物理 / 単振動
途中から放したときの振幅と位相
問題
なめらかな水平面上で、ばね定数 のばねの一端を壁に固定し、他端に質量 の物体をつないだ。
物体をつり合いの位置から だけ引き、そこで手を放すと同時に、さらに壁から遠ざかる向きに速さ を与えた。
(1) この振動の角振動数と周期を求めよ。
(2) 振幅を求めよ。
(3) 振動中の最大の速さと最大の加速度を求めよ。
(4) つり合いの位置を原点、遠ざかる向きを正として と書くとき、 を求めよ。
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振幅とは「速さが 0 になる位置」のことである。いま持っているエネルギーがすべて位置エネルギーに変わったとき、どこまで伸びるか。位相は、時刻 0 での位置と速度の両方から決まる。
解答・解説
方針
端で放す問題なら振幅はすぐ分かるが、途中で速さを与えられると振幅が変わる。エネルギー保存で「与えたぶんも含めた全エネルギー」を出し、それを ½kA² と等しいとおけば振幅が決まる。位相は x と v の初期値から sin と cos を別々に読む。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 端で静かに放す問題なら、放した位置がそのまま振幅である。ところがここでは途中で速さを与えているので、振幅はもっと大きくなる。
そこで エネルギーで測る。振幅とは「速さが になる位置」、つまり全エネルギーがすべて位置エネルギーに変わりきる場所である。いま持っている位置エネルギーと運動エネルギーの和を と等しいとおけば が出る。
位相のほうは、時刻 での位置と速度の両方が要る。位置から 、速度から が読めるので、その比が になる。未知数が2つ( と )なので、初期条件も2つ要る という対応である。
① 角振動数と周期。
② 振幅。 全エネルギーは、手を放した瞬間の位置エネルギーと運動エネルギーの和である。
振幅の位置では速さが なので、全部が位置エネルギーになっている。
③ 最大の速さと加速度。
④ 初期位相。 とすると である。 を入れて
となり、つじつまが合っている。よって
である。
まとめ 振幅はエネルギーで、位相は初期の位置と速度の比で決まる。、、 が の直角三角形をなしているのが、この問題の見どころである。
発展 — 一歩先へ。 ②で使った という形は、 という平面上で、点が原点から距離 の円周上を回っていることを意味している。
実際、時刻を進めると 、 なので、この点は半径 の円を等速で回る。単振動は、この平面での等速円運動の影 だと読める。円運動の正射影という見方の、もうひとつの現れ方である。
(1) 、 (2) (3) 最大の速さ 、最大の加速度 (4)
別解
を使って一発で出すルート。 エネルギーの式を経由せず、速さと位置の関係を覚えていれば②は1行で済む。
この式を と書き直すと、 と を2辺とする直角三角形の斜辺が という形になる。
である。速度を で割ると長さの次元になり、位置と同じ物差しで測れるようになる。この「 を長さとみる」感覚をもっておくと、初期条件から振幅を出す計算がいつでも三平方の定理に化ける。
位相についても、この直角三角形の角がそのまま である。 と、④の答えが図から直接読める。
ポイント
- 振幅はエネルギーで決まる。
- 。 を長さとみると三平方の定理になる
- 位相は初期の位置と速度の両方から。 と を別々に読む
よくある間違い
- 手を放した位置 をそのまま振幅としてしまう。速さを与えているので振幅は大きくなる
- 速度をそのまま位置と足して としてしまう。次元が合わない。 に直してから合成する
- 位相を だけで決めてしまう。 を満たす角は2つあるので、 の符号まで見る