物理 / 運動量と力積

弾道振り子

★★★ 応用運動量保存則エネルギー保存融合

問題

軽い糸でつるした質量 の木片に、水平に飛んできた質量 の弾丸が撃ち込まれ、一体となって振れ上がり、最高で の高さまで上がった。弾丸の撃ち込まれる直前の速さ を求めよ。重力加速度の大きさを とする。

v=?0.020 kg0.980 kgh=0.10 m
弾丸が木片に合体し、振り子として h=0.10 m まで振れ上がる
ヒントを見る

現象を「衝突の瞬間」と「振れ上がり」の 2 幕に分ける。それぞれの幕で使ってよい保存則は何か。衝突は合体(エネルギー大損)、振れ上がりはなめらかな運動(エネルギー保存)——適用範囲を取り違えないことがすべて。

解答・解説

方針

2 段階に分ける。振れ上がり(エネルギー保存)から合体直後の速さ V=√(2gh)=1.4 m/s。衝突(運動量保存)から v=(1.0/0.020)×1.4=70 m/s。衝突区間にエネルギー保存を使ってはいけない。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 弾道振り子は保存則の使い分けを試す代表問題である。現象を 2 幕に分ける。

  • 第 1 幕(衝突): 合体だから運動量保存(エネルギーは大損するので使えない)
  • 第 2 幕(振れ上がり): 糸の張力は仕事をしないので力学的エネルギー保存(もう衝突はないので運動量は重力で変わる)

① 第 2 幕から解く(後ろから)。 合体直後の速さを とすると、エネルギー保存より

② 第 1 幕にさかのぼる。 運動量保存より

まとめ 弾丸の運動エネルギーは 、振れ上がりに使われたのは ——98 % は衝突で消えた(s08 の損失率 と一致)。もし全区間にエネルギー保存を使うと 倍もの誤差構造で別の答えになる。幕ごとに使う保存則を選ぶ——この設計感覚が融合問題の核心である。

別解

歴史的な意味から見るルート。 弾道振り子は、弾丸の速さを直接測れなかった時代に「測れる量(振れ上がりの高さ)」から逆算するために考案された実験装置である。

式をまとめると 。質量比 が「増幅率」としてはたらき、遅い の振れから速い を読み取れる。測定装置の設計思想として覚えると、式の形が忘れられなくなる。

ポイント

  • 衝突は運動量保存、振れ上がりはエネルギー保存
  • 後ろの幕から解いてさかのぼる
  • v=(M+m)/m×√(2gh)

よくある間違い

  • 全区間にエネルギー保存を使う(衝突で 98 % 消える)
  • 振れ上がりに運動量保存を使う(重力の力積で変わる)
  • 質量比 50 を掛け忘れて 1.4 m/s を答える