証明問題の5つの型 — 等式・不等式・帰納法・対偶と背理法・存在

文: KOSNiZ·最終更新: 2026年9月6日

証明問題は、「何を書けば証明になるのか」がわからないと手が出ません。逆に、証明の型を数種類知っていれば、どの型で書くかを決めるだけで骨組みができます。この記事では、高校数学の証明問題を5つの型に分け、それぞれの書き方の骨組みと、型を選ぶ目印を説明します。

型1: 等式の証明

を示せ」には3通りの書き方があります。左辺を変形して右辺にする。両辺の差 を計算して0を示す。両辺を別々に変形して同じ式にする。複雑なほうの辺から変形を始めるのが基本で、条件つき(たとえば のとき)なら、条件から1文字を消去するか、比例式なら「 とおく」のが定石です。式と証明の基礎「条件つき等式の証明」と標準「比例式と等式の証明」で確認してください。

型2: 不等式の証明

を示せ」は、両辺の差 をとって、それが0以上であることを示すのが基本です。差が平方の形(または平方の和)になれば0以上がわかります。相加平均と相乗平均の関係に持ち込める形なら、その関係を使います(等号条件を必ず書きます)。関数とみて最小値を評価する方法は、数学IIIの微分で使います。

大小の比較で「差をとる」以外の方法として、両辺が正なら「比をとって1と比べる」「2乗して比べる」もあります。式と証明の基礎「不等式の証明(差をとる)」、標準「2乗の和の積の不等式」、微分法の応用の標準「不等式の証明(微分)」で、3つの方法を見比べてください。

型3: 数学的帰納法

「すべての自然数 について 」を示すには、(1) で成り立つことを確かめ、(2) で成り立つと仮定して でも成り立つことを示します。この2段を見出しを付けて分けて書き、(2) では「仮定より」と書いた箇所で仮定を使います。

等式・不等式・整除(割り切れること)の3種類の主張に使えます。不等式では「仮定の不等式 + さらに何かを足しても成り立つ」の2段階、整除では「 の式 = の式 × 何か + 割り切れる余り」の分解が急所です。漸化式と数学的帰納法の基礎「枠組み」と標準の3問で、型を固めてください。

型4: 対偶と背理法

」を直接示しにくいとき、対偶「 でない でない」を示せば同じことです。「 が偶数なら は偶数」のように、結論の否定( が奇数)のほうが扱いやすい場合に使います。

背理法は、「結論を否定して矛盾を導く」方法で、 が無理数であることの証明が代表です。「〜でないと仮定する」で始め、矛盾が出た箇所で「これは〜に矛盾する」と明示し、「したがって〜である」で閉じます。「ならば」の形の命題ならまず対偶を試し、「〜である」というどんな主張にも使えるのが背理法、という使い分けです。集合と命題の基礎「対偶を利用する証明」「背理法による証明」で確認してください。

型5: 存在と一意性

「〜が存在する」は、具体的に1つ作って見せるか、中間値の定理(連続な関数が両端で異符号なら間に零点がある)で示します。「ただ1つ」は、2つあると仮定して一致することを示すか、単調性(増加関数なら値が同じになる は1つ)で示します。関数と極限の標準「中間値の定理」と最難関編の「cos x = x の解の存在と一意性」が、この型の練習です。

型を選ぶ目印

主張の形で型を選びます。等式なら型1、不等式なら型2、「すべての自然数 」なら型3、「ならば」の形で直接示しにくいなら型4の対偶、「〜は無理数」「〜は存在しない」なら型4の背理法、「存在する」「ただ1つ」なら型5です。

整数の証明(数学Aの整数の性質)は、「余りで分類して場合ごとに確かめる」という型で、上の型1〜4と組み合わせて使います。

証明の答案で必ず書くこと

証明は、答えを出す問題より「書き方」で採点されます。どの型を使うかを最初の1行で宣言する(「対偶を示す」「 についての帰納法で示す」)。仮定を使った箇所に「仮定より」「条件より」と書く。同値でない変形(2乗する・文字で割る)には条件を添える。最後に「したがって〜が示された」で閉じる。この4つが入っていれば、途中の計算に多少の飛躍があっても、論証としては認められます。

逆に、結論を仮定してしまう(示したい式を使って変形する)のは、証明として0点になります。示したい式は「書いておく」のは構いませんが、それを使わずに、仮定と条件だけから導いてください。

関連する記事

答案の書き方全体は記述答案の書き方に、場合分けを含む証明は場合分けの技術にまとめてあります。有名な論証(素数の無限性、 の無理性、鳩の巣原理)は、集合と命題の実戦編・最難関編に集めてあります。