物理 / 平面内の運動

天井のある部屋で最も遠くへ投げる

★★★★ 難関斜方投射最大値制約つき最大

問題

天井の高さが の体育館の中で、床の高さから速さ でボールを投げる。投げ出しの角は自由に選べる。空気の抵抗は無視し、ボールは点とみなす。重力加速度の大きさを とする。

(1) 天井がないとき、最も遠くへ届く投げ出しの角と、そのときの水平到達距離を求めよ。

(2) その投げ方をすると、ボールは天井に当たってしまうか。最高点の高さを求めて判断せよ。

(3) 天井に当たらない範囲で最も遠くへ投げるとき、投げ出しの角の と水平到達距離を求めよ。

(4) 天井の高さがいくら以上あれば、(1) の投げ方をそのまま使えるか。

3.6 m天井14 m/s角は自由に選べる
天井のある体育館の中で、床から速さ 14 m/s で投げる。投げ出しの角は自由に選べる
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制約が無いときに最大になる投げ方は決まっている。まずその投げ方が使えるかどうかを確かめる。使えないとき、答えはどこにあるか。

解答・解説

方針

制約が無ければ で最大になる。天井があると最高点に上限がつき、使える角に上限がつく。水平到達距離は までは角とともに増えるので、許される中でいちばん大きい角、つまり天井にぎりぎり触れる角が答えになる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「最も遠くへ」と聞いて と答えたくなる。しかしそれは 空が開いているとき の話である。

天井があると、ボールは高く上がりすぎてはいけない。つまり 最高点の高さに上限がつく 。最高点は角が大きいほど高いので、これは「使える角の上限」に翻訳できる。

一方、水平到達距離は に近づくほど大きい。そこで、許される角のうちいちばん に近いもの、つまり天井にぎりぎり触れる投げ方が答えになる。制約つきの最大は、こうして「境界」に現れることが多い。

① 天井がないときの最大。 投げ出しの角を とすると、次の2本がすべての出発点になる。

公式水平到達距離 、最高点の高さ

まず である。この がこの問題の基準になる長さで、以下ずっと顔を出す。

が最大になるのは 、つまり のときだから

② その投げ方は天井に当たるか。 のとき だから

天井は しかない。 なので 当たってしまう 。つまり という答えはこの体育館では使えない。

③ 天井の下での最大。 条件は「最高点が天井以下」である。

ここで は、 から まで増えるあいだ ずっと増え続ける 。したがって許される中で最大の角、すなわち が最適である。

このとき だから

角は約 である。天井に届かない範囲でめいっぱい高く投げるのが、いちばん遠くへ飛ばす方法になる。

重要制約つきの最大値は、**自由な最大点が制約の中にあるかどうか** で答えが変わる。中にあればそのまま、外にあれば境界が答え

④ 制約が効かなくなる高さ。 の最高点は だった。天井がこれ以上あれば、ボールは天井に届かないまま最も遠くへ飛べる。

まとめ 最大を聞かれたら、まず制約のない答えを出す。次にそれが許されるかを確かめる。許されなければ、境界まで戻って答える。この3手順は、物理でも数学でも同じ形で使える。

O天井19.245°(天井を突きぬける)天井に触れる角
天井が無ければ 45° が最大だが、その軌道は天井の外へ出てしまう。天井にちょうど触れる投げ方が、この部屋での最大になる

発展 — 一歩先へ。 天井の高さ を変えたときの到達距離を1本の式にまとめておくと、全体が見える。最高点をちょうど にする投げ方では、鉛直成分が 、水平成分が 、滞空時間が だから

を入れると で本文と一致する。この式を の関数として見ると、根号の中は の2次式で、 で最大になる。天井を高くしていくと に達し、そこから先はいくら高くしても伸びない。①で出した答えと、ちゃんとつながっている。

(1) (2) 最高点は で天井より高いので当たる (3) (約 )、 (4) 以上

別解

縦を先に決めて、残りを横に回すルート。 角度の式を使わず、速度を縦と横に分けたまま考えても解ける。こちらのほうが「なぜ境界が最大か」が見えやすい。

最高点の高さを と決めてしまう。すると縦の運動だけで滞空時間が決まる。

なら である。

速さ のうち を縦に使ったので、残りが横に回る

この見方だと、 を大きくすると滞空時間は伸びるが水平の速さは減る、というせめぎ合いがそのまま見える。 という速さでは、つり合いが取れる高さが である。天井がそれより低い なら、まだ「もっと高く上げたい」側にいるので、天井いっぱいまで使うのが得 という結論になる。

数値も比もきれいに出るので、検算にも使える。 になっていることに気づけば、 もその場で読める。

ポイント

  • 制約つきの最大は「自由な最大が使えるか」をまず確かめる。使えなければ境界が答え
  • まで単調に増える。だから許される最大の角が最適
  • 最高点の高さを決めると滞空時間が決まり、速さの残りが水平成分に回る

よくある間違い

  • 天井があっても が最適だと決めてかかる。制約が最適点を外へ追い出していないかを確かめる
  • を出したあと としてしまう。式に入るのは のほう
  • 天井に当たってから跳ね返って飛び続けると考えてしまう。ここで問われているのは、当たらずに飛ぶ範囲での最大