物理 / 単振動

2つの振り子が再びそろうまで

★★★★ 難関単振り子周期位相

問題

長さの違う2つの単振り子 P と Q がある。周期はそれぞれ である。重力加速度の大きさを 、円周率を とする。

いま、2つを同じ側へ同じ角だけ持ち上げ、同時に静かに放す。

(1) それぞれの糸の長さを求めよ。また長さの比を最も簡単な整数の比で答えよ。

(2) 放してから、2つが再び同時に「放したときとまったく同じ状態」になるのはいつか。

(3) そのあいだに、それぞれ何往復するか。

(4) もし2つの周期が だったら、(2) の時間はどれくらいになるか。

P(2.0 s)Q(1.6 s)同じ角だけ持ち上げて同時に放す
周期の違う2つの振り子を、同じ側へ同じ角だけ持ち上げて同時に放す
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「まったく同じ状態」とは、どちらも整数回の振動を終えたということである。周期の比を簡単な整数の比に直すと、何回ずつで揃うかがそのまま読める。

解答・解説

方針

同じ状態に戻るのは、どちらもちょうど整数回の振動を終えた瞬間である。つまり2つの周期の最小公倍数を探す。周期の比が簡単な整数比なら、その分子・分母がそのまま往復回数になる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「再び同じ状態になる」とは、どちらもちょうど整数回の振動を終えた瞬間 ということである。片方だけが整数回でも、もう片方が途中なら状態は違う。

だから探すのは、2つの周期の 最小公倍数 である。周期の比が簡単な整数の比になっていれば、その整数がそのまま往復回数になる。

(4) では比がほとんど に近くなる。すると揃うまでに非常に長い時間がかかる。うなり と同じ構造で、周期の差が小さいほど長く待つことになる。

① 長さと比。 について解くと

比は に比例するので

周期の比 の2乗 になっている。

② 再びそろう時刻。 周期の比が

なので、 が最小の一致になる。

秒後 である。

重要周期の比が (既約)なら、 で初めてそろう。**比の分母と分子が、そのまま往復回数になる**

③ 往復回数。

O8.0 s246P は4往復Q は5往復
横軸は時間(秒)。P が4往復、Q が5往復したところで初めて2つの山がそろう

長いほうが4往復、短いほうが5往復して、ちょうど元の並びに戻る。

④ 周期が近いとき。 とする。比は で、既約分数の分母と分子が大きい。 が最小の一致で

秒、3分半ほど かかる。一般には、位相の差が 往復ぶん()開くまでの時間として

と書ける。周期の差が小さいほど分母が小さくなり、長く待つことになる。

まとめ そろう時刻は周期の最小公倍数。比が簡単なら早く、比が に近いほど長くかかる。 という形は、うなりの周期とまったく同じである。

発展 — 一歩先へ。 長さを少しずつ変えた振り子をたくさん並べて同時に放すと、はじめはばらばらに見え、しばらくすると波が進むような模様が現れ、やがて全部がそろう。振り子の波(ペンデュラム・ウェーブ)と呼ばれる実験である。

たとえば「1分間に 回振動する」ように長さを選ぶと、 秒ごとに全部がそろう。見た目の模様は、周期そのものではなく周期の差 が作っている。

(1) 、長さの比 (2) 後 (3) P が4往復、Q が5往復 (4) 約 (約3分半)

別解

位相で追いかけるルート。 「何往復したか」ではなく「位相がどれだけ進んだか」で考えると、(4) のような近い周期の場合まで一気に扱える。

角振動数はそれぞれ である。時刻 での位相の差は

2つが同じ状態に戻るのは、この差がちょうど の整数倍になったときである。最小の時刻は

②に当てはめると

④なら

1本の式で両方が出る。 最小公倍数を探すルートは比が簡単なときに速いが、比が のように複雑になると数えるのが大変になる。位相で追うルートなら、比の形によらず同じ計算で済む。

なお、この式は音の うなり の周期とまったく同じ形をしている。振動数の差が小さいほど、うなりの周期は長くなる。

ポイント

  • 「同じ状態に戻る」= どちらも整数回の振動を終えた瞬間 = 周期の最小公倍数
  • 周期の比が なら、往復回数もそのまま 回と
  • そろう時刻は 。周期が近いほど長くかかる(うなりと同型)

よくある間違い

  • 長さの比を周期の比と同じ としてしまう。長さは周期の2乗に比例するので
  • 片方が整数回になった時刻を答えてしまう。両方が同時に整数回でなければ元に戻らない
  • 周期が近いほど早くそろうと考えてしまう。差が小さいほど位相がそろうのに時間がかかる