物理 / 平面内の運動
2 隻の船はどこまで近づくか
問題
海上に船 A と船 B がいる。ある時刻に、B は A の真東 の位置にいる。A は東へ 、B は北へ で、どちらも一定の速度で進む。
(1) A から見た B の相対速度を、東向き・北向きの成分で表し、大きさを求めよ。
(2) A から見た B の運動を図示するとどうなるか。言葉で説明せよ。
(3) 隻がもっとも近づくのは何秒後か。
(4) そのときの距離を求めよ。また、この結果を「垂線の長さ」として求める方法も示せ。
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つとも動いていると考えにくい。片方を止めるにはどうすればよいか。
解答・解説
方針
相対速度をとると、A を止めて考えられる。A から見た B は等速直線運動をするので、最接近距離は「A からその直線までの距離」、つまり垂線の長さである。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 隻とも動いているので、そのまま距離の式を書くと時間の 次式になる。それでも解けるが、見通しが悪い。
相対速度をとると、A を止めて考えられる。すると B は等速直線運動をするだけである。
止まっている点と、直線上を動く点。もっとも近づく距離は、点から直線への垂線の長さである。図形の問題になった。
① 相対速度。 東向きを 、北向きを とする。
A から見た B の相対速度は
( の直角三角形である。)
② 相対運動の様子。 加速度がないので、A から見た B は を出発し、北西の向きに で等速直線運動する。
つまり A は原点に静止していて、B が斜めの直線上を通り過ぎていく、という絵になる。
③ 最接近の時刻。 相対位置は
距離の 乗を書く。
の 次関数で下に凸である。平方完成する。
④ 最接近距離。
念のため位置でも確かめる。 のとき
( である。)
垂線として求める方法。 A(原点)から、B の通る直線への距離を求めればよい。
直線は点 を通り、方向ベクトルが である。原点からの距離は、外積の形で書ける。
計算が 行で済む。
まとめ 相対速度で片方を止めれば、 物体の接近は「点と直線の距離」になる。 次関数の最小でも解けるが、垂線として見るほうが速い。
発展 — 一歩先へ。 船や航空機の衝突回避では、この「最接近距離」と「最接近までの時間」が最重要の指標である。レーダー画面では、相手の相対速度ベクトルを表示し、その延長線が自分にどれだけ近づくかを見る。
になるのは、相対速度が相対位置と平行なときである。このとき相手は見かけ上まったく動かず、方位が変わらないまま大きくなってくる。海上衝突予防法に「コンパス方位に明確な変化が認められない場合、衝突のおそれがあると判断しなければならない」とあるのは、この事実そのものである。
同じ考えは分子どうしの衝突(衝突断面積)にも使われる。相対速度に垂直な断面のうち、 が分子の直径より小さくなる範囲が、衝突する的の大きさになる。
東へ ・北へ で大きさ 、A から見ると B は 東の点から北西向きに等速直線運動する、 秒後、(A から相対速度の直線への垂線の長さ)
別解
速度をそのまま扱い、内積で最小を出すルート。 ベクトルの記法を使うと、平方完成をせずに時刻が出せる。
相対位置は
距離の 乗は内積で書ける。
で微分して とおく。
値を入れる。、 なので
この形には意味がある。 は「相対位置と相対速度がどれだけ向かい合っているか」を測る量である。
なら近づいていて、いつか最接近する。 なら最初から遠ざかっているので、 が最接近である(上の式は負の時刻を返すので、その場合は採用しない)。
なら、いまがちょうど最接近の瞬間である。
内積の符号だけで「近づいているか遠ざかっているか」が判定できる。レーダーや衛星の接近判定でも、まずこの符号を見る。
ポイント
- 相対速度をとれば片方を止められる
- 最接近距離は点と直線の距離(垂線)
- 2 次関数の平方完成でも、外積の 1 行でも出せる
- 相対位置と相対速度の内積の符号で近づくか遠ざかるかが分かる
よくある間違い
- 2 隻の速度を足してしまう(差をとる)
- 相対速度の向きを逆にする(A から見た B は v_B−v_A)
- 最接近が「軌跡の交点」だと考える(交点を通る時刻はずれている)