物理 / 直流回路
起電力の違う電池を並列につなぐ
問題
起電力 、内部抵抗 の電池と、起電力 、内部抵抗 の電池を並列につなぎ、外部抵抗 をつなぐ。
(1) のとき、端子電圧(並列部分の両端の電圧)を求めよ。
(2) そのとき、それぞれの電池を流れる電流と、 を流れる電流を求めよ。
(3) 外部抵抗をはずして開放にすると、端子電圧はいくらになるか。またそのとき電池を流れる電流と、そこで発生する熱の仕事率を求めよ。
(4) (3) の結果から、起電力の違う電池を並列につなぐことの問題点を述べよ。
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並列につながれた部分の電位はどれも同じである。それを未知数にすると、各電池を流れる電流はどう書けるか。
解答・解説
方針
並列部分の電位を未知数にとり、 つの枝の電流の和が になることを書く。電池は「起電力から内部抵抗の電圧降下を引いたものが端子電圧」なので、各枝の電流が端子電圧で表せる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 電池が 個あるので、どちらから解くか迷いやすい。
しかし並列につながれている以上、 つの枝(電池 、電池 、抵抗 )の両端の電位差はすべて同じである。この共通の値を とおけば、それぞれの電流が で書ける。
あとは「流れこむ電流の和 = 流れ出る電流の和」という 本の式で が決まる。未知数 つで済む。
① 端子電圧。 電池 を流れる電流は、起電力と端子電圧の差を内部抵抗で割ったものである。
電流の保存から 、すなわち
両辺に を掛けて
② 各電流。
電池 にはまったく電流が流れない。端子電圧がちょうど に等しくなったからである。
このとき電池 は、あってもなくても同じである。実際、電池 を外して電池 だけにしても、端子電圧は で変わらない。
③ 開放にすると。 をはずすと なので
電池 の電流が負である。これは電池 が充電されている(電流が起電力に逆らって流れこんでいる)ことを意味する。
外部に何もつないでいないのに、 つの電池のあいだをぐるぐる回る電流(循環電流)が 流れている。
このとき内部抵抗で発生する熱は
④ 問題点。 何も使っていないのに、 つの電池のあいだで電流が流れ続け、 もの熱を出しながら電池が消耗していく。
しかも電池 は充電され続けるので、充電に対応していない電池(乾電池など)では液漏れや発熱、破裂の危険がある。
だから起電力の違う電池を並列につないではいけない。同じ種類・同じ状態の電池だけを並列にするのが原則である。
まとめ 並列部分の電位を つの未知数にとれば、電池が何個あっても 本の式で解ける。開放でも電流が流れることが、この回路の危険な点である。
発展 — 一歩先へ。 ③ の状況は、内部抵抗が小さいほど危険になる。 なら循環電流は にもなり、発熱は である。
新しい電池と古い電池を混ぜてはいけない、と言われるのはこのためである。内部抵抗が小さい新品ほど、わずかな起電力差でも大きな電流が流れる。
リチウムイオン電池を並列にする機器では、電池ごとに保護回路を入れて電圧をそろえてから接続する。回路の教科書的な問題が、そのまま製品安全の設計につながっている。
端子電圧 、電流は が ・ が ・ が 、開放では で循環電流 ・発熱 、外部に何も接続していなくても電池どうしで電流が流れて消耗する
別解
等価電源にまとめるルート。 つの電池の並列部分は、 個の電池に置きかえられる。
開放電圧は ③ で求めた である。内部抵抗は、起電力を取り去って( にして)端子から見た抵抗だから
つまり「起電力 、内部抵抗 の電池 個」と同じである。
これを使えば ① は即座に出る。
外部から見るかぎり、この置きかえは完全に正しい。 をいろいろ変えて調べるときは、こちらのほうが速い。
ただし、置きかえた電池では「内部で の循環電流が流れて の熱が出ている」ことが見えなくなる。外部から見て同じでも、中で起きていることは違う——等価回路を使うときに忘れてはいけない点である。
ポイント
- 並列部分の電位を 1 つの未知数にとると、式が 1 本で済む
- 端子電圧が起電力に等しい電池には電流が流れない
- 開放でも循環電流が流れ、熱が出て電池が消耗する
- 起電力の違う電池を並列にしてはいけない
よくある間違い
- 2 つの起電力を足したり平均したりする
- 開放なら電流は流れないと考える(電池どうしで流れる)
- 電流が負になったときに符号を捨ててしまう(充電されていることを表す)