物理 / 電流と磁場
ホール効果
問題
厚さ の金属板に、板面に平行に電流 を流し、板面に垂直に磁束密度 の磁場をかける。金属中の自由電子(電気量の大きさ 、密度 )は磁場から力を受け、板の側面間に電位差(ホール電圧)が生じる。このホール電圧 を求めよ。ただし板の幅を とすると となることを使ってよい。
ヒントを見る
電流を担う電子が磁場からローレンツ力を受け、板の片側に押しつけられる。すると電荷が偏って電場が生じ、やがてローレンツ力とつり合う——このつり合いがホール電圧を決める。与えられた式に代入するだけだが、なぜこの式になるかも考えたい。
解答・解説
方針
電流中の電子がローレンツ力で片側に寄り、電荷の偏りが電場をつくる。定常でローレンツ力と電気力がつり合い、VH=IB/(ned)。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 ホール効果は「電流中の電子がローレンツ力で片側に寄り、偏った電荷が電場を作ってつり合う」現象である。速度選択器(標準 s09)と同じ「ローレンツ力と電気力のつり合い」が舞台裏にある。
① 代入する。
② 式の意味(なぜこうなるか)。 定常状態では、電子が受けるローレンツ力 と、偏りが作る電場からの力 がつり合う。電流 (自由電子の速さ )から を消すと、幅 も消えて になる。
まとめ ホール電圧は約 ——小さいが精密に測れる。この効果の価値は測定にある: (1) の符号から電流の担い手が電子(負)か正孔(正)かが分かる(半導体の性質の判定)、(2) なので磁場センサー(ホール素子)として使える(スマホの方位磁針や電流計に内蔵)。 の (担い手の密度)が逆算できるのも重要——物質の電子密度を測る手段になる。
別解
つり合いを自分で立てて式を導くルート。 ローレンツ力 = 電気力 より 。電流 から 。代入すると
幅 が約分で消える——だから板の幅によらず、厚さ だけが効く。速度選択器の と同じつり合いから出発して、電流の式で を消す——「つり合い+微視的な電流の式」の合わせ技である。
ポイント
- ローレンツ力と電気力のつり合い
- VH=IB/(ned)(幅は消える)
- 担い手の符号判定・磁場センサー
よくある間違い
- 厚さ d と幅 w を取り違える
- n を掛けずに割る
- つり合いを考えず力だけで済ませる