物理 / 電磁誘導と交流

共振したコイルの電圧が電源を超える

最難関編交流共振インピーダンス

問題

の抵抗、 のコイル、 のコンデンサーを直列につなぎ、実効値 の交流電源につないだ。角振動数 は自由に変えられるものとする。

20 VRLC
RLC 直列回路。角振動数を変えながら電流を調べる。

(1) 共振する角振動数 を求めよ。

(2) 共振しているときの回路のインピーダンスと、流れる電流(実効値)を求めよ。

(3) 共振しているときの、コイルの両端の電圧とコンデンサーの両端の電圧をそれぞれ求めよ。

(4) (3) の答えは電源電圧 より大きい。キルヒホッフの法則に反していないか。理由を述べよ。

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共振ではインピーダンスがどうなるか。電流が大きくなると、コイルの電圧 はどうなるか。

解答・解説

方針

共振では となり、インピーダンスは だけになる。電流が最大になるので、リアクタンスにかかる電圧も大きくなる。位相を考えると、 つの電圧は逆向きで和は である。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 共振の条件は である。このとき つのリアクタンスは打ち消し合い、回路には抵抗しか残らない。

だから電流が最大になる。ここまでは知っている話である。

問題はその先で、電流が大きいと も大きくなる。 もあるので、コイルの電圧は電源より大きくなってしまう。これが「電圧拡大」で、共振回路のいちばん面白いところである。

① 共振角振動数。

② インピーダンスと電流。 リアクタンスを計算する。

たしかに等しい。インピーダンスは

③ コイルとコンデンサーの電圧。

どちらも電源電圧の 倍である。

コイル 200 Vコンデンサー 200 V抵抗 20 V打ち消し合う
電圧の位相の関係。コイルとコンデンサーは正反対を向くので和は 0 になり、残るのは抵抗の 20 V だけ。

④ 矛盾しない理由。 交流では、電圧の大きさをそのまま足してはいけない。位相を考える必要がある。

コイルの電圧は電流より位相が 進み、コンデンサーの電圧は 遅れる。したがって つは ずれていて、たがいに正反対を向いている。

瞬間ごとに見ても、コイルの電圧が のときコンデンサーは で、和はつねに である。残るのは抵抗の電圧 で、これがちょうど電源電圧に等しい。

キルヒホッフの法則は瞬間ごとに成り立っており、破れていない。

重要交流では電圧を大きさのまま足せない。位相の ずれが本質

まとめ 共振では となって電流が最大になり、その結果コイルとコンデンサーには電源よりはるかに大きい電圧がかかる。 つは打ち消し合うので矛盾はない。

発展 — 一歩先へ。 ③ の倍率 値(尖鋭度)という。ここでは である。

が大きいほど共振が鋭くなり、目的の振動数だけを強く拾える。ラジオの選局回路が特定の放送だけを取り出せるのは、この鋭さのおかげである。

いっぽう、 が大きい回路では思わぬ高電圧が発生する。実際の高電圧発生装置(テスラコイル)は、この電圧拡大を意図的に使っている。設計では「使う」と「壊れないようにする」の両面で を意識する必要がある。

、インピーダンスは で電流 、コイルもコンデンサーも つは位相が ずれていて打ち消し合うので矛盾しない

別解

エネルギーの往復として見るルート。 共振の正体は、コイルとコンデンサーのあいだをエネルギーが往復している状態である。

コンデンサーが電気エネルギーを蓄えているとき、コイルの電流は である。逆にコイルが磁気エネルギーを蓄えているとき、コンデンサーの電圧は である。この受け渡しの周期が で、 である。

つまり のあいだでは、電源とは無関係にエネルギーがぐるぐる回っている。電源がすることは、抵抗で失われる分を補うことだけである。

この見方で ④ が納得しやすくなる。 が「大きな電圧をやりとりしている」のは内部の話で、外から見ると差し引き である。電源が見ているのは抵抗だけなので、 になる。

ばね振り子との対応で書くと次のようになる。

電気振動 力学の単振動
コンデンサーの電荷 位置
電流 速度
コイルの 質量
ばね定数
抵抗 空気抵抗

外から周期的に押してやると、固有振動数のときに振幅が最大になる。共鳴と共振は同じ現象である。

ポイント

  • 共振は X_L=X_C。インピーダンスは R だけになる
  • 電流が最大になるので、リアクタンスの電圧も最大になる
  • V_L と V_C は位相が 180° ずれていて和は 0
  • 倍率 Q=X_L/R が共振の鋭さを表す

よくある間違い

  • 電圧を大きさのまま足してキルヒホッフに反すると考える
  • 共振でインピーダンスが最大になると覚え違いする(直列では最小)
  • X_C=ωC としてしまう(1/ωC)