物理 / 電流と磁場
サイクロトロン振動数
問題
サイクロトロン(円形加速器)の中で、陽子(質量 、電気量 )が磁束密度 の磁場中を回っている。(1) 回転の振動数(サイクロトロン振動数)を求めよ。 (2) サイクロトロンで粒子を加速し続けられるのはなぜか。円運動の周期の性質から説明せよ。 とする。
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サイクロトロン振動数は周期の逆数。(2) の核心は前の基礎問題で示した『周期は速さによらない』——加速して速くなっても 1 周の時間は変わらないから、決まったリズムの電圧で押し続けられる。
解答・解説
方針
f=1/T=qB/(2πm)。周期が速さによらないから、加速で速くなってもタイミングが合い続ける——これがサイクロトロン成立の鍵。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 サイクロトロン振動数は周期 の逆数——そして (2) の答えは「周期が速さによらない」(基礎で示した)という、この単元最大の美点である。
① 振動数。
② 加速し続けられる理由。 サイクロトロンは 2 つの D 字電極(ディー)の間の隙間で、粒子が通るたびに電圧で押して加速する。加速すると粒子は速く・大きく回るが、周期は速さによらず一定——だから隙間に来るタイミングが常に同じで、振動数 の交流電圧を掛けておけば、何周してもぴったりのタイミングで押し続けられる。
まとめ 「速くなっても 1 周の時間は同じ」という一見地味な性質が、粒子を光速近くまで加速する装置を可能にした——物理の美しさの実例である。振動数 は粒子の速さに全く依存せず、 という比電荷と磁場だけで決まる。だから装置は 1 つの固定振動数で動く——サイクロトロンが「等時性」の申し子と呼ばれる理由である。
(1) (2) 周期が速さ(半径)によらず一定なので、粒子が加速して速く・大きく回っても回転のタイミングがずれず、一定周期の交流電圧でタイミングを合わせて押し続けられる
別解
相対論的な限界に触れるルート(発展)。 実は光速に近づくと質量が増える(相対論効果)ため、 の が増えて周期が延び、タイミングがずれてくる——高エネルギーではサイクロトロンが使えなくなる。これを補うのが、振動数を粒子に合わせて変えるシンクロトロンである。
「等時性が成り立つ範囲」を知ると、加速器の進化(サイクロトロン→シンクロトロン)の必然性が見える——高校の式が最先端技術の入口になっている。
ポイント
- f=qB/(2πm)(速さによらない)
- 等時性が連続加速を可能に
- 固定振動数で動く
よくある間違い
- 振動数が速さとともに増えると考える
- T と f を取り違える
- 2π を落とす