物理 / 単振動
垂直な2つの単振動を重ねると
問題
ある物体が、 方向と 方向に同時に単振動しているとする。振幅はどちらも 、角振動数はどちらも で、
と書ける。 は2つの振動の位相の差である。
(1) のとき、物体はどんな軌跡を描くか。
(2) のとき、軌跡を求めよ。またそのときの速さが一定であることを示し、その値を求めよ。
(3) のとき、軌跡はどうなるか。
(4) のままで、 方向の振幅だけを に変えると軌跡はどうなるか。
ヒントを見る
位相差が π/2 のとき、y は sin ではなく何になるか。x と y のそれぞれを A で割って2乗し、足してみる。
解答・解説
方針
x と y の式から時刻 t を消去して、x と y だけの関係を作る。位相差が 0 や π なら三角関数の値がそのまま比例するので直線になり、π/2 なら sin と cos の組になって円(または楕円)の式になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 2つの式に共通して入っているのは時刻 である。 を消去して と の関係だけにすれば、軌跡の式が出る。
消し方は位相差によって変わる。 や なら が の定数倍になるので直線。 なら が に変わるので、 が使えて円の式になる。
円になるということは、単振動を2つ直角に重ねると円運動が作れる ということである。円運動の影が単振動になる、という関係を逆からたどっていることになる。
① のとき。 なので
原点を通る傾き の直線上を、 から のあいだで振動する。
② のとき。 だから
それぞれ で割って2乗し、足すと
半径 の円 である。
速さを調べる。それぞれを時間で微分した形を使うと
が消えたので 速さは一定 である。
つまりこれは 等速円運動 そのものである。
③ のとき。 だから
①と傾きが逆の直線になる。
④ 振幅が違うとき。 、 なので
方向に 、 方向に の 楕円 になる。このとき速さは一定ではなく、長軸の端(振幅の大きい向きの端)で最も遅くなる。
まとめ 位相差を から まで変えていくと、軌跡は「直線 → 楕円 → 円 → 楕円 → 直線」と移り変わる。どれも を消去するだけで出てくる。円運動が2つの単振動でできている、という見方はここから来る。
発展 — 一歩先へ。 一般の位相差 では、軌跡は
という 傾いた楕円 になる。 で右辺が になり、楕円がつぶれて直線になる。
さらに と の角振動数の比を 、 などに変えると、軌跡は複雑な閉じた模様になる。リサージュ図形と呼ばれ、オシロスコープに2つの信号を入れて図形の形から振動数の比を読み取る、という使い方をされてきた。図形が閉じるかどうかで、比が有理数か無理数かも見分けられる。
(1) 直線 上を振動する (2) 半径 の円。速さは一定で の等速円運動 (3) 直線 上の振動 (4) 長軸 、短軸 の楕円
別解
円運動の影として逆から見るルート。 式を変形せずに、円運動の正射影の関係を逆にたどってもよい。
半径 の円周上を角速度 で回る点を考える。時刻 での位置は
この点の 座標も 座標も、それぞれ振幅 、角振動数 の単振動である。そして と は位相が ずれている。
つまり 等速円運動を2つの軸に映すと、位相が ずれた同じ振幅の単振動が2つ得られる。 ②はこの逆をたどっただけである。
この見方だと ④ もすぐ分かる。円を 方向に 倍に押しつぶせば楕円になり、 座標の振幅だけが半分になる。楕円は円を一方向に縮めたもの、という対応がそのまま答えである。
①③についても、円がつぶれきって線分になった極限と読める。位相差が「円をどれだけつぶすか」を決めるつまみになっている。
ポイント
- 軌跡を出すには時刻 を消去する。位相差によって消し方が変わる
- 位相差 ・同じ振幅なら等速円運動。速さは で一定
- 位相差 や では直線、振幅が違えば楕円。円運動は2つの単振動でできている
よくある間違い
- と を足して1つの単振動にしてしまう。向きが違うので合成は軌跡として考える
- 位相差 なら必ず円だと思ってしまう。振幅も等しいことが必要で、違えば楕円
- 楕円運動でも速さが一定だと考えてしまう。速さが一定なのは円のときだけ