物理 / 直流回路

自由電子の平均の速さ

★★★ 応用電流の微視的描像

問題

断面積 の銅線に の電流が流れている。銅の自由電子の密度を 、電気素量を とする。(1) 電流を、電子の平均の速さ を使って表せ( を導け)。 (2) を求め、その値の意外さを述べよ。

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「1 秒間に断面を通り抜ける電子の数」を数える——速さ v で 1 秒進む筒(体積 vS)の中の電子が全部通る。1 個の電荷 e を掛ければ毎秒の電気量=電流。数値を入れると、日常の感覚を裏切る答えが出る。

解答・解説

方針

1 秒に断面を通る電子=筒 vS 内の n 個/m³ → I=envS。逆算で v≈10⁻⁴ m/s。スイッチで即点灯する理由(電場は光速で伝わる)との対比。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 電流を電子の頭数の勘定に還元する。「1 秒に断面を通る電子=速さ で 1 秒に進む筒(体積 )の中にいる電子」——この 1 文が式のすべてである。

1 秒で進む筒(体積 vS)v断面 S を毎秒 nvS 個が通過
1 秒間に断面を通るのは、長さ v の筒の中の電子たち

① I=envS の導出。 筒の中の電子数は 個。それぞれ電荷 を運ぶから、毎秒通過する電気量は

② 速さの逆算。

秒速 0.1 mm 程度——アリの歩みよりずっと遅い。

まとめ ではなぜスイッチを入れた瞬間に電灯がつくのか——導線の中には電子が最初から満員で詰まっており、電場(押せの合図)が光速近くで伝わって、全員が一斉にそろそろ動き出すからである。ホースに水が満ちていれば蛇口をひねった瞬間に先端から水が出るのと同じ——「信号は速く、担い手は遅い」の分離が、微視的描像の最大の学びである。

(1) 断面を 1 秒に通る電子は長さ の円筒内の 個で、電気量は ——これが (2) ——秒速 0.1 mm ほどで、電流の担い手は驚くほどゆっくり動いている

別解

桁の主犯を探すルート。 が小さい犯人は という猛烈な密度である——担い手が桁外れに多いから、一人ひとりは微速でも大電流になる。式 で感度分析すると、 の 28 桁が を 4 桁台の負まで押し下げている。

半導体は が桁違いに小さい( 前後)——同じ電流でも電子はずっと速く走る必要がある——材料による違いまで、この式 1 本で見通せる。

ポイント

  • I=envS(筒の中の頭数)
  • v は秒速 0.1 mm 程度
  • 信号は速く担い手は遅い

よくある間違い

  • 電子が光速で流れると考える
  • 筒の長さを 1 m として数える
  • 指数の掛け算で桁を誤る