物理 / 電流と磁場

速度選択器

★★ 標準ローレンツ力速度選択器

問題

互いに垂直な電場と磁場が重なった領域に、両方に垂直に荷電粒子を打ち込む。電場の強さ 、磁束密度 のとき、まっすぐ進む(電気力とローレンツ力がつり合う)粒子の速さを求めよ。また、この装置が「速度選択器」と呼ばれる理由を述べよ。

vqEqvBスリット2 力がつり合う速さだけ直進
電気力とローレンツ力がつり合う速さの粒子だけが通過する
ヒントを見る

粒子には 2 つの力がはたらく——電場からの力 qE と、磁場からのローレンツ力 qvB。この 2 つが逆向きにつり合えばまっすぐ進む。つり合いの式から速さが 1 つに決まることに注目——それ以外の速さの粒子はどうなるか。

解答・解説

方針

電気力 qE(電場方向)とローレンツ力 qvB(逆向き)のつり合い qE=qvB。v=E/B。この速さ以外は力がつり合わず曲がる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 電場と磁場を逆向きに効かせて綱引きさせる。電気力 (速さによらない)とローレンツ力 (速さに比例)がつり合うのは、ただ 1 つの速さだけ——この選別が装置の要である。

① つり合いの式。 2 力が逆向きにつり合うとき

( が消える——電荷の大きさや符号によらず、この速さで選別される。)

② 速度選択器の理由。 電気力は速さによらず一定だが、ローレンツ力は速さに比例する。だから

  • ちょうど: つり合ってまっすぐ通過
  • 速すぎる粒子: ローレンツ力が勝って一方へ曲がる
  • 遅すぎる粒子: 電気力が勝って逆へ曲がる

特定の速さの粒子だけがまっすぐ通り抜け、スリットを通過できる——だから速度選択器である。

まとめ という美しい結果——電場と磁場の比で速さが決まる。これは質量分析器(応用)の前段でよく使われる(まず速さをそろえてから、磁場で質量ごとに分ける)。「速さによらない力(電気)と速さに比例する力(磁気)の綱引き」という設計思想は、物理の巧みさの好例である。

電気力 とローレンツ力 がつり合う: より 。この速さの粒子だけがまっすぐ進み、他の速さの粒子は曲げられて除かれるから

別解

単位で v=E/B を確かめるルート。 ——(電磁誘導の から)を使うと で確かに速さ。

は速度選択器だけでなく、電磁波の の関係()にも顔を出す——「電場と磁場の比が速さ」という関係の一般性を、頭の片隅に置いておくと後で響く。

ポイント

  • qE=qvB のつり合い→v=E/B
  • 電荷 q によらず選別
  • 特定の速さだけ直進(選別)

よくある間違い

  • 2 力を同じ向きと考える
  • q が消えることに気づかず残す
  • v=EB や v=B/E と誤る