物理 / 単振動

垂直な2つの単振動を重ねると

★★★★ 難関単振動合成円運動

問題

ある物体が、 方向と 方向に同時に単振動しているとする。振幅はどちらも 、角振動数はどちらも で、

と書ける。 は2つの振動の位相の差である。

(1) のとき、物体はどんな軌跡を描くか。

(2) のとき、軌跡を求めよ。またそのときの速さが一定であることを示し、その値を求めよ。

(3) のとき、軌跡はどうなるか。

(4) のままで、 方向の振幅だけを に変えると軌跡はどうなるか。

xyx 方向に単振動y 方向にも単振動
同じ物体が x 方向と y 方向に同時に単振動している。位相の差 δ によって軌跡が変わる
ヒントを見る

位相差が π/2 のとき、y は sin ではなく何になるか。x と y のそれぞれを A で割って2乗し、足してみる。

解答・解説

方針

x と y の式から時刻 t を消去して、x と y だけの関係を作る。位相差が 0 や π なら三角関数の値がそのまま比例するので直線になり、π/2 なら sin と cos の組になって円(または楕円)の式になる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 2つの式に共通して入っているのは時刻 である。 を消去して の関係だけにすれば、軌跡の式が出る。

消し方は位相差によって変わる。 なら の定数倍になるので直線。 なら に変わるので、 が使えて円の式になる。

円になるということは、単振動を2つ直角に重ねると円運動が作れる ということである。円運動の影が単振動になる、という関係を逆からたどっていることになる。

のとき。 なので

原点を通る傾き の直線上を、 から のあいだで振動する。

のとき。 だから

それぞれ で割って2乗し、足すと

半径 の円 である。

速さを調べる。それぞれを時間で微分した形を使うと

が消えたので 速さは一定 である。

つまりこれは 等速円運動 そのものである。

xyOδ=π/2δ=0δ=π
位相差 π/2 では半径 0.20 m の円(等速円運動)。位相差 0 と π では、破線で示した直線上の振動につぶれる
重要直角な2方向の単振動を、同じ振幅・同じ角振動数・位相差 で重ねると等速円運動になる

のとき。 だから

①と傾きが逆の直線になる。

④ 振幅が違うとき。 なので

方向に 方向に 楕円 になる。このとき速さは一定ではなく、長軸の端(振幅の大きい向きの端)で最も遅くなる。

まとめ 位相差を から まで変えていくと、軌跡は「直線 → 楕円 → 円 → 楕円 → 直線」と移り変わる。どれも を消去するだけで出てくる。円運動が2つの単振動でできている、という見方はここから来る。

発展 — 一歩先へ。 一般の位相差 では、軌跡は

という 傾いた楕円 になる。 で右辺が になり、楕円がつぶれて直線になる。

さらに の角振動数の比を などに変えると、軌跡は複雑な閉じた模様になる。リサージュ図形と呼ばれ、オシロスコープに2つの信号を入れて図形の形から振動数の比を読み取る、という使い方をされてきた。図形が閉じるかどうかで、比が有理数か無理数かも見分けられる。

(1) 直線 上を振動する (2) 半径 の円。速さは一定で の等速円運動 (3) 直線 上の振動 (4) 長軸 、短軸 の楕円

別解

円運動の影として逆から見るルート。 式を変形せずに、円運動の正射影の関係を逆にたどってもよい。

半径 の円周上を角速度 で回る点を考える。時刻 での位置は

この点の 座標も 座標も、それぞれ振幅 、角振動数 の単振動である。そして は位相が ずれている。

つまり 等速円運動を2つの軸に映すと、位相が ずれた同じ振幅の単振動が2つ得られる。 ②はこの逆をたどっただけである。

この見方だと ④ もすぐ分かる。円を 方向に 倍に押しつぶせば楕円になり、 座標の振幅だけが半分になる。楕円は円を一方向に縮めたもの、という対応がそのまま答えである。

①③についても、円がつぶれきって線分になった極限と読める。位相差が「円をどれだけつぶすか」を決めるつまみになっている。

ポイント

  • 軌跡を出すには時刻 を消去する。位相差によって消し方が変わる
  • 位相差 ・同じ振幅なら等速円運動。速さは で一定
  • 位相差 では直線、振幅が違えば楕円。円運動は2つの単振動でできている

よくある間違い

  • を足して1つの単振動にしてしまう。向きが違うので合成は軌跡として考える
  • 位相差 なら必ず円だと思ってしまう。振幅も等しいことが必要で、違えば楕円
  • 楕円運動でも速さが一定だと考えてしまう。速さが一定なのは円のときだけ