物理 / 平面内の運動

通った2点から初速と角を復元する

★★★★ 難関斜方投射軌道の式逆問題

問題

地面の点 O からボールを投げたところ、水平距離 の地点では高さ 、水平距離 の地点では高さ を通過した。時刻は測っていない。空気の抵抗は無視し、重力加速度の大きさを とする。

(1) 軌道が の形に書けることを示し、 の値を求めよ。

(2) 投げ出しの角と初速の大きさを求めよ。

(3) O から着地点までの水平距離を求めよ。

(4) 最高点の水平距離と高さを求めよ。

x [m]y [m]O(2.0, 1.8)(12, 4.8)2.012
原点から投げたボールが通過した2点。時刻は測られていない
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時間 を消してしまうと、何と何の関係が残るか。その式に未知の数はいくつあるか。

解答・解説

方針

時刻が分からなくても、軌道は の関係として書ける。未知の定数は2つだけなので、通った2点を代入すれば決まる。あとは定数を物理量に翻訳する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 時刻が測られていない。ふつうの解き方では が主役なので、これは困る。

そこで を消してしまう 。水平方向は等速だから で、これを鉛直の式に入れれば、 だけの関係が残る。これが軌道の式である。

軌道の式に含まれる未知の定数は2つだけである。通過点が2つ分かれば、連立して決まる。 出てきた定数を、あとから角と初速に翻訳すればよい。

① 軌道の式。 水平と鉛直に分けて書く。

第1式から を第2式に入れる。

たしかに の形である。ここで

2つの通過点を代入する。

第1式を で、第2式を で割ると、そろった形になる。

引き算して

② 角と初速。 だから

初速は から出す。 を使うと、 を経由せずに書ける。

重要軌道の式 は、投射の問題で **時刻を聞かれていないとき** の主役になる

③ 着地点。 とおく。

④ 最高点。 放物線 の頂点は、2つの 切片 の中点にある。

x [m]y [m]O最高点205.0
2点から決まった軌道。頂点と着地点は、決まった式から読み取れる

から直接計算しても、 で一致する。

まとめ 測れていない量がある問題では、その量を消す ことをまず考える。時刻を消せば軌道の式が残り、未知数が2つに減って、点2つで決まる。式の形を見て「決めるべき定数はいくつか」を数える習慣が効く。

発展 — 一歩先へ。 軌道の写真からは の2つしか読めない。 はそのまま角を与えるが、 から初速を出すには の値が要る。軌道の形だけを見ても は分からない ということである。

まで測りたければ、時間の情報がいる。等間隔の時刻で撮った連続写真なら、水平方向の間隔が一定であることから が直接読め、そこから を通して が出せる。形は角を、時間は を教える。 高校の実験でよく使う動画解析は、この2つを合わせて行っている。

(1) で、 (2) (3) (4) 水平距離 、高さ

別解

割り算で直線に直すルート。 連立方程式を解かずに、グラフの読み取りで済ませることもできる。実験データを扱うときの定石である。

の両辺を で割る。

左辺を の1次関数として見ると、傾きが 、切片が である。 与えられた2点から左辺を計算する。

つまり点 を通る直線である。

同じ値が出た。

x [m]y/xO1.02.012
y/x を x に対してとると直線になる。傾きが −B、切片が A を与える

点が3つ以上あるときは、この直線に乗るかどうかで 測定が正しいかを確かめられる のが強みである。放物線のままでは目で判断しにくいが、直線からのずれなら一目で分かる。「曲線は直線に直してから読む」は、実験を扱うときにいつも効く考え方である。

ポイント

  • 時刻が分からないときは を消す。残るのが軌道の式
  • 軌道の式の未知定数は2つ。通過点2つで決まる
  • を使うと、角を経由せずに初速が出せる

よくある間違い

  • 通過点の水平距離を時刻だと思って代入してしまう。与えられているのは位置であって時間ではない
  • から初速を出すときに を落とし、 としてしまう
  • 最高点を「2つの通過点の中間」と考えてしまう。頂点は 切片の中点であって、通過点の中点ではない