物理 / 直流回路
先細りの導体の抵抗
問題
長さ の円錐台形の導体がある。一方の端の半径は 、他方の端は で、半径は位置とともに一様に変わる。抵抗率は とする。
電流は断面を一様に流れるものとし、両端の面のあいだの抵抗を考える。
(1) 細いほうの端から距離 の位置での半径を、 で表せ。
(2) 厚さ の薄い円板の抵抗を書き、それらを足し合わせて全体の抵抗が となることを示せ。
(3) 抵抗の値を求めよ。
(4) 「平均の半径」を使って一様な棒として計算すると、どんな半径を使えばよいか。 を使うとどうなるか。
ヒントを見る
断面積が一定でないなら、どこで切って考えればよいか。薄い板を直列につないだとみなせないか。
解答・解説
方針
断面積が場所で変わるので、薄い円板に切って直列につないだものとみなす。それぞれの抵抗を足し合わせる(積分する)と、 の積分が現れて の形にまとまる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は断面積が一定のときの式である。ここでは が場所で変わるので、そのままでは使えない。
そこで、薄く輪切りにする。厚さ の円板なら、その中では断面積をほぼ一定とみなせる。
そして電流はどの断面も同じだけ通るので、これらの円板は直列につながっている。直列なら足すだけである。
① 半径。 で 、 で に一様に変わるから
② 足し合わせる。 厚さ の円板の抵抗は
これを から まで足す。 を積分変数にすると、 より だから
が約分で消えて、きれいな形になる。
③ 数値。
④ どんな平均か。 ② の結果 を、一様な棒の式 と見比べる。
正しいのは幾何平均である。。
もし算術平均 を使うと
正しい値より約 小さい。相加平均は相乗平均以上なので、断面積を大きく見積もりすぎて抵抗を小さく出してしまう。
まとめ 変わる量は輪切りにして足す。出てきた答えを既知の式と見比べると、「どんな平均をとればよいか」が読み取れる。
発展 — 一歩先へ。 同じ計算は、抵抗以外でも顔を出す。同心球コンデンサーの容量や、円筒を通る熱の伝導、パイプの流体抵抗も、「輪切りにして足す」で同じ形の積分になる。
たとえば長さ の円錐台のパイプを流れる流体の抵抗(ポアズイユの法則)では の積分になり、結果は という別の形になる。
か かで答えの顔つきが変わる。積分する前に「何の何乗が効くのか」を確かめておくのが大切である。
、、、正しいのは幾何平均 で、算術平均を使うと約 小さく出る
別解
極端な場合で検算するルート。 出てきた式 が正しいかどうかは、特別な場合で確かめられる。
まず (先細りでない一様な棒)とすると
となり、よく知られた式に一致する ✓
次に を非常に大きくすると、 に近づく。太い側の抵抗が無視できるようになるからである。逆に を に近づけると で、先端が尖って電流が通れなくなることに対応する ✓
さらに、 と を入れかえても式は変わらない。これは「どちら向きに電流を流しても抵抗は同じ」という当然の性質と合っている ✓
積分の計算はミスしやすいので、こうした極端な場合と対称性で検算する習慣をもっておくと安心である。特に「入れかえても同じ」という対称性は、答えの形を見ただけで確かめられるので手軽である。
ポイント
- 断面が変わる導体は薄く輪切りにして直列に足す
- 1/r² の積分から R=ρL/(πab)
- (b−a) が約分で消えて、a と b について対称な形になる
- 正しい平均は幾何平均 √(ab)。算術平均だと抵抗を小さく見積もる
よくある間違い
- 平均の半径をそのまま (a+b)/2 として計算する
- 輪切りを並列と考える(電流が同じなので直列)
- 積分変数を x のままにして計算を難しくする(r に変えると簡単)