物理 / 運動量と力積

受け止め方で変わる力(エアバッグの原理)

★ 基礎力積平均の力

問題

質量 のボールが速さ で飛んでくる。これを捕球して止めるとき、(1) 手を固定したまま 秒で止める場合 (2) 手を引きながら 秒かけて止める場合 のそれぞれについて、手がボールに加える平均の力の大きさを求めよ。

ヒントを見る

どちらの場合も、ボールの運動量の変化(=必要な力積)は同じである。違うのは時間だけ。力積=力×時間の関係から、時間が延びると力はどうなるか。

解答・解説

方針

止めるのに必要な力積はどちらも Δp=0.20×20=4.0 N·s で同じ。F=I/t なので、時間を 5 倍かければ力は 1/5 になる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 止めるために必要な力積は受け止め方によらず同じ( の球を にするのだから)。変えられるのは時間だけ。 より、時間を長くすれば平均の力は小さくできる

① 必要な力積。

② それぞれの平均の力。

t [s]F [N]O408.00.100.50面積はどちらも 4.0 N·s
同じ力積でも、時間を 5 倍かければ力は 1/5 で済む

まとめ 同じ面積(力積)の F-t グラフでも、横に伸ばせば高さ(力)は低くなる。捕球で手を引く、着地で膝を曲げる、車のエアバッグ——「時間を稼いで力を小さくする」工夫はすべてこの 1 行の応用である。

(1) (2)

別解

グラフの面積で見るルート。 2 つの受け止め方を F-t グラフに描くと、面積はどちらも で同じ。(1) は幅 の背の高い長方形(高さ )、(2) は幅 の低い長方形(高さ )。

「面積一定で、幅と高さがトレードオフ」という図形の言葉に直すと、なぜ時間稼ぎが効くのかがひと目でわかる。

ポイント

  • 必要な力積は受け止め方によらない
  • F=I/t: 時間を稼げば力は減る
  • エアバッグ・膝曲げ着地の原理

よくある間違い

  • 力積も時間で変わると考える
  • (2) の力を(1)と同じ 40 N とする
  • 運動エネルギーで計算を始めてしまう