物理 / 気体の熱力学
気体分子運動論(圧力の導出)
問題
1 辺 の立方体の容器に、質量 の分子 個の理想気体が入っている。 軸に垂直な 1 つの壁について、(1) 速度の 成分が の分子が、この壁に 1 回衝突(弾性衝突)するとき壁が受ける力積の大きさを求めよ。 (2) この分子が時間 の間にこの壁に衝突する回数を求めよ。 (3) 圧力が と表せることを示せ。ただし を用いてよい。
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壁が受ける力は「1 回あたりの力積×単位時間の衝突回数」の積み重ねで作る。1 往復の道のりが 2L であることが回数の鍵。最後は「向きに偏りがない」という条件で x 成分を全体の 2 乗平均に置き換える。
解答・解説
方針
1 分子の力積 2mvx×衝突回数 vxt/2L=力積の総和。時間 t で割って力、L² で割って圧力。全分子で平均し v²の等方性 1/3 を使う。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 目に見えない圧力を、1 個の分子の壁への連打から組み上げる——熱力学と力学をつなぐ有名な導出である。設計図は「力積→回数→力→圧力→平均」の 5 段流れ作業になる。
① 1 回の衝突の力積。 弾性衝突で が に反転するから、分子の運動量変化の大きさは 。作用反作用で壁が受ける力積も
② 衝突回数。 この壁に再び当たるには往復 を走る必要がある。時間 に走る距離は だから
③ 圧力を組み立てる。 1 分子が時間 に壁へ与える力積は
力=力積÷時間だから、1 分子の平均の力は 。 個分を平均で足すと
分子の運動に向きの偏りはないので 。壁の面積 で割って
まとめ この結果を状態方程式 ()と見比べると、——「温度=分子の平均運動エネルギー」という基礎の公式は、この導出の副産物である。5 段の流れ(力積→回数→力→圧力→平均)は誘導つき入試問題の定番なので、各段の「なぜ」を自分の言葉で再現できるようにしておく。
(1) (2) 回 (3) 力積の総和から 、
別解
次元と極端で式を点検するルート。 導いた を疑ってみる。(1) 分子を増やす( 2 倍)→圧力 2 倍: 妥当。(2) 容器を大きく( 2 倍)→圧力半分: ボイルの法則そのもの。(3) 速さ 2 倍→圧力 4 倍: 1 回の力積と衝突頻度の両方が 2 倍になるから ——2 乗の由来はここにある。
「速さの 2 乗で効く」ことの物理的な理由(力積×頻度)を言えるようにしておくと、論述問題にも対応できる。
ポイント
- 力積→回数→力→圧力→平均の5段
- 往復 2L が回数の鍵
- 等方性 v̄x²=v̄²/3 で仕上げ
よくある間違い
- 力積を mvx とする(反転で 2 倍)
- 衝突の道のりを L として回数を 2 倍にする
- v̄² と (v̄)² を混同する