物理 / 気体の熱力学

断熱変化と熱力学第1法則

★ 基礎熱力学第1法則断熱変化

問題

断熱材で囲んだ容器の中の理想気体を、外から の仕事をして圧縮した。(1) 内部エネルギーの変化 (2) 気体の温度は上がるか下がるか を答えよ。

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断熱は「熱の出入りがない」——第 1 法則の 3 つの量のどれがゼロになるか。また「外から仕事をされた」とき、「気体がした仕事」の符号はどうなるかに注意して式を立てよう。

解答・解説

方針

断熱→Q=0。第1法則 Q=ΔU+W で、気体がした仕事 W=−300 J(されたので負)→ΔU=+300 J→温度上昇。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 断熱の合図は 。すると第 1 法則は 、つまり仕事とエネルギーの直接交換だけが残る。あとは符号——「されて」いるのだから気体がした仕事は負である。

① 内部エネルギーの変化。 気体がした仕事は

② 温度。 は温度に比例するから、温度上昇を意味する。熱を一切加えていないのに、押しただけで気体は熱くなる。

VPO等温線断熱線(急)
同じ点を通る等温線(薄)と断熱線(赤)。断熱圧縮は温度も上がるため急勾配になる

まとめ 自転車の空気入れが熱くなるのは摩擦だけのせいではない——断熱圧縮そのものが空気を温めている。逆に断熱膨張では温度が下がる(スプレー缶が冷たくなる、上昇気流から雲ができる)。「断熱で膨張=冷える、圧縮=温まる」は日常現象と直結する重要な結論である。

(1) (2) 上がる(内部エネルギー増=温度上昇)

別解

分子の絵で見るルート。 迫ってくるピストン(壁)に分子がぶつかると、動く壁に打ち返されて跳ね返りの速さが増す(バットで打ち返されるボールと同じ)。壁が退いていく膨張では逆に減速する。

熱の出入りなしで温度が変わるのは不思議に見えるが、ミクロでは「動く壁とのキャッチボール」というただの力学である。等温線より断熱線が急勾配になる(圧縮で圧力がより上がる)のも、体積減+温度上昇の二重効果と読める。

ポイント

  • 断熱→Q=0、ΔU=−W
  • された仕事は W(した仕事)の負
  • 断熱圧縮=温まる、断熱膨張=冷える

よくある間違い

  • W=+300 と置いて ΔU=−300 とする
  • 断熱なのに温度不変とする(等温との混同)
  • 「断熱=温度一定」と暗記してしまう