物理 / 気体の熱力学

水銀柱と気柱(ボイルの法則の応用)

★★ 標準ボイルの法則水銀柱

問題

一端を閉じた細いガラス管を水平に置くと、閉じた側に長さ の空気柱が、長さ の水銀柱で閉じ込められていた。この管を、閉じた端を上にして鉛直に立てると、空気柱の長さはいくらになるか。大気圧を水銀柱 分の圧力()とし、温度は一定とする。

空気柱 20水銀 36空気柱 L=?水銀 36閉端が上大気圧 76
水平(左)から、閉じた端を上にして立てる(右)
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水銀柱のつり合いを考える。閉じた端が上のとき、水銀を支えているのは下の大気圧。気柱の圧力+水銀柱の圧力=大気圧、の関係から気柱の圧力を出し、あとはボイルの法則で長さに変換する。

解答・解説

方針

水平: 気柱の圧力=大気圧 76。鉛直(閉端上): 水銀の重さの分だけ気柱の圧力=76−36=40。ボイル: 76×20=40×L → L=38 cm。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 この型の問題は 2 幕構成である。第 1 幕: 水銀柱のつり合いで気柱の圧力を決める。第 2 幕: ボイルの法則で長さに変換する。圧力の単位を cmHg のまま使うと、 や密度が最後まで登場せず計算が軽い。

① 水平のとき。 水銀柱の重さは管の向きに効かないので、気柱の圧力=大気圧:

② 鉛直(閉端上)のとき。 水銀柱(36 cm)を下から大気圧が支え、上から気柱の圧力が押す。つり合いは

③ ボイルの法則。 断面積が一定だから体積の比=長さの比:

気柱 P₂大気 76水銀 36P₂+36=76
水銀柱のつり合い。下の大気圧が水銀と気柱の圧力を支える

まとめ 閉端を上にすると水銀が下がろうとして気柱が引き伸ばされ、圧力が下がって膨張する——38 cm に伸びたのは直感どおりである。逆に閉端を下にすれば に上がって縮む。「水銀柱の分を足すか引くか」は暗記でなく、水銀を支える力のつり合いを毎回描いて決めるのが安全である。

(気柱の圧力が に下がる)

別解

圧力を Pa に直しても同じことを確かめるルート。 cmHg は「その高さの水銀柱が底面に及ぼす圧力 」の略記である。76 cmHg ≈ だから、

ボイルの式は両辺に同じ換算係数()が掛かるだけなので、比の計算では単位系を Pa に直す必要がない。cmHg のまま処理するのが、この型の定石である。

ポイント

  • 第1幕: つり合いで気柱の圧力
  • 第2幕: ボイルで長さに変換
  • cmHg のままなら ρg が消える

よくある間違い

  • 閉端上でも 76+36 と足してしまう
  • 水平のときの圧力を 76−36 とする
  • 長さの比でなく差で処理する