物理基礎 / 仕事と力学的エネルギー
摩擦のある斜面を駆け上がる
問題
傾きが 、 の粗い斜面の下端で、物体に斜面に沿って上向きの初速度 を与えた。物体と斜面の間の動摩擦係数を 、重力加速度の大きさを とする。
(1) 物体が斜面に沿って上る距離を求めよ。
(2) そのときの高さ(斜面の下端からの)を求めよ。
ヒントを見る
駆け上がって止まるまでに、初めの運動エネルギーは「位置エネルギーの増加」と「摩擦で失う分」の 2 つに使われる。斜面に沿った距離 L で立式し、h=L sinθ で高さに直そう。
解答・解説
方針
初めの運動エネルギーが、位置エネルギーの増加と摩擦の負の仕事に使われて速さ 0 になる。½mv²=mgh+μ'mg cosθ·L、h=L sinθ を使う。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 上りでは、重力成分も摩擦も両方ブレーキになる。初めの運動エネルギーが、位置エネルギーの増加と摩擦が奪うエネルギーの 2 つに使い尽くされて、速さ で止まる。
エネルギーの帳簿を、斜面に沿った距離 で立てる。
① エネルギー収支を立てる。
高さは 、摩擦のエネルギーは 。
両辺の を消して でくくると
② L と h を求める。
なので
まとめ もし摩擦がなければ だけで 上れたはず。摩擦がある分、 しか上れない。差の分のエネルギーが摩擦熱に消えた。「上り」は重力も摩擦もブレーキ、「下り」は重力が加速・摩擦がブレーキ — 前単元の摩擦斜面の往復と同じ構造が、エネルギーの言葉でも現れる。
答
(1) (約 ) (2) (約 )
別解
運動方程式で解くルート(検算)。 上りの加速度(減速)は 。時間を含まない公式で
同じ答え。エネルギー収支 の右辺は、実は ()そのもの。 で 2 つの解法がつながっている。
ポイント
- 上り: 運動エネルギー=位置エネルギー増加+摩擦のエネルギー
- ½v²=gL(sinθ+μ'cosθ)、h=L sinθ
- 摩擦がある分、なめらかなときより上れない
よくある間違い
- 摩擦のエネルギーを μ'mg·L(斜面で N=mg cosθ を忘れ)とする
- 位置エネルギーの増加を忘れて摩擦だけで立式する
- L と h を混同する(L が斜面に沿った距離、h=L sinθ が高さ)