  6. 線分を45°で見込む点の軌跡
  7. 区間に解をもつ条件のパラメータ平面
  8. 絶対値を含む円の不等式の領域と面積

問1線分の族の通過領域

最難関編通過領域解の配置

問題

が の範囲を動くとき、直線 が通る点全体のつくる領域を とする。

(1) 点 が に属するための条件を求め、 を図示せよ。

(2) と直線 の共通部分を求めよ。

ヒントを見る

t の式と見て「(x, y) を固定したとき、条件を満たす t が存在するか」と裏返すのが第一歩。ただし今回は t に範囲がある。2次方程式が「区間に」解をもつ条件は、判別式のほかに何で判定したか。

解答・解説

方針

「点 (x,y) を直線が通る」を「t の2次方程式 t²−2xt+y=0 が 0≤t≤1 に解をもつ」と読み替える(逆手流)。t に範囲があるので判別式だけでは足りず、端点の値 g(0), g(1) の符号・軸・判別式による区間解の存在条件で場合分けする。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 通過領域の基本の方法は逆手流だ。点 を固定し、「この点を通る が存在するか」を の方程式

の解の存在に言い換える。 が全実数なら判別式だけで済む。だが本問は 。区間に解をもつ条件が要る。区間解の存在は「端点で符号が変わる(またぎ型)」か「区間内に軸と頂点があり両端が0以上(内部型)」の2パターンで尽くせる。

重要区間 に解をもつ ⟺ または「 かつ かつ かつ 」

① 条件を書き下ろす((1))。 、、判別式 、軸は 。よって ⟺

  • またぎ型: 、または
  • 内部型: かつ かつ かつ

② 領域の形を読む。 境界は (直線 の像)、( の像)、(判別式 、すなわち族の包絡線)。とくに は に点 で接する()。あわせると、 は下の縁が 、上の縁が「 では / では / では 」の帯状の領域になる。

xyO(1, 1)y=x²y=2x−1123
領域 D(色部分)。境界は y=0、y=2x−1(t=1 の像)、y=x²(包絡線)。直線 y=2x−1 は放物線に (1,1) で接する。x=2 での切り口(赤の線分)が 0≤y≤3

③ での切り口((2))。 を条件に入れる。内部型は を満たさず空。またぎ型は ⟺ 。よって共通部分は

(端 は 、 は の直線が通る点。)

まとめ: 直線の族(全実数 )なら判別式1本で済む通過領域が、線分の族( に範囲)になると区間の解の配置に格上げされる。境界3本( の像・ の像・包絡線 )の役割と接点 まで読めれば、図はすぐに描ける。

発展。 実は は、放物線 の点 における接線そのものだ()。この問題の族は「接点が の接線たち」で、上の縁に が現れたのは、接線の族が自分の放物線を縁取る(包絡線)からである。

答

(1) または「 かつ かつ かつ 」の表す領域 (2) 線分

別解

を固定して の値域を測る(順手ルート)。 逆手(解の存在)の代わりに、正面から「掃く範囲」を測ることもできる。 を1つ固定する。 が を動くとき、 の動く範囲は1変数関数

の値域そのものだ。これは上に凸な放物線(頂点 )の、区間 での最大・最小の問題にすぎない。

  • 最大: 頂点が区間内()なら 。外なら近い端点で、 なら 、 なら
  • 最小: 上に凸だから遠い方の端点で、

つまり各 での切り口は区間 。これを 方向に並べたものが領域 で、本解①②とぴったり一致する( なら なので、(2)もすぐに答えられる)。

逆手は「存在条件」、順手は「値域」。同じ領域を2通りに測ると、順手では2次関数の区間最大最小がそのまま領域の縁になる。

ポイント

  • 逆手流: が に解をもつ条件。
  • またぎ型 + 内部型( ほか)。
  • では (長さ3の線分)。

よくある間違い

  • 判別式 だけで答える。 に範囲があるので、全実数の場合の通過領域(放物線の下側全体)とは別物。
  • またぎ型と内部型を「かつ」で結ぶ。解の存在は2パターンの「または」。
  • (2)で内部型に を入れて計算を続ける。内部型には が入っており、 では空になる。

問2和と積の描く軌跡

最難関編軌跡存在条件

問題

実数 が を満たしながら動くとき、点 が描く図形を求め、図示せよ。

ヒントを見る

和と積を使うなら、対称式の恒等式で条件式を書き替えるのが最短。ただし「出てきた曲線の全部」が軌跡とは限らない。その (X, Y) を和と積にもつ実数 x, y は本当に存在するか。

解答・解説

方針

恒等式 x²+y²=(x+y)²−2xy から X²−2Y=1 となり、軌跡の乗る曲線はすぐに出る。注意するのは範囲だ。(X, Y) が実数 x, y の和と積であるためには t²−Xt+Y=0 が実数解をもつ(X²≥4Y)ことが必要で、この存在条件が X の範囲を切り出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) という基本対称式を中心に考える。条件式を対称式で書き替える。。これで乗るべき曲線 はすぐに出る。

だが軌跡の問題はここで終わらない。逆に、曲線上の点 を与えたとき、それを和と積にもつ実数 が存在するか。 は の2解だから、実数条件は判別式 。この存在条件が軌跡の「端」を決める。

重要 の軌跡は「方程式(必要)」+「存在条件 (十分)」の両輪で確定する

① 乗る曲線を求める。

② 存在条件で範囲を切る。 は の2次方程式 の2つの実数解(重解も可)だから

すなわち 。

③ 端の確認。 のとき で判別式0。(円上の点)で実現する。 も同様。よって軌跡は

XYO(√2, 1/2)(−√2, 1/2)
軌跡は放物線 Y=(X²−1)/2 のうち −√2 ≤ X ≤ √2 の弧(実線)。破線部分は x, y が実数にならず実現しない

まとめ: 対称式の平面へうつす軌跡は、「恒等式で方程式」+「判別式で範囲」の2段が型だ。範囲を落とすと放物線全体と答えてしまう。存在条件こそが軌跡の輪郭を切り出す刃である。

発展。 この写像は2対1になっている。 と は同じ にうつるからだ(和と積は順序を忘れる)。円周を1周すると、放物線の弧を「行って帰って」2回なぞる。軌跡の形だけでなく、なぞられ方まで見えると理解が深まる。

答

放物線 の の部分(両端を含む)

別解

円のパラメータで順手に(合成で範囲が出るルート)。 円上の点を と書いて、 を直接計算してもよい。

合成の形から、 の動く範囲は即座に (すべて実現)。また

で、つねに放物線の上に乗っている。存在条件(判別式)を考える必要がない代わりに、三角関数の合成で範囲が分かる。逆手(本解)と順手(本ルート)のどちらでも同じ弧になる。軌跡の2つの代表的な方法を両方練習できる問題だ。

ポイント

  • (対称式の恒等式)。
  • 存在条件 ⟺ 。
  • 端 は で実現。

よくある間違い

  • 放物線全体を答えてしまう。存在条件()を課さないと、実現しない部分まで含めた「大きすぎる答え」になる。
  • 存在条件を と書き違える。 を解にもつ2次方程式は で、判別式は 。
  • 端点 が実現するか(重解 の点が円上にあるか)の確認を省く。

問3条件式のもとでの x+y の範囲

最難関編対称式存在条件

問題

実数 が を満たすとき、 のとりうる値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

求めたいのが そのものなら、 と を新しい変数にしてしまうのが早い。条件式がその2つで書けたら、残る仕事は、その和と積を実現する実数の組が本当にあるかを確かめることだけだ。

解答・解説

方針

s=x+y, p=xy とおくと条件式は s²−p=3 の1本になり、p が s で書ける。あとは「s, p を和と積にもつ実数 x, y が存在する」条件 s²≥4p を課すだけで、s の2次不等式に落ちる。端点の実現確認まで書く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 求める量が そのものだから、 を変数に取り替えるのが最短路だ。

条件式は対称式なので だけで書け、 が の式で決まってしまう。残る仕事はただ1つ。 を和と積にもつ実数 の存在条件 だ。これが の不等式になって範囲が落ちる。

重要対称式の条件は に置き換え、存在条件 で締める。等号(端点)の実現確認までが答案

① 条件式を書き直す。

② 存在条件を課す。 は の2実数解だから

③ 端点の実現。 : で 、。実際 。 も で実現。よって

まとめ: 「対称式の条件 → 平面 → 存在条件」の3手。条件式の表す図形(傾いた楕円)を描かなくても範囲が出るのがこの路線の強みで、置き換えの副作用(存在条件)を忘れないことがすべてだ。

発展。 条件式が表す図形は、45°傾いた楕円である。和と差の座標 に乗り換えると とまっすぐになり、 が楕円の端としてそのまま見える。対称式の置換と45°回転は、同じ構造の2つの言葉だ。

答

別解

直線をスライドさせる(図形ルート)。 は傾き の直線の族だ。「 のとりうる値」とは、この直線が条件の曲線と共有点をもつような の範囲にほかならない。

を条件式に代入する:

共有点がある ⟺ この の2次方程式が実数解をもつ ⟺ 判別式

端の では重解、つまり直線が曲線にちょうど接する瞬間だ(接点は )。

「値の範囲=直線族が届く範囲」という図形の見方は、線形計画法や最大最小の問題でよく使う。対称式ルート(本解)と代入ルート(本ルート)、どちらの言い換えも手になじませておきたい。

ポイント

  • で 。
  • 存在条件 ⟺ 。
  • 端 は で実現。

よくある間違い

  • 存在条件 の不等号の向きを逆にする。実数2解の判別式は 。
  • を代入する前に存在条件を のまま使い、変数が2つ残って混乱する。先に1変数へ。
  • 端点の実現( が条件式を満たす)の確認を省く。範囲の端は達成できて初めて答え。

問4直交する2本の弦と定点

最難関編定点パラメータ

問題

放物線 上に原点 O と異なる2点 があり、 を満たしながら動く。直線 は定点を通ることを示し、その定点の座標を求めよ。

ヒントを見る

放物線上の2点を通る直線の式を、2点のパラメータの和と積で書いてみる。垂直条件はそのどちらを固定するか。固定されなかった方の自由度が「消える場所」が定点になる。

解答・解説

方針

P(p, p²), Q(q, q²) とパラメータ表示。垂直条件は内積から pq(1+pq)=0 で、pq≠0 より pq=−1 にまとまる。直線PQ の式は y=(p+q)x−pq と対称式だけで書けるので、積が固定されると x=0 で p+q が消えて定点が現れる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 放物線上の点は と1文字ずつで書ける。すると直線 の式は和 と積 だけで書ける(下の公式)。

一方、垂直条件を内積で書くと だけの式にまとまる。つまり束縛は「積の固定」で、「和」は自由に残る。自由に残った が係数から消える場所()こそ、直線が必ず通る定点だ。

公式放物線 上の2点 を通る直線は (傾き = 和、 切片 = 積)

① 垂直条件を式にする。 。 は原点と異なるから 、よって で

② 直線の式を作る。 傾きは 。 を通ることから

③ 定点を読み取る。 を代入して

は(垂直を保ったまま)いろいろな値をとる。だが のとき 。 の値によらず、直線は点 を通る。

xyOPQ(0, 1)
OP⊥OQ を満たす2点を結ぶ直線は、どの位置でも定点 (0,1)(赤)を通る(図は p=1.5, q=−2/3 の例)

まとめ: 「直線の式を対称式で書く → 束縛が積を固定 → 残った和の係数が消える場所が定点」。弦の式 は放物線の問題でよく使う式で、この問題では直交条件が 切片を直接決める。

発展。 一般の放物線 で同じことをすると、定点は になる。円では「直角を張る弦=直径(中心を通る)」だったが、放物線では中心の代わりにこの定点が現れる。直角を張る弦が必ず通る点は、曲線ごとに違う。

答

定点

別解

特殊な配置で当たりを付けてから示す(実戦の作法)。 定点問題は答えの点を先に見つけてしまうと安心して進める。対称な配置を試す。 は で垂直条件を満たし、直線 は水平線 。

もう1つ。 なら直線は 。2本の直線 と の交点は なので、定点があるならここしかない。

あとは一般の場合に を通ることを示せばよい(本解②③)。「候補を2つの特殊配置の交点で確定 → 一般証明」という2段構えは、定点・定値問題の実戦的な型だ。当たりが付いていれば、一般計算のゴール( で )も迷わない。

ポイント

  • 垂直 ⟺ ⟺ 。
  • 直線PQ: 。
  • で 切片が1に固定 → 定点 。

よくある間違い

  • 垂直条件を「傾きの積 」で書いて と直感で飛ばす。結果は同じだが、O を通る直線の傾きが であることを明示するか、内積で書くのが安全。
  • から の枝を捨てる理由()を書かない。
  • 定点を焦点 と混同する。この定点 は焦点とは別の点。

問5円板の像(2乗の写像)

最難関編領域の像全射の確認

問題

実数 が を満たしながら動くとき、点 の動く範囲を求め、図示せよ。

ヒントを見る

まず を計算してみる。きれいな恒等式にまとまらないか。それで「入る」ことは言えるが、「範囲を求めよ」に答えるには足りない。目標の点から逆に を作れるか。

解答・解説

方針

恒等式 (x²−y²)²+(2xy)²=(x²+y²)² から、像の原点からの距離はもとの距離の2乗になるので、像は単位円板に入る。逆に円板のどの点にも届くこと(全射)は、目標 (X,Y) から x², y² を復元する連立を解いて原像を実際に作って示す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) まず像の位置を測る。 を計算すると

という恒等式にまとまる。像の原点からの距離はもとの点の距離の2乗だ。 なら像は単位円板に入る(必要方向)。

だが「動く範囲」を答えるには、円板のどの点にも実際に届くこと(十分方向)が要る。こちらは目標 から を復元する連立(和と差)を解いて、原像を手で作ればよい。

重要。範囲を求める問題は「入る(必要)」と「届く(十分)」の両方向で確定する

① 入ること。 上の恒等式から 。よって像は に含まれる。

② 届くこと(原像の構成)。 の任意の点 をとり、 とおく()。連立

を解くと 。 だからどちらも0以上で、実数 がとれる。 とし、 の符号を と同符号に選ぶと

となり、たしかに にうつる。しかも で、出発点は円板の中にある。

③ 結論。 動く範囲は単位円板 の全体。

XYOr=0.7 の円の像
像は単位円板全体(色部分)。半径 r の円は半径 r² の円にうつるので、0≤r≤1 のすべての円が円板を埋め尽くす

まとめ: 恒等式で「入る」、逆像の構成で「届く」。領域の像は必ずこの両方向で確かめる。この写像は半径 の円を半径 の円へうつす(角も2倍に回る)もので、円板が円板へぴったり畳み込まれる様子が恒等式1本で表されている。

発展。 複素数の言葉では、この写像は に対する そのものだ()。数Cで複素数平面を学ぶと、「絶対値は2乗、偏角は2倍」という本問の構造が、 の基本性質として再会する。

答

単位円板 の全体

別解

極形式(倍角)で見る(順手ルート)。 点を極形式 ()で書いて、像を直接計算する。倍角の公式から

つまり像の点は「原点からの距離 、角 」の位置にある。距離は2乗され、角は2倍に回る写像である。

範囲は一目で読める。 が から を動くと距離 も から を動き、 が1周すると角 は2周する(すべての方向を覆う)。よって像は単位円板の全体。

「入る・届く」の2方向(本解)が極形式では「距離と角の動く範囲」という1つの記述に融合する。座標の取り替えは証明の流れまで変えてしまう。

ポイント

  • (入る)。
  • で原像を構成(届く)。
  • 範囲は単位円板全体。

よくある間違い

  • 「入る」(必要)だけ示して答える。範囲を求める問題は「届く」(全射)の確認までがセット。
  • 原像の構成で の根拠()を書かない。
  • の符号の選び方( と同符号)を曖昧にする。 の符号が に合うのはこの選択のため。

問6線分を45°で見込む点の軌跡

最難関編軌跡なす角

問題

2点 に対し、 を満たす点 の軌跡を求めよ。

ヒントを見る

「角度が一定」は正接のなす角の公式で式にできる。出てきた円をそのまま答えにしてよいか。同じ円周上でも、弦のこちら側とあちら側で見込む角はどう違ったか。

解答・解説

方針

P(x,y) から見た PA, PB の傾きで、2直線のなす角の公式 tan45°=|(m₁−m₂)/(1+m₁m₂)|=1 を立てると、絶対値の±に応じて2つの円の方程式が出る。ただし同じ円でも弧によって見込む角が違う(45°と135°)ので、どの弧が45°側かの吟味が必須。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「見込む角が一定」の軌跡は円弧(円周角の定理の逆)。これで答えの見当がつく。

式で追うには、 から への2直線の傾きを書き、なす角の公式に を入れる。絶対値を外すときの が「上の円・下の円」に対応する。

最後の関門は吟味だ。同じ円でも、弦 の長い弧の上では 、短い弧の上では 。方程式だけ見て円全体を答えると、軌跡が2倍に膨らんでしまう。

公式2直線のなす角: 。円周角: 同じ弧の上の円周角は一定(中心角の半分)

① 式を立てる。 (、)から 。

より

② どんな円かを確かめる。 上の円は中心 、半径 で、 を通る。中心から へのベクトル は直交するので、弦 の中心角は 。よって長い弧( 側)の円周角はその半分の 、短い弧( 側)では 。下の円は上下対称に同じことが起きる。

③ 軌跡を確定する。 になるのは

(いずれも端の は角が定義できないので除く。)

xyOABP
軌跡(太い実線の2つの弧)。上の弧は円 x²+(y−1)²=2 の y>0 部分。P から A, B を見込む角がどこでも45°になる(A, B の間の細い弧は135°になる側で、軌跡に含まれない)

まとめ: 計算はなす角の公式で行い、図形の意味は円周角の逆で分かる。「方程式が出た円の、どの弧か」の吟味(中心角を測って円周角に半分を割り当てる確認)が、この型の答案では欠かせない。

発展。 を一般の に変えても、軌跡はつねに「2つの合同な円弧」になる。 を に近づけると2つの弧は1つの円(タレスの円)に合流し、 を超えると今度は短い弧の側が軌跡になる。角度のダイヤルを回すと、弧の家族が連続的に姿を変えていく。

答

円 の の部分と、円 の の部分

別解

円周角の逆から作図で構成する(幾何が先のルート)。 式を立てる前に、軌跡の円そのものを幾何で作ってしまう。円周角が なら、中心角はその2倍の 。つまり求める円は「中心 から を見込む角が 」となる円だ。

中心は弦 の垂直二等分線( 軸)上にある。 とおくと、 と の直交から

半径は 。円 が、計算の前に分かった。

あとは円周角の定理(の逆)で、長い弧の上の点がちょうど を見込むことを述べ、短い弧は 側として除けばよい。式のルート(本解)は検算になる。幾何で答えの形をつかみ、式で細部を確かめる。軌跡の問題では、この分担が有効だ。

ポイント

  • なす角の公式から 。
  • 中心角90°の弦 → 長い弧で45°、短い弧で135°。
  • 軌跡は上の円の 部分と下の円の 部分(A, B 除く)。

よくある間違い

  • 円全体を軌跡と答える。同じ円でも短い弧では 。この吟味の欠落が本問最大の失点源。
  • 自身を軌跡に含める。端点では角 が定義できない。
  • なす角の公式の分母 (垂直、 上)の場合の扱いに触れない。本問では なので除外されるが、一言の言及が丁寧。

問7区間に解をもつ条件のパラメータ平面

最難関編解の配置領域の図示

問題

を実数とする。 の2次方程式

が の範囲に少なくとも1つの実数解をもつような点 の全体を、横軸 ・縦軸 の平面に図示せよ。

ヒントを見る

x についての「解の配置」を、(a, b) 平面の「領域」に言い換える問題だ。配置条件を書き下ろしたとき、それぞれの式は ab 平面でどんな曲線・直線の上下を表すか。境界どうしが接する点にも意味がある。

解答・解説

方針

g(x)=x²−2ax+b の区間 [−1,1] での解の存在条件を「またぎ型 g(−1)g(1)≤0」と「内部型 D≥0・軸・両端≥0」に分けて書き、それぞれを ab 平面の不等式として読む。境界の放物線 b=a² と2直線 b=±2a−1 が (±1,1) で接する位置関係をつかむと図が確定する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 の方程式が区間に解をもつ」条件は、いつも通りまたぎ型と内部型で書ける。

本問の新しさはその条件を ではなく 平面の領域として描き直すことだ。条件式の1本1本が 平面では直線 や放物線 の上下として読める。境界たちの位置関係(2直線が放物線に接する)まで確かめれば、領域の形は一意に定まる。

重要区間 に解 ⟺ (またぎ型)または「 かつ軸が区間内かつ 」(内部型)。各式を の不等式として読み替える

① 条件を書き下ろす。 について 、、、軸は 。求める条件は

  • またぎ型:
  • 内部型: かつ かつ かつ

の少なくとも一方。

② 境界の位置関係を読む。 平面で、またぎ型は2直線 と の「一方の上・他方の下」(2直線が作るX字の左右の部分)。内部型は放物線 の下側のうち、2直線の上側で の部分。ここで

だから放物線は2直線のつねに上側にあり、 と でそれぞれ接する。内部型の領域は放物線と2直線に囲まれた曲線三角形になる。

③ 図示する。 2つをあわせた領域が答えだ。X字の帯(またぎ型)の上に、接点 で放物線の屋根がかぶさった形になる。

abO(1, 1)(−1, 1)b=a²b=2a−1
境界: 放物線 b=a²(判別式0)と2直線 b=2a−1, b=−2a−1(x=±1 が解)。2直線は放物線に (±1, 1)(赤点)で接する。領域は2直線の間の帯と、放物線の下・2直線の上の部分の和集合

まとめ: 「 の配置条件 → パラメータ平面の領域」という言い換えは、この単元で身につけたい考え方のひとつだ。境界の接点 は「 がちょうど重解になる」瞬間で、境界どうしの接触には必ず についての意味が対応している。

発展。 解の配置問題はどれも「パラメータ平面の領域」の問題としても見られる。たとえば「両解の絶対値が1未満」の条件は 平面の三角形になる(本サイトの複素数と方程式の最難関にその問題がある)。配置の言葉と領域の言葉の両方で考えられると、解ける問題が増える。

答

または「 かつ かつ かつ 」の表す領域(境界の2直線 は放物線 に で接する)

別解

について解いて、直線族の通過領域と見る(順手ルート)。 方程式 を について解くと

つまり「解 をもつ 」とは を1つ固定したときの 平面の直線 の上の点のこと。求める領域は、 が を動くときのこの直線族の通過領域だ。

を固定して の値域を測る。 は上に凸で、区間 での最大は「頂点 が区間内なら 、外なら近い端点の値」、最小は遠い端点の値 。よって領域は

X字の帯と放物線の屋根が、区間最大最小の言葉でまとめて出た。これは、線分の族の通過領域の問題(この単元の最初の問題)と、文字の名前が違うだけの同じ問題だ。「解の配置」と「通過領域」は、逆手と順手で結ばれた同じものの2つの見方である。

ポイント

  • またぎ型 と内部型( ほか)の和集合。
  • 放物線 は2直線 に で接する。
  • 接点は「 が重解」の瞬間。

よくある間違い

  • 内部型の軸の条件 を落とす。頂点が区間の外にあると、両端の符号だけでは解が区間内に来ない。
  • 接点 を確認せず境界を適当に描く。接触は「 が重解」という意味をもつ検算ポイント。
  • またぎ型と内部型の重なりを気にして引き算を始める。求めるのは和集合なので、重なりはそのまま塗ってよい。

問8絶対値を含む円の不等式の領域と面積

最難関編領域の図示対称性

問題

不等式

の表す領域を図示し、その面積を求めよ。

ヒントを見る

絶対値が2つある。場合分けを4回書く前に、この不等式がもつ対称性に気づけるか。1つの象限に絞れば、見慣れた図形が現れる。その図形と座標軸の位置関係(とくに原点)をよく見て、はみ出す部分・欠ける部分を測る。

解答・解説

方針

x→−x、y→−y で不等式が変わらないので、領域は両軸対称だ。第1象限だけ調べて4倍する。第1象限では絶対値が外れて (x−1)²+(y−1)²≤2 の円板になり、この円は原点を通る。円板が座標軸で切られる部分を弓形(扇形−三角形)で計算する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) としても としても不等式は変わらない。領域は両方の座標軸について対称だ。だから第1象限()だけ調べて4倍すればよい(境界の重なりは面積0)。

第1象限では絶対値がそのまま外れ、平方完成すると円板 。この円はちょうど原点を通る(中心 から原点までの距離が半径 に等しい)。この事実が面積計算(弓形)と「4倍してよいか」の両方を支える。

重要 の不等式は対称性で1象限に帰着。円板が直線で切られた部分は弓形: 面積 ( は中心角)

① 第1象限に帰着する。 では

中心 、半径 の円板。求める領域の第1象限部分は、この円板のうち かつ の部分である。

② 円板から欠ける部分を弓形で測る。 円板のうち の部分は弦 (中心からの距離1)で切られた弓形。中心角 は より 。弓形の面積は

側の弓形も同じ大きさ。しかも円は原点を通るから、2つの弓形は原点1点で接するだけで重ならない。よって第1象限部分の面積は

③ 対称性で4倍する。

領域全体は中心 ・半径 の4つの合同な円板の和集合。となり合う円板は軸をまたいで重なるので、円板の面積を単純に4倍した は過大だ。象限で切って数えたのは、この二重数えを避けるためである。

xyO22
領域は中心 (±1, ±1)・半径 √2 の4つの円板の和集合(色部分)。どの円も原点を通る。となり合う円板は軸ぞいに重なる(濃い部分)ので、面積は象限ごとに分けて数える

まとめ: 「絶対値 → 対称性 → 1象限 → 平方完成 → 弓形」の5連鎖。円が原点を通る、という幾何的事実が、弓形の中心角()と「1つの円板から切り取る2つの弓形が重ならない」ことを保証する。平面を象限で分割して数えるのが安全な設計だ。

発展。 境界の式を極座標で書くと 。1つの式が4枚の円を同時に描いている。絶対値入りの円の方程式は、極座標の目で見ると素性が読みやすくなることがある。

答

面積 (中心 ・半径 の4つの円板の和集合)

別解

包除原理で正面から足し引きする(得意な人向け)。 象限に切らず、4つの円板の和集合の面積を包除原理で数えることもできる。各円板の面積は 、4枚で 。ここから重なりを引く。

となり合う円(たとえば中心 と )は、中心距離 、半径 。重なり(レンズ)の面積は、2つの弓形の和で

(中心角は より 。)となり合うペアは4組。対角の円(中心 と )は、中心距離 がちょうど半径の和に等しく、原点で接するだけ。重なりは0。3枚以上の共通部分も原点1点のみで面積0。よって

象限分割(本解)は重なりを最初から発生させない設計、包除(本ルート)は重なりを正面から精算する設計。答えの一致がレンズ面積の計算の検算にもなっている。

ポイント

  • 両軸対称 → 第1象限では 。
  • 軸に切られる弓形は中心角 で面積 ずつ。
  • 象限あたり 、全体で 。

よくある間違い

  • 円板4枚の面積をそのまま足して と答える。となり合う円板は軸ぞいに重なっており、二重数えになる。
  • 第1象限の円板が象限からはみ出すこと(原点を通る円の弓形2枚が外にある)を見落とし、 型の誤計算をする。
  • 弓形の面積公式で中心角を度のまま代入する。 の はラジアン。