物理 / 単振動
2つの振り子が再びそろうまで
問題
長さの違う2つの単振り子 P と Q がある。周期はそれぞれ 、 である。重力加速度の大きさを 、円周率を とする。
いま、2つを同じ側へ同じ角だけ持ち上げ、同時に静かに放す。
(1) それぞれの糸の長さを求めよ。また長さの比を最も簡単な整数の比で答えよ。
(2) 放してから、2つが再び同時に「放したときとまったく同じ状態」になるのはいつか。
(3) そのあいだに、それぞれ何往復するか。
(4) もし2つの周期が と だったら、(2) の時間はどれくらいになるか。
ヒントを見る
「まったく同じ状態」とは、どちらも整数回の振動を終えたということである。周期の比を簡単な整数の比に直すと、何回ずつで揃うかがそのまま読める。
解答・解説
方針
同じ状態に戻るのは、どちらもちょうど整数回の振動を終えた瞬間である。つまり2つの周期の最小公倍数を探す。周期の比が簡単な整数比なら、その分子・分母がそのまま往復回数になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「再び同じ状態になる」とは、どちらもちょうど整数回の振動を終えた瞬間 ということである。片方だけが整数回でも、もう片方が途中なら状態は違う。
だから探すのは、2つの周期の 最小公倍数 である。周期の比が簡単な整数の比になっていれば、その整数がそのまま往復回数になる。
(4) では比がほとんど に近くなる。すると揃うまでに非常に長い時間がかかる。うなり と同じ構造で、周期の差が小さいほど長く待つことになる。
① 長さと比。 を について解くと
比は が に比例するので
周期の比 の2乗 になっている。
② 再びそろう時刻。 周期の比が
なので、 が最小の一致になる。
秒後 である。
③ 往復回数。
長いほうが4往復、短いほうが5往復して、ちょうど元の並びに戻る。
④ 周期が近いとき。 、 とする。比は で、既約分数の分母と分子が大きい。 が最小の一致で
約 秒、3分半ほど かかる。一般には、位相の差が 往復ぶん()開くまでの時間として
と書ける。周期の差が小さいほど分母が小さくなり、長く待つことになる。
まとめ そろう時刻は周期の最小公倍数。比が簡単なら早く、比が に近いほど長くかかる。 という形は、うなりの周期とまったく同じである。
発展 — 一歩先へ。 長さを少しずつ変えた振り子をたくさん並べて同時に放すと、はじめはばらばらに見え、しばらくすると波が進むような模様が現れ、やがて全部がそろう。振り子の波(ペンデュラム・ウェーブ)と呼ばれる実験である。
たとえば「1分間に 回振動する」ように長さを選ぶと、 秒ごとに全部がそろう。見た目の模様は、周期そのものではなく周期の差 が作っている。
(1) と 、長さの比 (2) 後 (3) P が4往復、Q が5往復 (4) 約 (約3分半)
別解
位相で追いかけるルート。 「何往復したか」ではなく「位相がどれだけ進んだか」で考えると、(4) のような近い周期の場合まで一気に扱える。
角振動数はそれぞれ 、 である。時刻 での位相の差は
2つが同じ状態に戻るのは、この差がちょうど の整数倍になったときである。最小の時刻は
②に当てはめると
④なら
1本の式で両方が出る。 最小公倍数を探すルートは比が簡単なときに速いが、比が のように複雑になると数えるのが大変になる。位相で追うルートなら、比の形によらず同じ計算で済む。
なお、この式は音の うなり の周期とまったく同じ形をしている。振動数の差が小さいほど、うなりの周期は長くなる。
ポイント
- 「同じ状態に戻る」= どちらも整数回の振動を終えた瞬間 = 周期の最小公倍数
- 周期の比が なら、往復回数もそのまま 回と 回
- そろう時刻は 。周期が近いほど長くかかる(うなりと同型)
よくある間違い
- 長さの比を周期の比と同じ としてしまう。長さは周期の2乗に比例するので
- 片方が整数回になった時刻を答えてしまう。両方が同時に整数回でなければ元に戻らない
- 周期が近いほど早くそろうと考えてしまう。差が小さいほど位相がそろうのに時間がかかる