数学I / 2次方程式・2次不等式

2次方程式・2次不等式 最難関編の問題 全8問

東大・京大の最難関レベル。気づきにくい発想や、何段階もの議論が必要な問題

難易度: ★ 基礎·★★ 標準·★★★ 応用·★★★★ 難関·実戦編·最難関編

  1. 3項の積和方程式は必ず実数解をもつ
  2. パラメータの全称条件と、見る文字の入れかえ
  3. 3つの値のどれかは 1/2 以上
  4. 実数解の制約つきの対称式の最小
  5. 2回写して戻る値(f(f(x))=x)
  6. 奇数係数の2次方程式と有理数解
  7. 区間にちょうど1つの解をもつ条件
  8. 4次式が常に正であること

問13項の積和方程式は必ず実数解をもつ

最難関編判別式中間値の考え

問題

を実数とする。 の方程式

は必ず実数解をもつことを示せ。また、重解をもつのは がどのような場合かを求めよ。

ヒントを見る

展開して判別式を計算すると、対称式 が現れる。この量が0以上であることを示す恒等式はなかったか。あるいは、 に そのものを代入した値の符号を調べても解ける。

解答・解説

方針

展開すると 3x²−2(a+b+c)x+(ab+bc+ca)=0。判別式を計算し、(a+b+c)²−3(ab+bc+ca) が「差の平方和の半分」に等しいという恒等式で符号を確定する。別ルート: f(b)=(b−a)(b−c) は a≤b≤c と並べると0以下。グラフが x 軸に届く。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 実数解の存在を示す道は、大きく二択だ。判別式か、値の符号(中間値の考え)か。

判別式ルートでは、対称式 の符号が問題になる。ここで恒等式

を思い出せると強い。右辺は差の平方和。0以上が即断できる。

もう1つの道は代入だ。 を入れると第2・第3項が消えて、 だけが残る。 と並べればこれは0以下。上に開く放物線が0以下の値をとるなら、 軸と必ず交わる。どちらの方法でも解ける。

重要。代入 では、真ん中の値を入れると2項が消える

① 展開して判別式を計算する。 左辺を とすると

判別式は

右の恒等式は両辺を展開すればどちらも になって一致する。よって実数解をもつ。

② 別の見方(代入)。 大小を と並べ替えても方程式は変わらない。 を代入すると

は上に開く放物線だ。値が0以下になる点があるから、グラフは 軸と共有点をもつ。実数解の存在がグラフの言葉でも見える。

xyO(b, f(b))13
a=0, b=1, c=3 の例: y=f(x) は上に開き、真ん中の値 f(b)=(b−a)(b−c)=−2 ≤ 0(赤点)なので、グラフは必ず x 軸に届く

③ 重解の条件。 重解 ⟺ ⟺ 。実数の平方和が0になるのは、全部が0のときだけ。よって である。このとき方程式は となり、たしかに の重解をもつ。

まとめ: 対称な式には、対称式の恒等式か、対称な点の代入が役に立つ。本命は「判別式が差の平方和に畳まれる」恒等式。裏の近道は代入 だ。重解の条件が という完全に対称な場合と一致することも分かる。

発展。 実はこの方程式の実数解は、必ず の最小値と最大値のあいだにある。別解の見方を使うと、その位置情報まで手に入る。解の存在だけでなく、解の居場所まで分かる式だ。

答

証明(判別式が )。重解 ⟺

別解

同符号の積の和で見る(得意な人向けの第3の視点)。 とおく。方程式は

と書ける。ここで が の最大値より大きいとしよう。すると はすべて正。積の和 は正になってしまい、0にはなれない。 が最小値より小さいときも同じだ。 はすべて負で、積の和はやはり正。

つまり、解が存在するなら必ず の最小値と最大値のあいだにある。

そのうえで存在を言うには、本解の材料を使えばよい。真ん中の値で 。遠方では (上に開く放物線)。符号が変わる区間それぞれに解がある。 とすれば「 側と のあいだ」「 と 側のあいだ」に1つずつだ。

判別式は「実数解があるか」だけを答える。この見方なら「どこにあるか」まで分かる。

ポイント

  • (恒等式)。
  • 別解: で符号の変化。
  • 重解 ⟺ 。

よくある間違い

  • 展開せずに「積の和だから正になりそう」と直感で誤断する。 が の間にあるときは負の積が混ざるので、符号は自明でない。
  • 判別式の計算で の係数3を落とす。 の「3倍」を落としやすい。
  • 重解の条件を と書いて満足してしまう。 から「実数の平方和が0 ⟺ 各項0」で まで詰める。

問2パラメータの全称条件と、見る文字の入れかえ

最難関編全称条件1次関数の端点

問題

を満たすすべての に対して

が成り立つような の値の範囲を求めよ。

ヒントを見る

「すべての 」とあり、動くのは だ。式を の関数として見直すとどう見えるか。 の1次式が区間 でずっと負になる条件は、2か所の値だけで決まる。

解答・解説

方針

x でなく t の式として見直す: 左辺は t について1次式 g(t)=(x−1)t+x²−2。1次式が区間全体で負 ⟺ 両端で負、なので条件は g(0)<0 かつ g(1)<0 の2本にまとまる。最後に2つの範囲の共通部分をとる(端点の大小比較つき)。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 変数が2つあるときは「動く方の変数を中心に考える」。この問題で動くのは だ。そこで左辺を の式として読み直す:

これは の1次式である。1次式のグラフは線分だ。だから、区間 全体で負になる条件は「両端 で負」の2本だけになる。係数 の符号で場合分けする必要すらない。

あとは2つの2次不等式の共通部分を取るだけ。仕上げに端点どうしの大小( と )を比べて完答だ。

重要見る変数の交代: 「すべての 」は の関数として読む。1次式が区間全体で負 ⟺ 両端で負(線分は端で押さえられる)

① 両端の条件にまとめる。 は の1次式(定数の場合も含む)。だから 全体で ⟺ かつ :

② それぞれ解く。

③ 共通部分をとる(端点の比較)。 左端は と の比較。大きい(内側にある)のは だ。

右端は と の比較。 と を2乗して比べると、 だから 。よって で、こちらが内側。以上より

x0−√2(−1+√13)/2x²<2x²+x−3<0共通部分
中段: x²<2、上段: x²+x−3<0、最下段(赤)が共通部分。左端は −√2 が内側、右端は (−1+√13)/2 ≈ 1.30 が √2 ≈ 1.41 より内側に食い込む

まとめ: 「すべての 」型は、 の式として見直すと次数が下がる。そして端点だけの条件にまとまる。どの文字の式として見るかを変えるのは、パラメータ問題でまず試す方法だ。仕上げの根号の大小比較(2乗して比べる)まで含めて、数Iの道具の総動員になっている。

答

別解

線分の絵で「両端だけでよい」を見る(直感ルート)。 を1つ止めるごとに、 のグラフは - 平面の線分になる()。

まっすぐな線分が区間全体で軸より下にある。それは「両端が下にある」ことと同じだ。まっすぐだから、途中だけひょっこり上に出ることはできない。

tzOx=1x=1.351
g(t)=(x−1)t+(x²−2) のグラフは線分。x=1(青)は両端とも負で全域成立。x=1.35(赤)は右端 g(1)>0 で、線分の端が軸の上に出るので条件を満たさない

たとえば なら (定数)。線分は高さ の水平線で、ずっと負。条件成立だ。

だとどうか。 だが、。線分の右端が軸の上に出てしまい、 が1に近いところで不等式が破れる。

「すべての で成立」とはこの線分を軸の下に閉じ込めること。そう目で理解できる。

ポイント

  • の1次式 と読み替える。
  • 区間全体で負 ⟺ かつ 。
  • 端点比較 で共通部分を確定。

よくある間違い

  • の2次不等式として ごとに解こうとして、場合分けが際限なく増える。動く文字()の式として見直せば1次式になる。それが突破口。
  • 「すべての 」を「ある 」と読み違えて、 または (和集合)を取ってしまう。全称条件は「かつ」(共通部分)。
  • 端点の大小( と )を比べずに共通部分を書く。根号どうしの比較は2乗の比較( と )まで詰めて確定させる。

問33つの値のどれかは 1/2 以上

最難関編評価2階の差

問題

を実数とし、 とする。

(1) が成り立つことを示せ。

(2) のうち少なくとも1つは 以上であることを示せ。

ヒントを見る

(1)の左辺の組合せ(1, −2, 1)は、1次式に施すと必ず0になる「差の差」。(2)では(1)の等式の右辺2を、3つの絶対値で上から見積もる。全部が 未満だったら、2に届くか。

解答・解説

方針

(1) x², px, q それぞれに 1−2·(中)+(右) の組合せを施すと、1次以下は消えて x² の分だけが 1−8+9=2 として残る。(2) 2=|f(1)−2f(2)+f(3)| ≤ |f(1)|+2|f(2)|+|f(3)| ≤ 4max。逆算で max ≥ 1/2。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 係数 の組合せは「2階の差」(差の差)だ。1次式 に施すと必ず0になる。 の成分だけが として残る。つまり は、 によらない不変量である。

(2)はその逆用だ。もし3つの値がすべて 未満なら、三角不等式で

となり、「2が2未満」という矛盾が出る。どんなに係数を調整しても、放物線は3点 すべてで軸の近くに潜ることはできない。曲がり(2次の係数1)が邪魔をするのだ。

重要2階の差 は1次以下を消し、 の曲がりだけを取り出す不変量。評価は三角不等式で「全部小さいと総和が足りない」形に

① (1) を示す。 各成分ごとに計算する:

よって 。

② (2) を背理法で示す。 3つとも 未満と仮定する。三角不等式より

となって矛盾。よって少なくとも1つは 以上である。

xyO123
等号を実現する f(x)=x²−4x+7/2。x=1,2,3 で +1/2, −1/2, +1/2(赤点)と振動し、帯 |y|≤1/2(破線)にぎりぎり収まる。これより小さくはできない

③ 評価の鋭さ。 は改良できない。実際、 は となる。3点で交互に をとる、等号ぎりぎりの「振動する放物線」が実在するのだ。

まとめ: の重みで1次以下を消し、2次の曲がりを不変量として取り出す。あとは三角不等式で逆算する。「多項式の値は同時に小さくできない」という、近似理論の基本になる問題だ。

発展。 実は3つの点だけでなく、区間 全体でも にはできない。③の等号例がぎりぎりの限界で、これより潜ろうとすると区間のどこかが 以上になる。「係数1の多項式は、区間の上でどこまで0の近くに潜れるか」。この問いはチェビシェフ多項式という理論につながり、本問はその2次版にあたる。

答

(1) 1次以下の部分が消える(証明) (2) 三角不等式で (証明)。なお等号は 型で実現

別解

3点の値が式を決める、という逆向きの視点(得意な人向け)。 2次式は3点での値で完全に決まる。逆に言うと、 の3つの値は自由に選べない。

実際、どんな2次式 でも

が成り立つ。展開すれば で、1次以下は消えるからだ。本問は なので 。(1)の等式は「3つの値は、曲がり具合に縛られている」ことを表している。

係数の組 の出どころも、この見方なら説明できる。3つの値をすべて幅 の箱に押し込んでみる。作れる「曲がり」は 未満にしかならない。係数1(曲がり2)に届かない。それが(2)の仕組みだ。

ポイント

  • の組合せで1次以下が消え、値は2。
  • 全部 未満なら の矛盾(三角不等式)。
  • 等号例 (±1/2 で振動)。

よくある間違い

  • 3つとも 未満になる例を探し続けて時間を失う。存在しないものは例では示せない。(1)の不変量からの背理法に切り替える。
  • 三角不等式で の係数2を落とす。 から という、等号例 と食い違う結論が出たら計算を疑う。
  • (2)を示して満足し、 がこれ以上強くできない値であること(等号例の存在)に触れない。評価の問題は「限界の例」まで添えると理解が締まる。

問4実数解の制約つきの対称式の最小

最難関編解と係数の関係定義域の罠

問題

の2次方程式 が実数解 (重解を含む)をもつとき、 の最小値と、そのときの の値を求めよ。

ヒントを見る

対称式を の式にするのは一本道だ。間違えやすいのはそのあとだ。 は好きな値を動けるのか? 「実数解 をもつ」という前提が の動ける範囲を削っている。頂点がその範囲に入っているかを必ず見ること。

解答・解説

方針

α²+β²=(α+β)²−2αβ=4k²−2k−4 と k の2次関数にする。ただし「実数解をもつ」判別式条件 k≤−1 または k≥2 が定義域になる。頂点 k=1/4 は定義域の外にある。2次関数の増減から、定義域の端 k=−1 と k=2 の値を比べて最小を決める。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 解と係数の関係で を の2次関数にする。ここまではいつもの手順どおりだ。

注意するのは定義域だ。 が実数であるためには判別式 が必要で、 は または しか動けない。ところが の2次関数の頂点 は、このすき間(禁止帯)のド真ん中にある。頂点の値を答えたら即アウトだ。それは という、あり得ない値である。

放物線の増減を見て、禁止帯の両端 の値比べで最小を決める。

重要解と係数を使ったら判別式を定義域として添える。2次関数の最小は「頂点が定義域内か」を確認してから決める。外なら端で決まる

① 対称式を で表す。 解と係数の関係より 。

② 定義域(判別式)。

③ 定義域の上で最小化する。 の頂点は 。定義域の外だ。放物線は頂点より左では減少だから、 では右端 で最小。 では左端 で最小。値を比べると

よって最小値は ( のとき)。検算しよう。このとき方程式は で、。たしかに 。

kg(k)O(−1, 2)(2, 8)頂点(圏外)-12
g(k)=4k²−2k−4。定義域は縦破線の外側(k≤−1, k≥2)。頂点 k=1/4(白抜き)は禁止帯の中で使えないので、最小は端 k=−1 の g(−1)=2

まとめ: 「解と係数で表す」と「判別式で定義域を切る」はワンセットだ。忘れると頂点値 という負の平方和(あり得ない値)を答えてしまう。答えの検算まで戻って確かめる癖が、この誤りを二重に防ぐ。

答

最小値 ( のとき)

別解

を消して、解だけで考える(得意な人向け)。 から を消去すると

に課された条件は結局これだけである。パラメータ はもう要らない。実数 が存在する条件は 。整理すると で、 または 。目標の量は

この の2次関数の頂点 も、やはり許される範囲の外。端で比べて 、。最小値 (、すなわち )。

「パラメータを消して、残った変数どうしの直接の拘束にする」。この発想は文字の多い問題全般で使える。本解と同じ注意点(頂点が範囲の外)が、 で考えても同じ形で現れる。

ポイント

  • (解と係数)。
  • 判別式で ∨ となり、頂点 は圏外。
  • 端の比較 → 最小2()。

よくある間違い

  • 判別式を忘れて頂点 の値 を最小と答える。平方の和 が負になった時点で警報が鳴るはず。答えの検算で、この誤りに気づける。
  • 「実数解(重解を含む)」なのに (重解を除く)で範囲を作ってしまう。最小を与える は重解の場合なので、自分で答えを捨てることになる。
  • 定義域が2つの区間に割れているのに、片側の端 だけ計算して答える。 との比較まで書いて初めて最小が確定する。

問52回写して戻る値(f(f(x))=x)

最難関編高次方程式の因数分解不動点

問題

とする。方程式 の実数解をすべて求めよ。

ヒントを見る

4次を正面から解かない。 を満たす は、 も満たすはずだ。ということは、4次式はどんな2次式で割り切れると期待できるか。割り算(または係数比較)で残りの因数を求める。

解答・解説

方針

f(f(x))−x は4次式だが、「f(x)=x の解(不動点)は自動的に f(f(x))=x も満たす」から f(x)−x=x²−x−2 で割り切れるはず。この見通しで因数分解すると (x²−x−2)(x²+x−1) に割れ、2次方程式2つに落ちる。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) は4次方程式。正面突破は重い。だが構造が助けてくれる。

を満たす (1回で動かない点)を考えよう。この点は2回写しても当然動かない。つまり も満たす。ということは、4次式 は2次式 を因数にもつはずだ。

この見通しで割り算すれば、残りは2次式1つ。方程式は2次×2次に分解される。「解の一部が先に分かっているなら、因数も先に分かる」。因数定理の応用だ。

重要 の解は の解なので、 は で割り切れる(解の包含が因数の包含になる)

① 4次式を作る。

② で割る。 で割ると(組立てでも係数比較でも)

検算: 展開すると 。

③ 2つの2次方程式を解く。

  • 。これらは の解(1回で戻る点)
  • 。こちらは だが、2回で戻る点。実際、 と は で互いに入れ替わる( から確かめられる)

以上より、実数解は の4個。

xyOx=2x=−1(α, β)(β, α)y=x
y=x²−2(青)と y=x(黒破線)。交点 x=2, −1 が不動点(赤)。α=(−1+√5)/2, β=(−1−√5)/2 のペア(黒点)は f で互いに入れ替わる(2回で戻る)。4つの実数解を1枚の図で表している

まとめ: 反復合成の方程式は不動点の因数を先取りして割る。これが基本の手順だ。残った因数の解は「2回で入れ替わるペア」()になっている。この構造まで見えると、方程式が点の往復という絵で立体的に読めてくる。

答

(4個)

別解

割り算をしない別ルート(得意な人向け)。 2回で戻る(が、1回では動く)値のペアを とする。定義から

この対称な連立を「足す・引く」で崩す。まず引き算すると 。左辺を因数分解して 。 だから割れて

次に足し算すると 。つまり で

和が 、積が 。ペアは の2解 だ。これに不動点( の解 )を合わせて4個。

対称な連立は「足す・引く」で対称式にまとめる。4次式を一度も展開せずに答えへ着く、力学の香りのする解法である。

ポイント

  • の解 ⟹ なので、因数 を先取りする。
  • に分解。
  • 解は (不動)と (2回で入れ替わる)。

よくある間違い

  • 4次を展開したあと、解の候補 を代入して2つ因数を見つけるだけで止まる。1本ずつ割るより、 でまとめて割る方が速くて散らからない。
  • の解は の解だけだと思い込み、 の2個で答えを閉じる。「2回で入れ替わる」ペアの存在を落とす。
  • も不動点だと誤解する。代入すると は満たさない( で互いに移り合うペア)。解の「役割の違い」まで確認する。

問6奇数係数の2次方程式と有理数解

最難関編有理数解偶奇の論証

問題

がすべて奇数のとき、2次方程式 は有理数の解をもたないことを示せ。

ヒントを見る

有理数解は既約分数とおいて分母を払うのが第一手。得られた整数の等式を「偶数か奇数か」だけに注目して見る。 の偶奇の組合せは(互いに素だから)3通りしかない。それぞれで左辺の偶奇はどうなるか。

解答・解説

方針

有理数解 p/q(既約)があると仮定して分母を払うと ap²+bpq+cq²=0。p, q は互いに素だから「両方偶数」はなく、(奇,奇)(奇,偶)(偶,奇) の3通りを偶奇で調べる。どの場合も左辺が奇数となり、0(偶数)になれず矛盾する。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 「有理数解をもたない」は、背理法+既約分数の型だ。解 ( は互いに素、)を代入して分母を払えば、整数の等式

が得られる。あとはこの等式を、偶奇(2で割った余り)の目で見る。右辺の0は偶数。だから「左辺が必ず奇数になる」ことを言えば矛盾だ。

は互いに素なので「両方偶数」はあり得ない。偶奇の組合せは3通りだけ。どの場合も、 が奇数であることから、左辺は奇数に決まる。

重要有理数解は既約分数で分母を払う。互いに素な の偶奇は(奇,奇)(奇,偶)(偶,奇)の3通りなので、漏れのない場合分けで偶奇を追う

① 設定。 有理数解 ( 互いに素)があると仮定し、 を掛けて

② 偶奇の3通りを調べる。 奇数×奇数=奇数、奇数×偶数=偶数に注意する( はすべて奇数):

  • : 奇 + 奇 + 奇 = 奇+奇+奇 = 奇数
  • : 奇 + 偶 + 偶 = 奇数
  • : 偶 + 偶 + 奇 = 奇数

③ 矛盾。 どの場合も左辺は奇数。しかし右辺は (偶数)。矛盾するから、有理数解は存在しない。

まとめ: 既約分数で払い、偶奇を完全に場合分けする。係数の奇数性が3つの場合すべてで奇数を1個以上残す。この数え方が証明の中心だ。たとえば も も、解は(実数解があってもなくても)決して分数では書けない。判別式を一切使わず、余りだけで出した結論である。

答

証明(既約分数 を代入し、 の偶奇3通りすべてで が奇数になって0になれない)

別解

判別式を「平方数の目」で見る別証明(得意な人向け)。 整数係数の2次方程式が有理数解をもつとする。解の公式から、()が有理数でなければならない。整数の平方根が有理数になるのは平方数のときだけ。つまり は平方数だ。

そこで を8で割った余りを調べる。

  • は奇数なので とおくと 。 は連続2整数の積で必ず偶数。よって は8で割って1余る
  • は奇数×奇数で奇数。よって は8で割って4余る

したがって を8で割った余りは 。ところが、平方数を8で割った余りは のどれかしかない。偶数の平方は か 、奇数の平方は上の計算どおり だからだ。余り5の は平方数になれない。よって有理数解は存在しない。

「平方数は8で割ると 」というフィルタは、整数問題の全域で使い回せる便利な道具だ。

ポイント

  • 既約分数 で 。
  • 互いに素 → 偶奇は3通り、すべて左辺が奇数。
  • 奇数 ≠ 0(偶数)で矛盾する。判別式を使わない論法だ。

よくある間違い

  • 「整数解がない」ことだけ示して答案を閉じる。問われているのは有理数解。既約分数 の設定(互いに素)から始めないと届かない。
  • の偶奇の場合分けに(偶, 偶)を含めてしまう。互いに素の仮定に反する組だ。「両方偶数なら2で約分できる」と一言添えて、3通りで尽きる理由を明示する。
  • 整数解の場合()を別扱いし忘れたと不安になる。 は奇数なので(奇, 奇)または(偶, 奇)に含まれている。場合分けが網羅になっていることを自分の言葉で確認する。

問7区間にちょうど1つの解をもつ条件

最難関編解の配置境界の吟味

問題

を実数の定数とする。2次方程式 が の範囲にちょうど1つの解をもつような の値の範囲を求めよ(重解が範囲内にある場合も「ちょうど1つ」に数える)。

ヒントを見る

の値は によらず決まっている。これで場合分けが半分減る。「ちょうど1つ」にならないのは2つの場合だ。解が2つとも入る場合と、1つも入らない場合。境界(端点で解をもつ・重解)がどちらに算入されるかを、実際に解を求めて確かめること。

解答・解説

方針

f(x)=x²+ax+1 とおくと f(0)=1>0 が固定されている、が出発点。またぎ型 f(0)f(2)<0 は f(2)<0 に退化。境界 f(2)=0(a=−5/2)は「もう一方の解 1/2 が範囲内」なので採用。さらに重解が範囲内に落ちる a=−2 を拾い、両解が範囲内(2個)の帯を除外する。境界と重解の丁寧な吟味がすべて。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 解の配置は のグラフで読む。この問題には大きな特徴がある。 が、 によらず最初から決まっていることだ。

左端はつねに正。だから「またぎ型(区間内に1つ)」の条件は の1本だけに退化する。

残る仕事は境界の吟味だ。 となる では、解 自体は範囲外(開区間)。だが、もう一方の解が範囲内かを確かめる必要がある。さらに、重解が範囲内に落ちる も「ちょうど1つ」に数える約束だった。境界はすべて、実際に解を出して検分する。その几帳面さが答えを決める。

重要 固定 → またぎ型は のみ。境界(・重解)は解を実際に求めて「ちょうど1つ」かを判定する

① またぎ型。 だから、 のとき にちょうど1つの解が入る。もう1つの解は 側だ。範囲内はちょうど1つ。

② 境界 。 方程式は 。解は 。 は範囲外(開区間)、 は範囲内。ちょうど1つ。採用。

③ 重解と2個の帯。 判別式 の では重解 。約束により「ちょうど1つ」。採用( の重解 は範囲外)。

一方、 を調べる。、軸 がすべて成り立つ。つまり2つの解がともに範囲内だ。「ちょうど1つ」に反するから除外。( 含む)では範囲内の解は0個(解が虚数、または負・範囲外)。

まとめて

xyOa=−3a=−2a=−9/412
y=x²+ax+1 の3つの場合。a=−3(青): 区間(0,2)を1回またぐ(もう1つの解は右外)。a=−2(赤): 重解 x=1 で接するので、ちょうど1つ。a=−9/4(黒): 2解とも区間内で2個なので除外

まとめ: 固定された で場合を半減。またぎ型を作り、境界と重解を実解で検分し、2個入りの帯を除外する。答えが孤立点 と半直線という珍しい形になるのは、重解になる1点だけで「ちょうど1つ」がまた成り立つからだ。境界の吟味を省くと、必ずどちらかを落とす。解の配置の総仕上げである。

答

または

別解

定数分離。1本の曲線と水平線で全場合を見る(視点の転換)。 では 。だから を分離できる:

左辺 のグラフと、水平線 の交点の個数。それがそのまま解の個数になる。場合分けが「線と曲線の交わり」という1枚の絵に置き換わるのだ。

の形を調べる。 で最小値2(相加平均と相乗平均の関係。等号は すなわち )。増減は の符号から分かる。 で減少、 で増加だ。左端側は、 が0に近づくと限りなく大きくなる。右端では だが、 は範囲外なので右の枝は に届かない。

xyO(1, 2)(2, 5/2)122
u(x)=x+1/x(0<x<2)。谷底 (1, 2)。右端 (2, 5/2) は白抜き(範囲外で届かない)。水平線 y=−a との交点数: −a=2 で1個、2<−a<5/2 で2個、−a≥5/2 で1個(左の枝のみ)

水平線 との交点がちょうど1個になるのは:

  • (谷底にぴったり): の1個 →
  • (右の枝は 未満で途切れているから、左の枝としか交わらない): 1個 →

では両方の枝と交わって2個(除外)。 では0個。答えが「谷底の1点 」と「半直線 」に分かれる理由が、この図で分かる。

ポイント

  • 固定 → またぎ型は ()。
  • は解 が範囲内で採用、 は重解 で採用。
  • は2個入り(除外)→ 答えは孤立点+半直線。

よくある間違い

  • 開区間 を見落とし、 のとき「 も解だから2個」と誤って除外する。実際は は範囲外で、範囲内は の1個だけ。
  • 重解の を検討し忘れる(または重解を2個と数えて捨てる)。「重解も1つに数える」という問題の約束を最初に確認する。
  • またぎ型 だけで答えを閉じる。 の「2個入り」の帯の除外検討(、軸の4点セット)を飛ばしてはいけない。

問84次式が常に正であること

最難関編不等式の証明平方の和

問題

すべての実数 に対して、次の不等式が成り立つことを示せ。

ヒントを見る

と は次数が離れすぎていて直接組めない。間をつなぐ の項を「0 = −x²+x²」として自分で持ち込む。定数 をどう2つに割れば、両方の組が完全平方になるか。

解答・解説

方針

4次式に判別式は使えない。「平方の和に分解できれば0以上」が唯一の望み。1/2 を 1/4+1/4 に割って、x⁴−x²+1/4(=(x²−1/2)²)と x²−x+1/4(=(x−1/2)²)の2組に振り分けると、ちょうど2つの完全平方が現れる。等号は2つの平方が同時に0のときだが、それは起こらない。だから真に正。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) 4次式の正値性に、判別式はない。頼れるのは「平方の和は0以上」だけだ。

ところが と は次数が離れすぎて、直接は組めない。そこで橋渡しの を、 の形で自前で挿入する。さらに定数 を に割って2組に配る:

どちらもぴったり完全平方になる。最後に「等号(両方の平方が同時に0)が起こり得ない」ことを確かめれば、 が に格上げされる。

重要高次式の正値性は平方の和への分解。等号の可否は「すべての平方が同時に0になれるか」で判定する

① 分解する。

展開して確かめると 。

② 0以上を確認する。 平方の和だから、すべての実数 で

③ 等号が起こらないことを確認する。 等号には かつ が必要。だが のとき 。2つの平方は同時に0になれない。よって不等号は真に成り立つ:

xyO最小 ≈ 0.027-110.5
y=x⁴−x+1/2。x≈0.63 で最小値 ≈0.027 をとり、x軸すれすれまで近づくが触れない。この「わずかに正」を式で保証するのが平方和への分解

まとめ: 橋渡しの項を0の形で挿入し、定数を割って平方2つに配る。4次の正値性証明の代表的な設計だ。最後に注意するのは、 と の違いを分ける「等号の同時成立チェック」だ。平方和分解の答案は必ずここまで書いて閉じる。

答

証明( と2つの平方の和に分解)

別解

相加平均・相乗平均で を作る(数IIの道具を先取りする人へ)。 のときは簡単だ。 だから左辺 。

問題になるのは のときだ。4つの正の数 に相加平均・相乗平均の関係(4項版)を使うと

ここで だから 。つまり で、移項すれば結論が出る。

定数 を3等分したところが工夫だ。こうすると4乗根の中で の1乗がちょうど1本残る( の2分割では の1乗が作れない)。うまくいく分割を逆算する感覚は、不等式の設計力そのものだ。

ポイント

  • の挿入と の配分。
  • の平方和。
  • 2つの平方は同時に0になれない → 真に正。

よくある間違い

  • 4次式に判別式を使おうとする。判別式は2次専用の道具。高次の正値性は平方の和(または場合分け+評価)で示す。
  • 1つの完全平方 だけで書き切ろうとして挫折する。1次の項が余って符号を制御できない。2つの平方に配るのが設計の要。
  • を示して満足し、等号が起こらないことの確認を飛ばす。 と は同時に成立しない。ここまで書いて の証明が閉じる。