物理基礎 / 仕事と力学的エネルギー

なめらかな曲面上の運動(ジェットコースター)

★★★ 応用力学的エネルギー保存曲面

問題

なめらかな曲面上を小球が滑る。小球を高さ の点 A で静かに放した。空気抵抗は無視でき、重力加速度の大きさを とする。

AB最下点5.02.0
なめらかな曲面。A(5.0 m)から放し、B(2.0 m)を通る。最下点で最速

(1) 高さ の点 B での速さを求めよ。

(2) 途中の最下点(高さ )での速さは、B での速さより大きいか小さいか。理由とともに答えよ。

ヒントを見る

曲面がどんな形でも、なめらかなら垂直抗力は仕事をしない。だから 2 点間の速さは高さの差だけで決まる。A と B の高さの差に注目しよう。

解答・解説

方針

なめらかな曲面では垂直抗力が仕事をせず力学的エネルギー保存。曲面の形によらず、2 点の高さの差だけで速さの関係が決まる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 曲面はうねっていて複雑に見えるが、なめらかなら垂直抗力は運動方向に垂直で仕事をしない。仕事をするのは重力だけだから、力学的エネルギーが保存する。

すると、曲面の形がどうであれ、2 点の高さの差だけで速さが決まる。斜面や振り子と同じ原理だ。

① B での速さ。

A(高さ 、速さ )と B(高さ 、速さ )で力学的エネルギー保存。

両辺の を消して整理すると

② 最下点との比較。

最下点は B より低い(位置エネルギーが小さい)。エネルギーの総和は一定だから、位置エネルギーが小さい点ほど運動エネルギーが大きい=速さが大きい。よって最下点の方が速い。

まとめ 「低い所ほど速い」— 位置エネルギーと運動エネルギーがシーソーのように入れ替わる。ジェットコースターが谷底で最速になるのはこのためだ。速さは高さだけで決まるので、同じ高さの点ならどこでも速さは同じ(たとえ登り坂の途中でも)。

(1) (約 ) (2) 最下点の方が大きい。低い点ほど位置エネルギーが小さく、そのぶん運動エネルギーが大きいから

別解

基準を最下点にとって考えるルート(見通しよく)。 最下点を高さ の基準にすると、全エネルギーは A で 。どの点でも

  • B(高さ ):
  • 最下点(高さ ):

高さが低いほど右辺(=運動エネルギー)が大きく、速さも大きい、と数式で一目瞭然になる。

ポイント

  • なめらかな曲面=垂直抗力の仕事ゼロ=力学的エネルギー保存
  • 速さは高さの差だけで決まる(曲面の形によらない)
  • 低い点ほど速い(位置と運動のエネルギーのシーソー)

よくある間違い

  • 曲面の形や経路の長さが必要だと思う(高さだけで決まる)
  • 垂直抗力の仕事を式に入れる(運動に垂直で仕事ゼロ)
  • B の式で位置エネルギーの差でなく B の高さそのものを使う(A との差 3.0 m を使う)