物理 / 光
レンズを動かして焦点距離を測る
問題
物体とスクリーンを 離して固定し、そのあいだで凸レンズを前後に動かす。すると、レンズの つの位置ではっきりした像が結ばれた。
レンズの焦点距離を 、物体からレンズまでの距離を 、レンズからスクリーンまでの距離を とする()。
(1) が満たす 次方程式を作り、 のときの つの位置を求めよ。
(2) つの位置の間隔 を求めよ。また を と で表せ。
(3) つの位置での像の倍率をそれぞれ求め、その積がいくらになるかを述べよ。
(4) 像が結ばれるためには と にどんな関係が必要か。
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と は独立ではない。写像公式と合わせると について何次の方程式になるか。 つの解にはどんな関係があるか。
解答・解説
方針
写像公式と を連立すると の 次方程式になる。 解が つのレンズ位置にあたる。解と係数の関係を使えば、間隔 から を求める式が出る。この 位置が物体側と像側を入れかえた関係にあることが、倍率の積に現れる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「 か所で像ができる」と言われたら、方程式の解が つあると読みかえる。
未知数は と の つだが、 で結ばれているので実質 つである。写像公式に代入すれば の 次方程式になり、 解が つの位置に対応する。
そして 次方程式なら、解と係数の関係が使える。 解の和と差が分かれば、 を測定量だけで書ける。これがこの測定法の要点である。
① 次方程式と つの位置。 写像公式に を代入する。
両辺に を掛けて整理する。
、 を入れる。
つの位置は、物体から と である。一方の が他方の になっている(物体側と像側の入れかえ)。
② 間隔から を出す。 解の差が間隔 である。解と係数の関係から
これを について解く。
測るのは と という つの長さだけである。レンズの中心がどこにあるか(厚みの中心)を知らなくてもよいのが、この方法の強みである。
③ 倍率。 倍率は で与えられる。
積は
つの位置は と が入れかわった関係なので、倍率はたがいに逆数になる。一方が拡大なら、他方は同じ比率の縮小である。
④ 像ができる条件。 次方程式が実数解をもつ必要がある。
物体とスクリーンが近すぎると、どこにレンズを置いても像は結ばない。 がぎりぎりで、そのとき つの位置は重なり()、 の等倍になる。
まとめ 写像公式と の連立が 次方程式になり、その判別式が「像ができる条件」、 解の差が「焦点距離の測定式」を与える。物理の設定が、そのまま 次方程式の性質に翻訳される。
発展 — 一歩先へ。 ② の方法はベッセル法とよばれ、実際にレンズの焦点距離を精密に測るのに使われている。
なぜこの方法が優れているかというと、厚いレンズでは「レンズの中心」がどこなのかがはっきりしないからである。 や を直接測ろうとすると、その曖昧さが誤差になる。
ベッセル法で測るのは、レンズを動かした距離 と、物体からスクリーンまでの距離 だけである。どちらもレンズの中心とは無関係に測れる。「測りにくい量を、測りやすい量の組み合わせに逃がす」という測定の定石になっている。
で 、 で 、倍率は 倍と 倍で積は 、
別解
光の逆進性から 位置の存在を先に見抜くルート。 方程式を解く前に、 つ目の位置があることは分かる。
光の進む道すじは、向きを逆にしてもそのまま成り立つ(光の逆進性)。だから、物体からレンズまで 、レンズからスクリーンまで で像ができるなら、レンズを動かして物体からの距離を 、スクリーンまでを にしても像ができる。
は変わらないので、この つ目の配置も同じ の中に収まる。つまり 位置は必ず対になって現れる。
このとき つの位置は、 の中点について対称である。中点からそれぞれ の位置にあるので
これを写像公式に入れると
となり、② の式が直接出る。 次方程式を解かずに済む。
対称性を先に見抜くと、計算が短くなるだけでなく「なぜ 位置なのか」という理由まで同時に分かる。
ポイント
- 写像公式と a+b=L の連立は a の 2 次方程式になる
- 2 解は物体側と像側を入れかえた関係(倍率はたがいに逆数、積は 1)
- f=(L²−e²)/(4L)。測るのは L と e だけでよい(ベッセル法)
- 像ができる条件は L≥4f(判別式)
よくある間違い
- 2 つの位置が別々の像の種類(実像と虚像)だと考える(どちらも実像)
- 倍率を a/b としてしまう(スクリーン側 ÷ 物体側)
- L<4f でも近づければ像ができると思う(どこに置いても結ばない)