物理 / 気体の熱力学

二乗平均速度

★★ 標準分子運動論

問題

温度 の水素分子( あたりの質量 )の二乗平均速度 を求めよ。また、同じ温度の酸素分子()の二乗平均速度は水素の何倍か。気体定数を とする。

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与えられた式に代入するだけだが、指数の処理が勝負どころ。後半は、根号の中で変わるのが M だけであることに注目——M が 16 倍になると根号全体は何倍になるか。

解答・解説

方針

√(3RT/M)=√(3×8.3×300/2.0×10⁻³)=√(3.735×10⁶)≈1.9×10³ m/s。M 16倍→速さ 1/4。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「同じ温度なら平均運動エネルギーは同じ」(基礎)——ならば軽い分子ほど速いはずである。その速さの代表値が二乗平均速度で、 に mol 質量 が入っている。

① 水素の速さ。

② 酸素との比。 変わるのは だけ。 倍なら

水素 1.9×10³ m/s酸素 1/4 倍同じ 300 K(同じ平均運動エネルギー)
同温ではエネルギーが同じ。質量 16 倍の酸素は速さ 1/4

まとめ 水素分子は秒速約 2 km——音速(約 340 m/s)の 5 倍以上で飛び回っている。音が空気中を伝わる速さが分子の速さと同程度のオーダーになるのは偶然ではない(音は分子の衝突リレーで伝わる)。また、軽い水素ほど速く、地球の重力を振り切りやすい——大気に水素がほとんど残っていない理由もこの式の中にある。

水素: 約 。酸素は 倍(約 480 m/s)

別解

エネルギー均等から比を出すルート。 同温では が共通だから

公式を経由せず「エネルギー同じ、質量 16 倍、だから速さ 1/4」と 1 行で出せる。質量と速さの平方根のシーソー——この見方は同位体の分離(ウラン濃縮の気体拡散法)など、実技術の原理にもなっている。

ポイント

  • 同温=同エネルギー→軽いほど速い
  • v∝1/√M(M 16倍で 1/4)
  • 水素は音速の5倍超

よくある間違い

  • M を kg に直さず g のまま入れる
  • √ を忘れて 16 分の 1 とする
  • 温度も変わると思い込む(同温の比較)