物理基礎 / 仕事と力学的エネルギー

摩擦のある水平面で引く(エネルギーの原理)

★★ 標準エネルギーの原理摩擦運動エネルギー

問題

粗い水平面上で静止していた質量 の物体に、運動の向きに の力を加えて 動かした。この間、物体には一定の動摩擦力 がはたらいた。

(1) 引く力がした仕事と、摩擦力がした仕事をそれぞれ求めよ。

(2) 動かした後の物体の速さを求めよ。

ヒントを見る

物体にはたらく力は引く力(正の仕事)と摩擦力(負の仕事)。両方の仕事を足したものが運動エネルギーの増加になる。

解答・解説

方針

エネルギーの原理は「合力がした仕事=運動エネルギーの変化」。正の仕事と負の仕事を足し合わせて運動エネルギーの増加を出す。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 エネルギーの原理の本領は、複数の力の仕事を足し合わせるところにある。正の仕事も負の仕事も、符号つきで足せばよい。

① それぞれの仕事。

  • 引く力(移動と同じ向き):
  • 摩擦力(移動と逆向き):

② 運動エネルギーの変化。

合計の仕事が運動エネルギーの増加になる。

100 J引く仕事運動E 60摩擦熱 40動かした後運動エネルギー熱(失われた分)
引いた 100 J のうち 40 J は摩擦熱に逃げ、残り 60 J が運動エネルギーになる

静止スタートなので

まとめ 引いたエネルギー のうち、 は摩擦熱として逃げ、残り が運動エネルギーになった。エネルギーの出入りを帳簿のように追うのがこの原理の使い方だ。摩擦があっても、正負の仕事を足すだけで速さが出せる。

(1) 引く力 、摩擦力 (2)

別解

運動方程式で解くルート(検算)。 合力は 、加速度 。時間を含まない公式で

同じ答え。エネルギーの原理は「合力の仕事」を使うが、運動方程式は「合力そのもの」を使う — 見ている量が違うだけで、 でつながっている。

ポイント

  • エネルギーの原理=すべての力の仕事の和=ΔK
  • 正の仕事と負の仕事を符号つきで足す
  • 引いたエネルギーの一部が摩擦熱に逃げる

よくある間違い

  • 摩擦の仕事を正で足してしまう(逆向きなので負)
  • 引く力の仕事 100 J をそのまま運動エネルギーにする(摩擦分を引く)
  • を大幅に誤る(約 7.7)