物理 / 電流と磁場
質量分析器と同位体の分離
問題
電荷 のイオンを電位差 で加速し、磁束密度 の一様な磁場に垂直に入射させて半円を描かせ、入射点から距離 の所で検出する。(1) 質量 を で表せ。 (2) 半径 で検出されたイオンの質量を求めよ。 (3) このイオンと、質量が 大きい同位体は、検出位置がどれだけ離れるか。
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加速の式と円運動の式を組み合わせて、m を測定量(V・B・r)で表す。同位体は質量がわずかに違うだけである。r が √m に比例することから、質量の 1 % 差が半径の何 % 差になるかを考える。
解答・解説
方針
加速+円運動から m=qB²r²/(2V)。r∝√m なので質量の違いが半径の違いになり、2r の位置で検出。1%の質量差→0.5%の半径差。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 質量分析器は「加速(電場)→ 円運動(磁場)→ 半径から質量を逆算」する装置である。比電荷の実験(標準)と同じ 2 式を、今度は質量 について解く。
① 質量の式。 と から を消去する(標準の比電荷の問題と同じ手順)。
② 数値。
③ 同位体の分離。 だから、質量が 大きいと半径は 倍、つまり 大きい。検出位置は なので、その差は
まとめわずか の質量差が の位置差になる。これは十分に検出でき、同位体の分離・存在比の測定に使われている(炭素 12 と 13、ウラン 235 と 238 など)。「 だから、質量差の半分が半径差」という比の感覚が、装置の分解能を決める。 の各量を動かせば分解能を上げられる(強い磁場・大きい半径)。これが実験設計の指針になる。
(1) と から (2) (3) で質量 1 % 増→半径 0.5 % 増→検出位置 の差は
別解
微分(比の近似)で分解能を出すルート。 の対数微分で となる。つまり、半径の相対変化は質量の相対変化の半分である。これは平方根比例の一般則で、単振り子( で長さ 1 % 増→周期 0.5 % 増)と全く同じ構造である。
なら相対変化は 倍になる。この 1 行の関係を覚えておくと、いろいろな比例関係の感度がすぐに読める。
ポイント
- m=qB²r²/(2V)
- r∝√m(質量差の半分が半径差)
- 同位体分離・存在比測定の原理
よくある間違い
- 質量 1 % 差を半径 1 % 差とする
- 検出位置を r とする(2r)
- v の消去でべきを誤る