数学I / 2次方程式・2次不等式

2次方程式・2次不等式 ★★ 標準の問題 全12問

定期テストレベル。典型パターンの運用

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 因数分解と解の公式による2次方程式の解法
  2. 判別式と実数解の個数
  3. 放物線とx軸の共有点・接する条件
  4. 2次不等式の解法(x軸と2点で交わる型)
  5. 2次不等式の解法(D=0・D<0の型)
  6. 連立2次不等式と整数解
  7. 2次不等式の文章題(長方形の面積)
  8. 放物線と直線の共有点
  9. 絶対不等式(すべての実数で成り立つ条件)
  10. 文字係数の2次不等式(場合分け)
  11. 解の配置(異なる2つの正の解)
  12. 解の配置(1を挟む2解)

問1因数分解と解の公式による2次方程式の解法

★★ 標準2次方程式解の公式

問題

次の2次方程式を解け。

(1)

(2)

ヒントを見る

(1)は因数分解(たすき掛け)できる形。(2)は が偶数なので、 とおくと計算が軽い『 の公式』が使える。

解答・解説

方針

(1)は因数分解できる。(2)は因数分解できないので解の公式。 が偶数()のときは、少し簡単な公式 が使える。分母が になって計算がラクだ。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 2次方程式の方針は2段構えだ。まず因数分解を試す。できなければ解の公式に切り替える。

(2)のように の係数が偶数なら、 用の軽い公式に乗り換えると計算量が半分になる。どの道具で行くかを最初に決めてから手を動かす。試行錯誤は因数分解の10秒だけでいい。

公式解の公式 ( が偶数なら )

(1) をたすき掛けで因数分解する。展開して確かめると

合っている。だから

か から

(2) は因数分解できないので解の公式。 が偶数なので、()として使える簡単な公式

を使う。 を代入して

まとめ: が偶数のときは を使う公式が便利。ふつうの公式より、 でなく で済んで計算が軽い。

発展。 解の公式の の中身 には、判別式という名前が付いている。この値の符号だけで「解が2個か、1個か、なしか」が分かる。次の問題で主に使う。

因数分解・平方完成・解の公式は別々の3つの技ではなく、同じ方程式を解く3つの方法である。どれからでも同じ答えに着くことを、一度は自分の手で確かめておきたい。

答

(1) (2)

別解

(2)は解の公式を忘れても平方完成で解ける。むしろ、これが公式の中身そのものだ。 の両辺を で割って 。

の部分を平方完成すると 。2乗が だから 。よって 。解の公式はこの平方完成を一般の で一度だけやった結果を暗記しているにすぎない。公式がど忘れしても、この道順さえ覚えていれば現場で復元できる。

ポイント

  • 因数分解できれば因数分解、できなければ解の公式
  • が偶数()なら が便利
  • 因数分解は展開して確かめる

よくある間違い

  • 偶数用の公式で をそのまま使う( に直してから使う)
  • 因数分解の符号を間違える
  • 偶数用の公式と通常の公式を混ぜて、分母を にしてしまう(偶数用の分母は )

問2判別式と実数解の個数

★★ 標準判別式

問題

を定数とする。 の2次方程式 について、次の問いに答えよ。

(1) 異なる2つの実数解をもつような の値の範囲を求めよ。

(2) 重解をもつような の値と、そのときの重解を求めよ。

ヒントを見る

をまず展開・整理(できれば因数分解)。『異なる2解 → 』『重解 → 』と対応させて を求める。重解のときは解も。

解答・解説

方針

『異なる2つの実数解』は 、『重解』は 。 を の式にして、条件を について解く。 の式が の2次式になったら、因数分解して不等式を解く(それ自体が2次不等式)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 解の個数の条件は、判別式の条件に書き直す。「異なる2つの実数解」は 、「重解」は だ。

そう決めたら、あとは を の式で書く作業になる。ここで覚悟しておくことが1つ。 自身が の2次式になるので、「判別式の不等式が、また2次不等式になる」という入れ子構造が現れる。あらかじめ知っていれば、途中で迷子にならない。

公式判別式 。異なる2解 、重解

判別式を計算・整理する。 なので

(1) 異なる2つの実数解 →

は外側なので

(2) 重解 →

から または 。(それぞれ重解の値も から求まる。)

xyOD<0D>0
判別式 D の符号で x軸との交点数が決まる。D>0:2個(実数解2)、D=0:1個(重解)、D<0:0個

まとめ:判別式 を の式にすると、それ自体が の2次式。因数分解して2次不等式・2次方程式として解く、という2段構えになる。

発展。 判別式の符号は放物線と 軸の位置関係(2点で交わる・接する・離れる)の代数版だ。次の問題で、この図形との対応を正面から使う。

「条件を課したら、判別式自身が新しい2次不等式になる」という入れ子は、文字定数入りの問題の典型的な構造である。外側の問題と内側の問題を混同しないよう、いま何の変数について解いているかを常に意識したい。

答

(1) (2) のとき重解 、 のとき重解

別解

(2)の重解の値は解の公式に戻らなくても出せる。重解は「軸の位置」そのものだからだ。 のとき、解の公式の の部分が消える。残るのは 、つまり放物線の軸だ。

のとき: 。 のとき: 。「接する=頂点が 軸に乗る=重解は軸の位置」。グラフの絵と結びつけておくと、重解の値は代入し直すより速く、確実に出せる。

ポイント

  • 異なる2実数解 → 、重解 →
  • を の式にして、因数分解して解く
  • の式が2次式なら、2次不等式として処理

よくある間違い

  • の展開・符号ミス
  • (外側)と (内側)を取り違える
  • (2)で を求めて満足し、重解の値まで答え忘れる

問3放物線とx軸の共有点・接する条件

★★ 標準グラフ共有点

問題

(1) 放物線 と 軸の共有点の座標を求めよ。

(2) 放物線 が 軸と接するように定数 の値を定め、そのときの接点の座標を求めよ。

ヒントを見る

(1)は を解いて座標。(2)『接する』は共有点1個=。 を について解き、接点は軸 で求める。

解答・解説

方針

(1)共有点の座標は とおいた方程式の解。(2)『 軸と接する』は、共有点1個 = 重解 = 。この条件から を求め、接点(重解)の座標も出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 軸と接する」という図形の言葉を、「重解をもつ()」という方程式の言葉に言い換える。これが第一歩だ。

接点の 座標は重解そのもの。 のとき解の公式の が消えて、軸の位置だけが残る。「接する・重解・・頂点が軸上」は全部同じことの言い換えだと結びつけておく。

公式放物線が 軸に接する

(1)

xyO(−1, 0)(5, 0)
(1) 上に凸の放物線と x 軸の交点は (−1, 0)、(5, 0)

で とおく。 の係数を正にするため をかけて

因数分解して

。共有点の座標は

(2)

xyO接点 (3, 0)
(2) k = 9 のとき y = (x−3)² となり x 軸に接する

『 軸と接する』は共有点1個、つまり重解、つまり 。 で は偶数なので で計算する。

接する条件 から

このとき接点(重解)は で、 だから

まとめ:『接する』= 重解 = 、と言い換えれば解ける。接点の 座標は重解 で求まる。

発展。 「接する」という概念は、ここが出発点だ。数学IIでは円と直線が接する条件(距離=半径、または )、さらに微分では曲線の接線として、形を変えながら何度も登場する。

どの場面でも考え方は同じで、「共有点が1つに退化する瞬間」を式でとらえている。判別式ルートと頂点ルートの2本を持っておくと、場面ごとに速いほうを選べる。

答

(1) 、 (2) 、接点

別解

(2)は平方完成でも解ける。 と変形すると、頂点は である。下に凸の放物線が 軸と接するのは頂点がちょうど 軸に乗るときなので、 より で、接点は頂点そのもの、すなわち である。「接する=頂点が軸上」という図形的な見方も、判別式と並ぶ有力な道具になる。

ポイント

  • 共有点の座標は の方程式の解
  • 『 軸と接する』= 重解 =
  • 接点(重解)の 座標は

よくある間違い

  • 『接する』を や としてしまう(正しくは )
  • 接点の座標(重解)を求め忘れる
  • 接点の 座標を解の公式で計算し直す(重解は軸の位置 で即答できる)

問42次不等式の解法(x軸と2点で交わる型)

★★ 標準2次不等式

問題

次の2次不等式を解け。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

で交点を求め、下に凸なら『内側が負・外側が正』。(2)は の係数が負なので をかけて向きを直す。(3)は因数分解できないので解の公式で交点を。

解答・解説

方針

軸と2点で交わる型の2次不等式。 で因数分解(または解の公式)して交点を求め、放物線を見て正・負の範囲を読む。 は内側、 は外側。

(2)は の係数が負なので をかけて向きを直す。(3)は因数分解できないので解の公式で交点を出す。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 2次不等式はグラフで読む。まず の交点を求め、放物線の絵で「 は内側、 は外側」と読む。

(2)のように の係数が負なら、先に を掛けて下に凸にそろえる。向きが逆になることだけ注意。(3)は因数分解できないが、あわてない。交点は解の公式で出せばよい。考える型はいつも1つ、「交点を出してグラフの高さを読む」だ。

公式下に凸の (): は外側、 は内側

(1)

xyO−35
(1) y > 0 となるのは x < −3、5 < x(グラフが x 軸より上)

。因数分解すると

は外側なので

(2)

xyO−1/23
(2) 上に凸: y ≥ 0 となるのは −1/2 ≤ x ≤ 3

は の係数が負。両辺に をかけて(向きが逆になる)

たすき掛けで因数分解する。

は内側なので

(3)

xyO3−√23+√2
(3) 解の境界が無理数になる場合: 3−√2 < x < 3+√2

。因数分解できないので、 を解の公式( 偶数)で解く。

交点は 。 は内側なので

まとめ:2次不等式は『交点を求めて、内側()か外側()かを読む』。 の係数が負なら 、因数分解できないなら解の公式、と場面で使い分ける。

発展。 「交点を出して高さを読む」という見方は、2次に限らない。数学IIの3次以上の不等式では別解の「因数の符号」を表に整理する方法(符号表)を主に使う。

不等式を「方程式+グラフ」に分解して考える習慣は、この先の指数・対数・三角の不等式でもそのまま通用する、一生モノの型だ。

答

(1) (2) (3)

別解

グラフを描かずに、「積の符号」の論理で解く方法もある。(1) は「2つの因数の積が正」ということ。積が正になるのは、両方正か、両方負のときだ。

  • 両方正: かつ 、つまり 。
  • 両方負: かつ 、つまり 。

合わせて または 。グラフの「外側」と同じ答えになる。

なら「片方が正で片方が負」を考えればよい。数の符号ルール(正×正、負×負は正)だけで解けるので、グラフのイメージがまだ不安な人の検算ルートとして使える。ただし因数が増えると場合分けが膨らむので、最終的にはグラフ読みに慣れるのが得だ。

ポイント

  • 交点を求め、内側()か外側()かを読む
  • の係数が負 → をかけて向きを直す
  • 因数分解できないときは解の公式で交点を出す

よくある間違い

  • (2)で 倍したとき、不等号の向きを変え忘れる
  • 内側()と外側()を取り違える
  • (3)で「因数分解できないから解けない」と止まる(交点は解の公式で出せる)

問52次不等式の解法(D=0・D<0の型)

★★ 標準2次不等式判別式

問題

次の2次不等式を解け。

(1)

(2)

(3)

(4)

ヒントを見る

平方完成か因数分解でグラフの 軸との関係を見る。 は 以外、 は1点。 で下に凸なら常に正になる。不等号の向きで『すべて』か『解なし』かが決まる。

解答・解説

方針

交点がない()型。因数分解できるものは の形、できないものは判別式で『必ず正か・0以下にならないか』を判断する。 は 以外、 は だけ、 で下に凸なら必ず正。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) この4問は、放物線が 軸と「接する」か「離れている」型だ。最初に型を見極める。

因数分解して2乗の形が出たら、「2乗は 以上」という事実だけで解が読める。

因数分解できないものは判別式で「そもそも 軸と交わらない」と確認する。グラフが常に軸の上(または下)にある絵を思い浮かべれば、答えは「すべての実数」か「解なし」か「1点だけ」のどれかになる。

公式(等号は )。 で下に凸なら常に正

(1)

xyOx = 3 を除く
(1) y = (x−3)² > 0 は x = 3 以外で成立

。

0になるのは だけなので、 は 以外のすべての実数。

(2) 。

になるのは のときだけ。

(3)

xyO頂点は x 軸より上
(4) D < 0 でグラフ全体が x 軸より上 → すべての実数で成立

。判別式を見る。

で下に凸なので、この2次式は必ず正。(負)になることはないので解なし。

(4) 。判別式を見る。

で下に凸なので、必ず正。 はいつも成り立つのですべての実数。

まとめ: の型は の形や判別式で『必ず正か、0になるのはどこか』を見る。答えが『◯以外のすべて』『すべての実数』『解なし』になるのが特徴。

発展。 この問題の4つの場合(1点を除く全実数・1点だけ・解なし・全実数)は、2次不等式の「例外パターン」の全カタログだ。ふつうの2交点型と合わせて、これで全種類を見たことになる。

「常に正」を示す2つの道(判別式 と、最小値が正)は、このあと絶対不等式の問題で正面から問われる。両方の道を持っておくと強い。

答

(1) 以外のすべての実数 (2) (3) 解はない (4) すべての実数

別解

(3)(4)は判別式の代わりに平方完成で「最小値」を直接見せる方法もある。(3) 。2乗の部分は 以上だから、式全体はいつでも 以上。つまり常に正で、 になる瞬間はない。解なし。

(4) 。いつでも 以上で常に正。 はすべての実数で成立する。

判別式からは「交点があるか」が分かり、平方完成からは「グラフがどの高さにあるか」まで分かる。どちらでも結論は同じで、答案ではどちらを使ってもよい。

ポイント

  • の形や判別式で『必ず正か・0になるのはどこか』を見る
  • は 以外、 は だけ
  • で下に凸 → 必ず正( はすべての実数、 は解なし)

よくある間違い

  • を「すべての実数」としてしまう( のとき になるので除く)
  • 「解なし」「すべての実数」を答えにできず、無理に範囲を作る
  • (2)で を「解なし」とする(等号があるので の1点が残る)

問6連立2次不等式と整数解

★★ 標準連立不等式

問題

連立不等式

を解け。また、この連立不等式を満たす整数 をすべて求めよ。

ヒントを見る

それぞれ因数分解して解き、共通範囲を出す。そのあと『範囲内の整数を数える』。端が含まれるか(/)で個数が変わる。

解答・解説

方針

連立2次不等式は別々に解いて共通部分をとる。そのあと『整数解が何個か』を、共通範囲の中の整数を端に注意して数える。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 前半は定型作業だ。2つの不等式を別々に解いて、共通部分をとる。

後半の「整数を数える」段階では、注意すべき点が変わる。端の値を含むか含まないかが、そのまま答えの個数を左右する。数直線を描いて、端に「含む●・含まない○」の印を打ってから数える。この一手間がいちばん安い保険になる。

x-213②②①共通範囲
①: −2 < x < 3、②: x ≤ 1 または 3 ≤ x で、共通範囲 −2 < x ≤ 1 の整数は −1, 0, 1
公式 は内側、 は外側(境界を含む)

それぞれ解く。

1つ目 を因数分解すると

は内側なので 。

2つ目 を因数分解すると

は外側なので または 。

共通部分 と『 または 』の両方を満たすのは

この範囲の整数は、 は含まない(<)、 は含む(≦)ので

まとめ:の3個。連立2次不等式は『別々に解いて共通部分』、整数は端の含む・含まないに注意して数える。

発展。 この型の発展形が「整数解がちょうど 個になるように定数の範囲を決めよ」という逆問題だ。そこでは、端を含むか含まないかで答えが変わる。

この問題の「別々に解く → 共通部分 → 端の検分」という3段は、その応用でも基本の流れとして変わらない。

答

、整数

別解

2つの不等式を「区間の表」で同時に処理する方法もある。出てくる交点をぜんぶ並べると 。数直線がこの3点で4つの区間に切れる。各区間で、 と の成否を○×で書き込む。

  • : 1つ目×(積が正)
  • : 1つ目○、2つ目○ → 両方成立
  • : 1つ目○、2つ目×(積が負)
  • : 1つ目×

境目は個別に確認する。 は2つ目が で成立( だから)、1つ目も成立。 と は1つ目が不成立。

よって 。区間表は、不等式が3本以上に増えても同じ書式で押せるのが強みだ。

ポイント

  • 連立2次不等式は別々に解いて共通部分をとる
  • 整数解は共通範囲の中を、端の等号に注意して数える
  • 数直線でかくと重なりと端が見える

よくある間違い

  • 共通部分でなく、片方の不等式だけで整数を数える
  • 端の (含まない)・(含む)を取り違える
  • 共通部分を頭の中だけで処理して、数直線での確認を飛ばす

問72次不等式の文章題(長方形の面積)

★★ 標準文章題2次不等式

問題

周囲の長さが の長方形の土地を作る。縦の長さを とするとき、この土地の面積が 以上となるような の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

横を で表し、面積 を2次不等式に。整理して因数分解できる形にすると解きやすい。長さの意味も確認。

解答・解説

方針

周40mの長方形。縦 なら、縦2辺で 使うので、横1辺は 。面積 が96以上の条件を、2次不等式にして解く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 文章題の流れは「横を で表す → 面積の不等式を立てる」の2段だ。

周の長さが m と固定されているから、縦を とすれば横は と自動的に決まる。変数は1つで済む。不等式 ができたら、あとは2次不等式の作業。最後に、長方形が成立する範囲( も横も正)と交わらせるのを忘れない。

xyO812
x² − 20x + 96 ≤ 0 となるのは 8 ≤ x ≤ 12

① 周の長さから、横の長さを で表す。 縦2辺で 使うので、横2辺の合計は 、横1辺は

② 面積の条件を不等式にする。 面積が96以上の条件は

展開・整理する。

③ 2次不等式にして解く。 両辺に をかけて(向きが逆になる)

因数分解して

は内側なので

(縦 も横 もこの範囲で正。)

まとめ:周から横の長さ を出し、面積の条件を2次不等式にするのが流れだ。

発展。 別解の「和が一定なら半々が最大」は、数学IIで相加平均・相乗平均の関係として定理になる。面積・利益・材料の配分など、「分け方で積を最大にする」問題すべてに共通する考え方だ。

「 以上になる範囲」は、最大値 の山を高さ で水平に切った断面でもある。不等式と最大最小が同じグラフの別の読み方だ、という見方を持っておくと応用が利く。

答

別解

「正方形からのずれ」で読むと、計算がほとんど要らなくなる。縦と横の和は で固定。ちょうど半分ずつの (正方形)のとき、面積は最大の になる。縦を とずらすと横は で、面積は 。ずれの2乗の分だけ、必ず面積が減る。

面積が 以上という条件は 、つまり 、。縦に戻せば 。「和が一定なら、半々が最大。ずれの2乗だけ損をする」という1つの見方で、最大値の問題も範囲の問題も同じように読める。

ポイント

  • 周40 → 横1辺
  • 面積の条件を2次不等式にして整理・因数分解
  • をかけるとき、不等号の向きを直す

よくある間違い

  • 横の長さを求め間違える(周 から縦2辺を引いて で割る)
  • 倍のとき、不等号の向きを変え忘れる
  • 長方形の成立条件()の確認を飛ばす(今回は結果に影響しないが、作法として必要)

問8放物線と直線の共有点

★★ 標準共有点判別式

問題

を定数とする。放物線 と直線 について、次の問いに答えよ。

(1) のとき、放物線と直線の共有点の座標を求めよ。

(2) 放物線と直線が接するときの の値と、接点の座標を求めよ。

(3) 放物線と直線が共有点をもたないような の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

連立して の2次方程式(★)にまとめると、 は定数項に入る。判別式 を で表せば、(1)代入して解く、(2) で接する、(3) で共有点なし、がまとめて扱える。

解答・解説

方針

放物線と直線の共有点は、2式を連立した2次方程式(★)の解。(1) で(★)を解いて座標を出す。(2)共有点の個数が変わる境目は、(★)の判別式 。 で接する、 で共有点なし。 を で表して調べる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 放物線と直線の共有点は、連立して を消した2次方程式がすべてを握っている。

(1)は、その方程式を解けば座標が出る。(2)(3)は個数の話だから、判別式を使う。「同じ方程式を、解くためにも、個数を数えるためにも使い回す」。この関係を最初につかめば、3つの小問を同じ流れで解ける。

xyO(1, 2)(3, 6)接点 (2, 3)k = 0k = −1
y = x² − 2x + 3 と直線 y = 2x + k(k = 0 で2点、k = −1 で接する)
公式放物線と直線の共有点 連立した2次方程式の実数解(接する )

放物線 と直線 を連立する。

整理して

この(★)の解が共有点の 座標。判別式( 偶数)は

(1) のとき: (★)は

に代入して、座標は

(2) 接する(): から

このとき(★)の重解 、 で接点

(3) 共有点なし(): から

まとめ:放物線と直線は、連立した2次方程式(★)で扱う。個数の境目は判別式 を で表して調べる、が基本だ。

発展。 別解の「差の関数」は2つのグラフの上下関係を1つの関数の符号に圧縮する見方だ。数学IIで「すべての でグラフAがグラフBより上」といった条件を扱うとき、この圧縮が標準の第一手になる。

「接する=差の関数が重解を持つ=差の最小値が 」という3つの言い換えは、微分で接線を学ぶときにもう一度出会うことになる。

答

(1) 、 (2) 、接点 (3)

別解

「差の関数」の目で見ると、 の役割がはっきりする。放物線と直線の差を とおく。共有点は の解だ。 を平方完成すると 。最小値は での 。

  • 最小値が より下()なら、 は2解。2点で交わる。
  • 最小値がちょうど ()なら重解。接する。接点の 座標は最小の場所 、 は直線に代入して 。
  • 最小値が より上()なら解なし。共有点なし。

直線を上下に動かす は差の関数の高さを上下させているだけ。「差の最小値と の比較」という1つの見方で、(2)(3)が同時に見える。

ポイント

  • 放物線と直線の共有点は、連立した2次方程式(★)の解
  • 共有点の個数の境目は(★)の判別式
  • で接する、 で共有点なし

よくある間違い

  • 連立して を消すときの整理ミス
  • 接点や共有点の 座標を求め忘れる
  • (3)で「共有点なし」を とする( は接する=共有点1個なので )

問9絶対不等式(すべての実数で成り立つ条件)

★★ 標準絶対不等式

問題

すべての実数 に対して、不等式 が成り立つような定数 の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

『すべての実数で 』→ 下に凸で 。 を計算して を解く。 が偶数なので を使うと楽。

解答・解説

方針

『すべての実数で 』は、下に凸の放物線が 軸と交わらない = 。 を で表して を解く。 の係数が正(下に凸)であることも確認する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「すべての実数で 」を、グラフの言葉で言い換える。「放物線が 軸から浮いている」だ。

浮いている条件は、交点がないこと。つまり 。 の係数に文字 が入っていても、手順は変わらない。 を で表して、その2次不等式を丁寧に解くだけだ。 の係数が正(下に凸)であることの確認も、答案では一言添える。

xyO頂点が x 軸より上
「すべての実数 x で y > 0」⇔ グラフ全体が x 軸より上 ⇔ D < 0
公式すべての実数で ()

『すべての実数 で 』は、下に凸の放物線が 軸と交わらないこと。 の係数は1で正(下に凸)。共有点なしの条件は

判別式( が偶数なので )を計算する。

より

は内側なので

まとめ:『すべての実数で 』= 下に凸で 。判別式を で表して不等式を解く。

発展。 「常に正」を示す2つの道(判別式 、最小値が正)は、どちらも今後の主力だ。数IIの証明問題では最小値ルートが、条件処理では判別式ルートが活躍することが多い。

発展形は、 の係数にも文字が付くタイプだ。係数が なら1次式、負なら上に凸となり、「2次で下に凸」の場合分けが最初に必要になる。今回の「係数が正の確認」は、その準備である。

答

別解

別の見方として、 の最小値(頂点の 座標)が正、と考えてもよい。頂点の 座標は 。これが正なら、下に凸の放物線全体が正になる。

これが なら

両辺 倍して 、、。判別式でも最小値でも、同じ答えになる。

ポイント

  • 『すべての実数で 』→ 下に凸で
  • の係数が正(下に凸)を確認
  • 別解: 頂点の 座標(最小値)が正、でも同じ

よくある間違い

  • としてしまう( では接して の瞬間があり、 が破れる)
  • 判別式()の計算の符号ミス
  • 下に凸( の係数が正)の確認を書き忘れる(係数が文字なら場合分けが必要になる)

問10文字係数の2次不等式(場合分け)

★★ 標準文字係数場合分け

問題

を定数とする。 の2次不等式 を解け。

ヒントを見る

因数分解すると 。交点は と だが、 が より大きいか小さいかで『内側』の書き方が変わる。・・ で場合分けする。

解答・解説

方針

は因数分解できる。。解は2つの交点 と の内側だが、 と の大小がわからないので場合分けする。

なら 、 なら で解なし、 なら 。どちらが小さいかで内側の書き方が変わる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 因数分解すると 。交点は と で、解は内側、までは決まる。

決まらないのは「どちらが左か」だ。 は文字だから、 との大小が分からない。文字入りの交点を見たら、「大小で場合分け。等しいときは退化」という3分岐を最初に設計する。、、 の3枚の絵を描いてから書き始める。

公式 の解は内側(小さいほう 大きいほう)

因数分解する。

交点は と 。(内側)が答えだが、 と のどちらが小さいかで書き方が変わるので場合分けする。

① :

xyOa3
(i) a < 3 の例: 解は a < x < 3

のほうが小さいので、内側は

② : 2つの交点が重なり 。2乗が負になることはないので解なし。

③ :

xyO3a
(iii) a > 3 の例: 解は 3 < x < a

のほうが小さいので、内側は

まとめ:文字係数の2次不等式は、交点(ここでは と )の大小がわからないので場合分けが必要。(重なる)を境に、内側の書き方が入れかわる。

発展。 「大小で場合分け、等しいとき退化」の3分岐は、文字入りの因数分解型すべてに通用する普遍の型だ。等号のときに解が消える(退化する)ところまで含めて1セットで覚えたい。

数IIに進むと、 の係数にも文字が付く型(正・・負で放物線の向き自体が変わる)へ拡張される。分岐を先に設計しておく習慣が、そこで役に立つ。

答

のとき 、 のとき解はない、 のとき

別解

文字の場合分けが不安なときは、具体的な で「答えの形」を先に見てしまうとよい。 を入れてみる。 の解は 。つまり「 と の間」だ。 なら で 。やはり「 と の間」だが、今度は が左になる。

ちょうどでは 。2乗が負になることはないから、解なし。

3つの実験で、答えの3つの形(内側の書き方2通り+解なし)が出そろった。あとは境目を にして一般の言葉で書き直すだけだ。文字を見たら具体値で形をつかむ。この実験の習慣は、場合分けの問題全般で方針を決める手がかりになる。

ポイント

  • 因数分解して交点を出す( と )
  • 交点の大小がわからない → 場合分け(、、)
  • (交点が重なる)は で解なし

よくある間違い

  • 場合分けせず とだけ答える( の場合を落とす)
  • の「解なし」を見落とす
  • のとき を「」と答える( なので になる も入らず、解なし)

問11解の配置(異なる2つの正の解)

★★ 標準解の配置

問題

の2次方程式 が異なる2つの正の解をもつような定数 の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

解かずにグラフで。『異なる2つの正の解』→ ①、②軸(頂点の )が正、③。この3つを同時に満たす を。

解答・解説

方針

『異なる2つの正の解』は、グラフで『下に凸が 軸の正の部分で2点交差』。①、②軸 、③ の3条件をすべて満たす。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「異なる2つの正の解」を、グラフの絵で表す。下に凸の放物線が 軸の正の部分で2回交わる絵だ。

絵を式の条件に分解すると3つになる。①そもそも2回交わる()。②山場が右半分にある(軸 )。③左端の高さが正()。

3条件は絵の各パーツに対応している。図とセットで覚えれば、丸暗記にならない。

xyO軸 x = mf(0) > 0
異なる2つの正の解: D > 0、軸 > 0、f(0) > 0(図は m = 3 の例)
公式異なる2つの正の解 ① ②軸 ③

のグラフ(下に凸の放物線)が、 軸の正の部分で異なる2点で交わればよい。それには3つが同時に要る。

① 異なる2解 → : グラフが 軸と2点で交わる、ということ。 偶数なので

より または 。

② 2解とも正 → 軸が正: 2つの交点の「まん中」が軸。交点が両方とも正なら、そのまん中も正。平方完成すると

軸は 。これが正、つまり 。

③ : ここが一番忘れやすい。①②だけではまだ「2解がともに より右」とは言い切れない(片方が の左に食い込むこともある)。そこで での高さ が正であることを要求する。下に凸の放物線が で 軸より上にあるなら、 は2つの交点より左側にある。つまり2つの解はどちらも より右=正になる。これで初めて「2解とも正」が保証される。

まとめ:3つ( または )かつ()かつ()の共通範囲は 。「異なる2つの正の解」は (2点で交わる)・軸 (まん中が正)・( が2解の左)の3つで、 軸との交わり方をグラフで思い浮かべると3条件の意味がつながる。

発展。 「2つの負の解」なら軸 と 、「異符号の解」なら次の問題のように の1本だけ。配置のパターンごとに条件セットが変わる。丸暗記でなく、毎回絵から条件を組み立てる練習をしておくと、初見の配置にも対応できる。

別解の和と積の言葉は、数学IIの解と係数の関係で正式に手に入る。グラフの言葉との対応表を自分で作っておくと、両者が同じことを言っていると分かる。

答

別解

2つの解を 、 として、「和と積」で条件を書く方法もある(数学IIで学ぶ解と係数の関係の先取りだ)。 を因数分解した形 を展開して見比べると、、 と読み取れる。

2つの解がともに正である条件は、「和が正、かつ積が正」と言い換えられる(和と積が両方正になるのは、両方正のときだけだ)。

  • 異なる2実解: → → または
  • 和が正: →
  • 積が正: →

3つの共通部分は 。グラフの3条件(軸・端点)と、代数の3条件(和・積)が同じ答えに着く。2つの表し方を行き来できると、検算にもなる。

ポイント

  • 異なる2正解 → ① ②軸 ③
  • グラフで『下に凸が正の部分で2点交差』とイメージ
  • 3条件すべての共通範囲をとる

よくある間違い

  • 3条件(・軸・)のどれかを忘れる
  • だけで判断してしまう
  • 3条件の連立で、共通部分でなく和集合をとってしまう

問12解の配置(1を挟む2解)

★★ 標準解の配置

問題

の2次方程式 が、 より大きい解と より小さい解を1つずつもつような定数 の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

『 より大きい解と小さい解を1つずつ』=『 を2解が挟む』。下に凸の放物線が で 軸より下、つまり の1条件だけで決まる。

解答・解説

方針

『1より大きい解と1より小さい解を1つずつ』は、放物線が の位置で 軸をまたぐ状況。下に凸の放物線が の直下(下側)を通ればよい。

つまり条件は の1つだけだ。 で放物線が 軸より下にあれば、その左右で必ず 軸と交わり、1を挟む2解になる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「 より大きい解と小さい解を1つずつ」。いつものように ・軸・端点の3つを調べる前に、図を見てほしい。

下に凸の放物線が で 軸より下にありさえすれば、左右へ上がっていく途中で必ず1回ずつ軸を横切る。

つまり条件は の1つだけに退化する。 は自動で満たされる( で負の値をとる以上、必ず2交点がある)。「またぐ型は端点だけ」という省エネに気づけるかが分かれ目だ。

xyOf(1) < 01
1 より大きい解と小さい解を1つずつもつ ⇔ f(1) < 0(図は a = 0 の例)

、下に凸。

公式 を挟む2解(下に凸)

『1より大きい解と1より小さい解を1つずつ』もつのは、放物線が の位置で 軸より下にあるとき。つまり条件は

の1つだけ(下に凸の放物線が で負なら、その左右で必ず 軸を1回ずつ横切り、1を挟む2解になる)。 を計算する。

より

これを解いて

まとめ:『ある値 を挟む2解』は、(下に凸の場合)の1つの条件で決まる。 や軸の条件は、 が成り立てば自動的に満たされるので不要だ。

発展。 解の配置は「両方が区間の右」「またぐ」「区間内に2解」などの型ごとに、必要な条件の本数が違う。またぐ型が1本で済むのは、 が他の条件()を自動的に連れてくるからだ。条件の従属を見抜くと、計算が大きく減る。

「境界での関数値の符号」だけで解の存在が言える、という考え方は、数学IIIの中間値の定理で一般の関数へ拡張される。

答

別解

2つの解 、 の言葉で書き直す方法もある。「 をはさむ」は 、つまり

と1本の不等式になる( との差が異符号、ということだ)。展開すると 。解と係数の対応(、)を入れて

整理して 、。実はこの左辺は そのものだ()。本解の「」と別解の「差の積が負」は、同じ量を図形と代数の両側から見ていたことになる。

ポイント

  • 『 を挟む2解』は (下に凸)の1条件だけ
  • で放物線が 軸より下なら、左右で必ず1回ずつ交わる
  • や軸の条件は不要(自動で満たされる)

よくある間違い

  • や軸の条件も付けて、余計に複雑にする(またぐ型は だけで十分)
  • の計算( の代入)を間違える
  • と等号を付けてしまう( だと 自身が解になり、「大きい・小さい」の条件に反する)