物理 / 直流回路
小さい抵抗をどう測るか(4 端子法)
問題
ほどの非常に小さい抵抗を測りたい。測定に使うリード線(導線とクリップ) 本あたりの抵抗は ある。
まず、電流計と電圧計を 組のリード線でつないで測った( 端子法)。
(1) 端子法で得られる測定値はいくらか。また誤差は何 か。
(2) 次に、電流を流すリード線と、電圧を測るリード線を別々にし、電圧測定用の端子を電流用の内側につないだ( 端子法)。電圧計の内部抵抗は である。電圧測定用のリード線に流れる電流はどの程度か。
(3) 端子法での測定値を求めよ。誤差はどの程度か。
(4) 端子法がリード線の抵抗の影響を受けない理由を説明せよ。
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リード線に電流が流れると何が起こるか。電圧計に流れる電流はどの程度か。
解答・解説
方針
端子法では、測りたい抵抗とリード線の抵抗が直列に入ってしまう。 端子法では電圧測定の経路に電流がほとんど流れないので、その経路のリード線に電圧降下が生じない。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 測りたい抵抗が 、リード線が である。この時点で、素直につなぐと「測りたいもの」より「邪魔もの」のほうが 倍大きい。
端子法ではこの つが直列に入ってしまい、区別できない。
そこで、電流を流す役目と電圧を測る役目を別々の導線に分ける。電圧計にはほとんど電流が流れないので、その導線には電圧降下が生じない——これが 端子法の考え方である。
① 端子法。 測りたい抵抗の両側にリード線が 本ずつ直列に入る。
誤差は
まったく測れていない。得られた値のほとんどはリード線の抵抗である。
② 電圧用リード線の電流。 電圧計の内部抵抗は 、測りたい抵抗の両端の電圧は(電流 を流したとして) である。
電流を流す側の に比べて 倍で、まったく無視できる。
③ 端子法の測定値。 電圧用のリード線に流れる電流が なので、そこでの電圧降下は
測りたい電圧 に対して 倍以下である。したがって電圧計は、抵抗 の両端の電圧をそのまま読む。
誤差は 程度で、実用上ゼロである。
④ 理由。 リード線の抵抗が測定に入りこむのは、そこに電流が流れて電圧降下が生じるからである。
端子法では、電流を流す経路と電圧を測る経路が分かれている。電圧計にはほとんど電流が流れないので、電圧用リード線での電圧降下は無視できる。
電流用リード線には大きな電流が流れるが、その電圧降下は電圧計の測定の外側にあるので、結果に入ってこない。
まとめ 「電流を流す」と「電圧を測る」を別の導線に分ける——それだけで、 倍も大きい邪魔ものを完全に排除できる。回路の工夫が測定の精度を決める好例である。
発展 — 一歩先へ。 端子法は、超伝導の発見にも使われている。超伝導体では抵抗が測定限界以下になるので、リード線の抵抗が残っていては何も言えない。
現代では、半導体の微細な配線の抵抗、電池の内部抵抗、金属の純度評価など、小さい抵抗を測るあらゆる場面で標準的に使われる。
なお、電位差計(電流を流さずに電圧を測る方法)も同じ発想である。「測る対象に影響を与えないように測る」という考え方は、測定という行為そのものの基本原理といえる。
端子法では で誤差 、電圧用のリード線にはほぼ電流が流れない、 端子法では で誤差はほぼ無視できる、電流が流れない導線には電圧降下が生じないから
別解
電圧計の内部抵抗を有限として厳密に見るルート。 ③ では「電圧計に電流が流れない」と近似したが、有限であることを認めて計算しても結論は変わらない。
電圧計(内部抵抗 )と電圧用リード線 本()が直列になり、その全体が に並列につながっている。測定される抵抗は
数値を入れると で、 に比べて桁違いに大きい。
誤差は である。
この形を見ると、 端子法の誤差を決めるのが という比であることが分かる。リード線の抵抗 は に足されるだけで、 が桁違いに大きいので影響しない。
「どの量の比で誤差が決まるか」を式で押さえておくと、装置を選ぶときの判断ができる。ここでは電圧計の内部抵抗さえ十分大きければよい、と分かる。
ポイント
- 2 端子法ではリード線の抵抗が直列に入る
- 電圧計にはほとんど電流が流れない
- 電流が流れない導線には電圧降下が生じない
- 役目を分けることで、邪魔な抵抗を測定の外に追い出せる
よくある間違い
- 4 端子法でもリード線の抵抗が半分は残ると考える
- 電圧計の内部抵抗を小さいものとして扱う(電圧計は大きい)
- 2 端子法の誤差を「リード線 1 本ぶん」としてしまう(往復で 2 本)