物理 / 運動量と力積
等質量の弾性衝突(速度交換)
問題
なめらかな水平面上を速さ で進む質量 の球 A が、静止している同じ質量 の球 B に正面から弾性衝突()した。衝突後の A、B の速度を求め、衝突の前後で運動エネルギーが保存されていることを確かめよ。
ヒントを見る
保存則と反発係数の連立を、e=1 で解くだけ。出てきた答えの形(2 つの速度がどうなったか)に注目しよう。ビリヤードの「ストップショット」を見たことがあれば、それが答えである。
解答・解説
方針
保存則 vA'+vB'=5.0 と e=1 の式 vB'−vA'=5.0 を連立。A は止まり、B が 5.0 m/s で飛び出す(速度交換)。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 弾性衝突は の衝突である。保存則と反発係数の連立に を入れると、等質量の場合に速度交換という特別な現象が現れる。
① 連立を解く。
足して 、引いて 。A はその場に止まり、B が で飛び出す。
② 運動エネルギーの確認。
確かに保存している( の衝突だけがエネルギーを失わない)。
まとめビリヤードで手玉がピタリと止まり的玉が飛び出すあの現象は、等質量+ほぼ弾性という条件の産物である。ニュートンのゆりかご(カチカチ玉)で端の 1 球だけが飛び出すのも同じ理屈。「等質量の弾性衝突=速度の完全な交換」は、結果として覚えてよい。
A: (静止)、B: 。速度がそっくり入れ替わり、運動エネルギーも保存する
別解
保存則 2 本で解くルート。 e を使わず、運動量保存と運動エネルギー保存の 2 本を連立してもよい。
第 1 式を第 2 式に代入して整理すると 、すなわち となり、(衝突あり)または (すり抜け=衝突なし)。物理的な解は 。エネルギー保存を使うと 2 次方程式になり、「衝突しなかった」解が混ざる。e の式(1 次)のほうが便利だと分かる比較である。
ポイント
- 等質量の弾性衝突=速度交換
- e=1 のときだけ KE 保存
- e の式は 1 次で扱いやすい
よくある間違い
- 半分ずつの 2.5 m/s ずつとする(それは合体)
- エネルギー保存の 2 次方程式で余分な解を採用する
- 質量が違っても速度交換すると思い込む