物理 / 波の伝わり方と音

風があるときのドップラー効果

★★★ 応用ドップラー効果

問題

振動数 の音源が、静止した観測者へ向かって速さ で近づいている。音源から観測者へ向かう向きに速さ の風が吹いている。観測者が聞く振動数を求めよ。無風時の音速を とする。また、無風の場合の値と比べよ。

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風は「空気という媒質ごと流す」——音はあくまで空気に対して 340 m/s で進むから、地面から見た音速が変わる。ドップラーの式の V をどう置き換えればよいか。

解答・解説

方針

風=媒質ごと流れる→音速を V+w に置き換えてから通常のドップラー。式の V を全部 360 にする。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 風の効果はただ 1 つ——音速の置き換えである。音は空気に対して で進むから、空気ごと で流れていれば、地面から見た音速は (風下向き)。あとは通常のドップラーで、式の をすべて 差し替える。

① 置き換えて計算する。

② 無風と比較する。 無風なら

追い風なのに、聞こえる音はわずかに低くなる()。

まとめ 意外な結果の理由——追い風は波を運ぶのを助けるが、同時に前方の波長も引き伸ばす。分子・分母の両方が大きくなり、比 が増えるほど 1 に近づく(風が音源の動きを「薄める」)。「風で音が高くなる」という素朴な直感は誤り——風は音を届きやすくするが、高さはむしろ変えない方向にはたらく。

風下へは音速 になり 。無風なら ——風で少し下がる

別解

風に乗った立場で見るルート。 空気と一緒に流れる観測者(気球に乗った人)から見れば、風はなく普通のドップラー——ただし音源は ……ではない。音源の対気速度は ?——いや、音源は地面に対して 20、風と同じ向き・同じ速さだから空気に対しては静止している。空気の立場では音源静止・観測者が風上へ で動く:

同じ答えに別の道から着く。「誰から見るか」を空気に固定すると、風の問題はすべて無風の問題に翻訳できる——相対速度の考え方の好例である。

ポイント

  • 風=音速の置き換え(V→V±w)
  • 追い風でも高くはならない
  • 空気の立場に乗ると無風問題化

よくある間違い

  • V はそのままで vs だけいじる
  • 分子だけ V+w にする
  • 風の向きの符号を逆にする