物理 / 電場と電位

コンデンサーのブリッジ回路

最難関編コンデンサー電荷保存節点の電位

問題

図のように 5 個のコンデンサーをつなぎ、 の電池を接続した。容量は 、橋にあたる である。

はじめすべてのコンデンサーは充電されていない。電池の負極側の電位を とする。

C1C2C3C4C5PQAB12 V
コンデンサーのブリッジ回路。P と Q は外部とつながっていない節点である。

(1) 橋のコンデンサー に電荷が流れこまないための条件を、 で表せ。

(2) この回路はその条件を満たしているか。

(3) 節点 P と Q の電位を求めよ。

(4) に蓄えられる電荷と、回路全体の合成容量を求めよ。

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この回路は直列と並列のくり返しに分けられるだろうか。分けられないなら、何を未知数に置くとよいか。導線でつながれた極板の集まりについて、いつでも成り立つことがある。

解答・解説

方針

直列と並列に分解できない回路なので、節点の電位を未知数にする。橋でつながれていない節点 P、Q は外部から孤立しているので、そこに集まる極板の電荷の合計は である。この電荷保存を 2 つ書けば連立方程式になる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 まず直並列に分解できるか試すと、できないことが分かる。橋がかかっているせいで、どの 2 つも「直列」にも「並列」にもなっていない。

こういうときは、節点の電位を未知数に置く。使う原理は 1 つだけで、「外部とつながっていない導体の電荷は変わらない」である。

節点 P につながる極板は、はじめすべて電荷が だった。だからあとでも、そこに集まる電荷の合計は でなければならない。これが方程式になる。

① 橋に電荷が流れない条件。 に電荷がないのは、その両端の電位が等しいときである。

に電荷がないなら、 は単純な直列、 も直列になる。直列では電圧が容量の逆比に分かれるので

より

重要コンデンサーのブリッジの平衡条件は (抵抗のブリッジと同じ形)

② この回路は平衡か。

等しくないので平衡していない。橋には電荷が流れる。

③ 節点の電位。 節点 P に集まる極板の電荷の合計が であることを式にする。電位 の側から見ると、 の極板の電荷は の極板は の極板は である。

数値を入れて整理する。

節点 Q でも同じようにする。

連立を解く。第 1 式から を第 2 式へ入れると

電位B(0 V)P 4.8 VQ 7.2 VA(12 V)橋の電圧 2.4 V
各節点の電位。P と Q に差があるので、橋のコンデンサーにも電荷が蓄えられる。

④ 橋の電荷と合成容量。

電池から出た電荷は、正極につながる 2 つの極板の電荷の合計である。

まとめ 直並列に分解できない回路でも、「孤立した導体の電荷は変わらない」を節点ごとに書けば必ず解ける。未知数は節点の電位だけで済む。

発展 — 一歩先へ。 ① で出した平衡条件 は、抵抗のホイートストンブリッジの条件とそっくりである。

ただし対応の仕方は逆になっている。抵抗の場合は で、抵抗は直列で電圧を容量とは逆の比に分けるからである。コンデンサーでは電圧が容量の逆比に分かれるので、比の形が同じでも中身が違う。

同じ形の式が現れたときこそ、何が対応しているのかを確かめる習慣をもちたい。

条件は 、満たしていない、 の電荷 ・合成容量

別解

電荷を未知数にするルート。 節点の電位でなく、各コンデンサーの電荷を未知数にしても解ける。

の電荷をそれぞれ とする。節点 P の電荷保存から

節点 Q では

さらに、一周する経路で電圧の合計が になることを使う。A から P、Q を通って B へ至る 2 つの道すじの電圧が等しいので

そして P から Q への電圧が の電圧に等しいことから

これらを連立しても同じ答えに達する。

未知数が 5 個になるので、節点の電位を使う方法(未知数 2 個)より手間はかかる。しかし「電荷保存」と「電圧の一周の和」という、回路の 2 大原則だけで進めるので、見通しは立てやすい。どちらの道具立てで解くかは、未知数の個数で決めるとよい。

ポイント

  • 直並列に分解できない回路は、節点の電位を未知数にする
  • 外部とつながっていない節点の電荷の合計は 0 のまま
  • ブリッジの平衡条件は C1/C2 = C3/C4
  • 合成容量は「電池から出た電荷 ÷ 電池の電圧」で求める

よくある間違い

  • 平衡していないのに直並列に分解して計算してしまう
  • 節点の電荷保存を書くとき、符号(どちら向きの電位差か)を取り違える
  • 合成容量を各容量の直並列の式で求めようとする(この回路では使えない)