物理 / 平面内の運動

斜面を上に向かって投げる

最難関編斜方投射最大値斜面

問題

水平から角 で上る斜面がある。斜面の下端から、初速の大きさ で、鉛直面内に角 (水平から測る)でボールを投げる。 とする。

Oα初速 v₀斜面に沿った距離 R
30° の斜面の下端から、角 θ で投げる。

(1) 斜面に落ちるまでの、斜面に沿った距離 で表せ。

(2) 積和の公式 を使って を変形し、 が最大になる を求めよ。

(3) (2) の は、斜面の向きと鉛直の向きのなす角をどう分けているか。

(4) 最大の を求めよ。また のときに、よく知られた結果が再現されることを確かめよ。

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落下点は「軌道」と「斜面」の交点である。式に積の形が現れたら、何ができるか。

解答・解説

方針

斜面を という直線とみて、軌道との交点を求める。積が現れたら和に直すと、 を含む項が つにまとまり最大値が読める。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 水平な地面なら が最大、というのは知っている。斜面ではどうか。

まず落下点を求める。斜面は原点を通る直線 なので、軌道の式と連立すればよい。

出てきた式には というが現れる。積のままでは最大値が読めないが、積和の公式で和に直すと、 が入る項が つだけになる。そこから先は の最大を見るだけである。

① 斜面に沿った距離。 軌道の式に を代入する。

で割って について解く。

斜面に沿った距離は である。 を使って整理すると

② 最大にする角。 積和の公式を使う。 とすると

が入っているのは だけである。これが になるとき、つまり

なら である。

重要積の形が出たら和に直す。 を含む項が つにまとまれば最大値が読める

③ 角の分け方。 斜面の向きは水平から 、鉛直は である。投射方向の は、この つのちょうど真ん中にある。

つまり斜面の向きと鉛直の向きがつくる角を二等分する向きに投げればよい。

60° の向きに投げる30°30°O
最大になる向きは、斜面と鉛直がつくる角をちょうど二等分している。

④ 最大の距離。 を代入する。

とすると で、水平な地面の結果が再現される。

まとめ 斜面でも「地面の向きと鉛直の二等分」という形は変わらない。水平な地面の は、その特別な場合である。

発展 — 一歩先へ。 下り斜面なら とすればよい。 なら で、 である。下り坂では低い角で投げるほうが遠くへ飛ぶ。

砲撃や走り幅跳びの踏切角の議論にも、この形が現れる。実際の走り幅跳びの最適角が よりずっと小さい( 前後)のは、助走の速さを保つ必要があること、そして踏切位置が着地位置より高いこと(実質的に下り斜面)が効いている。

なお、この二等分の性質は、届く範囲の境界(安全放物線)と結びついている。最大射程で投げたとき、落下点はちょうど境界上にある。境界に接する向きが二等分方向になっている、というのがこの 問のつながりである。

、斜面と鉛直のなす角をちょうど二等分する、 なら

別解

斜面を「床」とみなして座標を回すルート。 座標軸を斜面に沿って取り直すと、水平な地面の問題に帰着できる。

斜面方向を 軸、それに垂直な方向を 軸とする。この座標では、重力の加速度が 成分に分かれる。

投射角を斜面から測って とすると、初速の成分は である。

方向は「初速 、加速度 」の投げ上げなので、 に戻る時刻は

方向は「初速 、加速度 」の等加速度運動である。

代入して整理すると ① と同じ式になる。

この立場の利点は、 方向にも加速度がある(斜面に沿って引き戻される)ことが目に見えることである。水平な地面では なので は等速だったが、上り斜面では減速する。だから最適角が より大きくなる、という納得の仕方ができる。

回転した座標では加速度が斜めになる。これは風がある場合の投射(見かけの重力が傾く問題)と裏表の関係にある。座標を回すか、重力を傾けるか、どちらで考えても同じ現象を扱える。

ポイント

  • 落下点は軌道と斜面の直線の交点
  • 積和の公式で θ を含む項を 1 つにまとめる
  • 最適角は「斜面の向きと鉛直の二等分」
  • R_max=v₀²/(g(1+sinα))。α=0 で 45°・v₀²/g に戻る

よくある間違い

  • 斜面に沿った距離と水平距離を混同する(cosα で割る)
  • 斜面でも 45° が最適だと思い込む
  • 下り斜面で α の符号を変え忘れる