物理 / 光
マイケルソン干渉計で長さを測る
問題
光源からの光を半透明の鏡(ハーフミラー)で つに分け、それぞれを鏡 、 で反射させてもとの位置に戻し、重ね合わせて干渉させる装置をマイケルソン干渉計という。
をゆっくり動かすと、視野の中の縞が次々に移動していく。 を 動かしたところ、縞が 本ぶん移動した。
(1) 鏡を だけ動かすと、 つの光の光路差はいくら変わるか。
(2) 光の波長を求めよ。
(3) 縞 本ぶんの移動は、鏡の移動距離でいうといくらか。この装置で測れる長さの目安を述べよ。
(4) 一方の腕に、厚さ 、屈折率 の薄いガラス板を差しこむと、縞は何本ぶん移動するか。
ヒントを見る
鏡を動かすと、光はどれだけ余分に進むか。片道か、往復か。ガラス板を入れたときの光路長の増え方も同じ考え方でよい。
解答・解説
方針
光は鏡まで往復するので、鏡の移動距離の 倍だけ光路差が変わる。縞 本の移動が光路差 に対応することから波長が出る。ガラス板でも「往復で 」と同じ考え方でよい。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 この装置の要は「往復」である。鏡を 動かすと、光はその区間を往復するので だけ余分に進む。
縞が 本ぶん移動するのは、光路差が 変わったときである。だから鏡の移動距離と縞の本数を数えるだけで、波長という極めて小さい量が測れる。
逆に、波長が分かっていれば、 という精度で長さを測る道具になる。
① 光路差の変化。 光は鏡まで行って戻るので、鏡が 動けば経路は 変わる。
② 波長。 縞 本ぶんの移動は、光路差が 変わったことを意味する。
③ 測れる長さの目安。 縞 本ぶんの移動は の場合だから
つまり縞を 本数えられれば、 の移動が分かる。縞の位置を まで読み取れば 、原子数個ぶんの長さである。
ものさしでは到底届かない精度が、「数を数える」だけで得られる。
④ ガラス板を入れる。 厚さ の部分では、光は真空中と比べて の光路長を進むことになる。もともとそこは空気(光路長 )だったから、増える分は である。
光は往復するので 倍になる。
まとめ 「往復で 倍」と「縞 本は光路差 」の つだけで、この装置の問題はすべて解ける。鏡を動かしても、ガラス板を入れても、考え方は同じである。
発展 — 一歩先へ。 マイケルソンとモーリーは、この干渉計で地球の運動による光速の変化を探した( 年)。もし光がエーテルという媒質を伝わるなら、地球の進む向きと垂直な向きとで光速が違い、装置を 回すと縞が動くはずだった。
しかし縞は動かなかった。この「何も起こらなかった実験」が、光速はどの向きでも同じという結論につながり、相対性理論への道を開いた。
年に重力波を検出した LIGO も、原理は同じマイケルソン干渉計である。腕の長さ で、原子核の大きさより小さい変化を捉えている。
光路差の変化は 、、縞 本は 、ガラス板では 本
別解
光路長という 本の物差しでそろえるルート。 ① と ④ は、別々の話に見えて同じ式で処理できる。
干渉を決めるのは、幾何的な距離ではなく光路長(距離 × 屈折率)である。 つの腕の光路長の差だけが問題になる。
鏡を 動かす操作は、その腕の光路長を 増やす(空気の屈折率は )。
ガラス板を入れる操作は、厚さ の区間の屈折率を から に変えることなので、光路長を 増やす。往復で 。
どちらも「光路長がいくら変わったか」を で割れば縞の本数になる。
この 本の式にまとめておくと、「屈折率が未知の気体を封入したセルを入れて、縞の本数から屈折率を測る」といった応用問題にもそのまま対応できる。実際、気体の屈折率( 程度)はこの方法で精密に測られている。
ポイント
- 鏡の移動 x に対して光路差は 2x 変わる(往復)
- 縞 1 本の移動 = 光路差が λ 変わる
- 縞 1 本は鏡の移動 λ/2=0.25 μm に相当する
- ガラス板の挿入も「光路長の変化 2(n−1)t」で同じ式に乗る
よくある間違い
- 光路差の変化を x としてしまう(往復なので 2x)
- ガラス板の効果を nt としてしまう(もとの空気の分 t を引いて (n−1)t)
- ガラス板でも往復を忘れる(2 倍する)