物理 / 単振動

途中から放したときの振幅と位相

★★★★ 難関単振動初期条件エネルギー

問題

なめらかな水平面上で、ばね定数 のばねの一端を壁に固定し、他端に質量 の物体をつないだ。

物体をつり合いの位置から だけ引き、そこで手を放すと同時に、さらに壁から遠ざかる向きに速さ を与えた。

(1) この振動の角振動数と周期を求めよ。

(2) 振幅を求めよ。

(3) 振動中の最大の速さと最大の加速度を求めよ。

(4) つり合いの位置を原点、遠ざかる向きを正として と書くとき、 を求めよ。

つり合いの位置x0 = 0.30 mv0 = 1.6 m/s
つり合いの位置から x0 だけ引き、手を放すと同時に外向きに v0 を与える
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振幅とは「速さが 0 になる位置」のことである。いま持っているエネルギーがすべて位置エネルギーに変わったとき、どこまで伸びるか。位相は、時刻 0 での位置と速度の両方から決まる。

解答・解説

方針

端で放す問題なら振幅はすぐ分かるが、途中で速さを与えられると振幅が変わる。エネルギー保存で「与えたぶんも含めた全エネルギー」を出し、それを ½kA² と等しいとおけば振幅が決まる。位相は x と v の初期値から sin と cos を別々に読む。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 端で静かに放す問題なら、放した位置がそのまま振幅である。ところがここでは途中で速さを与えているので、振幅はもっと大きくなる。

そこで エネルギーで測る。振幅とは「速さが になる位置」、つまり全エネルギーがすべて位置エネルギーに変わりきる場所である。いま持っている位置エネルギーと運動エネルギーの和を と等しいとおけば が出る。

位相のほうは、時刻 での位置と速度の両方が要る。位置から 、速度から が読めるので、その比が になる。未知数が2つ()なので、初期条件も2つ要る という対応である。

① 角振動数と周期。

② 振幅。 全エネルギーは、手を放した瞬間の位置エネルギーと運動エネルギーの和である。

振幅の位置では速さが なので、全部が位置エネルギーになっている。

公式単振動のエネルギー 。途中の位置と速さから を出すときの橋渡しになる

③ 最大の速さと加速度。

④ 初期位相。 とすると である。 を入れて

となり、つじつまが合っている。よって

である。

v0/ω = 0.40x0 = 0.30A = 0.50φ
速度を ω で割ると長さの物差しになる。x0 と v0/ω を2辺とする直角三角形の斜辺が振幅で、角が初期位相

まとめ 振幅はエネルギーで、位相は初期の位置と速度の比で決まる。 の直角三角形をなしているのが、この問題の見どころである。

発展 — 一歩先へ。 ②で使った という形は、 という平面上で、点が原点から距離 の円周上を回っていることを意味している。

実際、時刻を進めると なので、この点は半径 の円を等速で回る。単振動は、この平面での等速円運動の影 だと読める。円運動の正射影という見方の、もうひとつの現れ方である。

(1) (2) (3) 最大の速さ 、最大の加速度 (4)

別解

を使って一発で出すルート。 エネルギーの式を経由せず、速さと位置の関係を覚えていれば②は1行で済む。

この式を と書き直すと、 を2辺とする直角三角形の斜辺が という形になる。

である。速度を で割ると長さの次元になり、位置と同じ物差しで測れるようになる。この「 を長さとみる」感覚をもっておくと、初期条件から振幅を出す計算がいつでも三平方の定理に化ける。

位相についても、この直角三角形の角がそのまま である。 と、④の答えが図から直接読める。

ポイント

  • 振幅はエネルギーで決まる。
  • を長さとみると三平方の定理になる
  • 位相は初期の位置と速度の両方から。 を別々に読む

よくある間違い

  • 手を放した位置 をそのまま振幅としてしまう。速さを与えているので振幅は大きくなる
  • 速度をそのまま位置と足して としてしまう。次元が合わない。 に直してから合成する
  • 位相を だけで決めてしまう。 を満たす角は2つあるので、 の符号まで見る