物理 / 電流と磁場

サイクロトロン振動数

★★ 標準ローレンツ力サイクロトロン

問題

サイクロトロン(円形加速器)の中で、陽子(質量 、電気量 )が磁束密度 の磁場中を回っている。(1) 回転の振動数(サイクロトロン振動数)を求めよ。 (2) サイクロトロンで粒子を加速し続けられるのはなぜか。円運動の周期の性質から説明せよ。 とする。

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サイクロトロン振動数は周期の逆数。(2) では前の基礎問題で示した『周期は速さによらない』ことを使う。加速して速くなっても 1 周の時間は変わらないから、決まったリズムの電圧で押し続けられる。

解答・解説

方針

f=1/T=qB/(2πm)。周期が速さによらないから、加速で速くなってもタイミングが合い続ける。これがサイクロトロンが成り立つ理由である。

解答

⓪ 発想(どう考え始めるか) サイクロトロン振動数は周期 の逆数である。そして (2) の答えは基礎で示した「周期が速さによらない」という性質である。

① 振動数。

② 加速し続けられる理由。 サイクロトロンは 2 つの D 字電極(ディー)の間の隙間で、粒子が通るたびに電圧で押して加速する。加速すると粒子は速く・大きく回るが、周期は速さによらず一定である。だから隙間に来るタイミングが常に同じで、振動数 の交流電圧を掛けておけば、何周してもぴったりのタイミングで押し続けられる。

ディーディー隙間を通るたびに加速(周期一定)
サイクロトロン。周期が一定だから固定振動数で加速し続けられる

まとめ 「速くなっても 1 周の時間は同じ」という一見地味な性質があったから、粒子を高速まで加速する装置が作れた。振動数 は粒子の速さに全く依存せず、 という比電荷と磁場だけで決まる。だから装置は 1 つの固定振動数で動く。サイクロトロンは「等時性」をそのまま利用した装置である。

答

(1) (2) 周期が速さ(半径)によらず一定なので、粒子が加速して速く・大きく回っても回転のタイミングがずれず、一定周期の交流電圧でタイミングを合わせて押し続けられる

別解

相対論的な限界に触れるルート(発展)。 実は光速に近づくと質量が増える(相対論効果)ため、 の が増えて周期が延び、タイミングがずれてくる。そのため高エネルギーではサイクロトロンが使えなくなる。これを補うのが、振動数を粒子に合わせて変えるシンクロトロンである。

「等時性が成り立つ範囲」を知ると、加速器がサイクロトロンからシンクロトロンへ進んだ理由が分かる。高校の式が最先端の加速器を理解する基礎になっている。

ポイント

  • f=qB/(2πm)(速さによらない)
  • 等時性が連続加速を可能に
  • 固定振動数で動く

よくある間違い

  • 振動数が速さとともに増えると考える
  • T と f を取り違える
  • 2π を落とす