物理基礎 / 仕事と力学的エネルギー

摩擦で止まるまでの距離(エネルギー収支)

★★ 標準エネルギーの原理摩擦

問題

粗い水平面上で、質量 の物体を初速度 で滑らせたところ、やがて摩擦で止まった。物体と面の間の動摩擦係数を 、重力加速度の大きさを とする。止まるまでに滑る距離を、エネルギーの考え方で求めよ。

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止まる=運動エネルギーがゼロになる。初めの運動エネルギーは、摩擦がした負の仕事の分だけ減る。両者を等しいとおこう。

解答・解説

方針

初めの運動エネルギーが、摩擦がする負の仕事によってすべて失われて止まる。½mv²=μ'mg×x とおく。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 物体は初めの運動エネルギーをもっていて、摩擦がそれを少しずつ奪い、運動エネルギーがゼロになったところで止まる

つまり「初めの運動エネルギー=摩擦が奪ったエネルギー」。摩擦が奪うエネルギーは、摩擦力 × 滑った距離だ。

① エネルギー収支を立てる。

動摩擦力は 。滑る距離を とすると

② 距離を求める。

両辺の が消えて

運動E 49はじめ(7.0 m/s)摩擦熱 49止まったとき運動エネルギー熱(失われた分)
初めの運動エネルギーが、すべて摩擦熱に変わって止まる

まとめ を見ると、止まるまでの距離は速さの 乗に比例する。速さ 倍で距離 倍 — 前単元でブレーキの制動距離として出てきた事実が、ここでもエネルギーの言葉で再現される。質量が消えるのは、運動エネルギーも摩擦力も両方 に比例して相殺するからだ。

別解

運動方程式で解くルート(検算)。 動摩擦だけで減速するので 。時間を含まない公式で

同じ答え。エネルギー()の両辺を で割ると 、つまり運動方程式から出る式そのもの。2 つの道が同じ地点に着くことを確かめておく。

ポイント

  • 止まる=運動エネルギーがすべて摩擦に奪われる
  • ½mv²=μ'mg×x
  • 止まる距離は速さの 2 乗に比例(質量によらない)

よくある間違い

  • 摩擦力に距離でなく時間を掛けてしまう(仕事は力×距離)
  • 質量が必要だと思い込む(式で m は消える)
  • を 1.0 や 100 とする