数学B / 漸化式と数学的帰納法
漸化式が保つ性質(奇数・互いに素)
問題
数列 を 、、 で定める。
(1) すべての項が奇数であることを示せ。
(2) 隣り合う2項 は互いに素であることを示せ。
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(1) 漸化式を偶奇(2で割った余り)の世界で読むと、各項の偶奇はどう決まっていくか。(2) 隣接2項の公約数 は、漸化式を逆向きに使うと、1つ前のペアについて何を割り切るか — 降りていった先に何があるか。
解答・解説
方針
(1)は偶奇だけ追う帰納法: 4a_{n+1} は偶数だから a_{n+2} の偶奇は a_n の偶奇の反対…ではなく「偶−奇=奇」で決まる。(2)は互除法の精神: d が a_{n+2} と a_{n+1} を割るなら a_n=4a_{n+1}−a_{n+2} も割る — 公約数が階段を1段ずつ降りて、最後は gcd(a₂,a₁)=1 に突き当たる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 (1)は値でなく偶奇だけを追えばよい。 はつねに偶数だから、 の偶奇は の偶奇だけで決まる(偶−奇=奇)。出発点の2つが奇数なら、奇数であることが遺伝していく。
(2)は互除法の精神だ。隣接2項の公約数 は、漸化式を と逆向きに読むと、1つ前のペア の公約数でもある。
つまり公約数は階段を1段ずつ降りる。最後に に突き当たって、 が確定する。
① (1) 偶奇の帰納法。 はともに奇数。 が奇数と仮定すると
よって2段仮定の帰納法により、すべての項が奇数である。
② (2) 公約数を降ろす。 を と の正の公約数とする。漸化式から
で、右辺は の倍数の差だから 。つまり は の公約数でもある。
③ 底に突き当てる。 ②を繰り返すと、 は の公約数まで降りる。 だから — すなわち、どの隣り合う2項も互いに素である。
まとめ: 帰納法は「性質の遺伝」を確かめる道具 — (1)は偶奇が、(2)は公約数が、漸化式の階段をどう伝わるかを見た。とくに(2)の「公約数を漸化式で1段ずつ降ろして初期値に突き当てる」論法は、整数係数の漸化式全般で使える強力な型だ。
発展 — 一歩先へ。 別解の恒等式 は、隣接2項のペア が双曲線 の上の格子点を渡り歩いていることを意味する。 — 漸化式とは「曲線上の格子点を次々生む機械」でもある。ペル方程式(整数の単元)で同じ構図に再会するはずだ。
(1) 2段仮定の帰納法(偶奇) (2) 公約数が漸化式を遡って に到達する(証明)
別解
不変量で一撃(2つの小問がつながる)。 この漸化式には、変わらない量が隠れている。 とおいて、1歩進めてみる:
(展開すると と などが打ち消し合う。)つまり は不変量で、 から
ここから(2)が一撃で出る。 が と をともに割るなら、左辺は の倍数、よって 、。
……と言いたいところだが、 から言えるのは (整数の平方で2を割るのは1だけ)。さらに(1)の「全項奇数」を使えば かつ 奇数からも が出る。(1)の偶奇と(2)の互いに素が、1本の恒等式の上で握手する構図だ。
漸化式で「変わらない量」を探す目は、この単元の最終兵器のひとつ。カッシーニの恒等式(フィボナッチの )と同じ血筋の議論だ。
ポイント
- 偶奇: 偶(4a)−奇(a)=奇 が2段仮定で遺伝。
- なら 。
- 降りた先 で 。
よくある間違い
- (1)で「偶数 から奇数 を引くと偶数」と符号の錯覚をする(偶 奇 奇)。2で割った余りの表で確かめれば一瞬。
- (2)の降下の向きを取り違える。必要なのは「」(遡る向き)で、根拠は 。
- (1)の偶奇の帰納で、出発点を だけにする( の偶奇は に依存するので、奇数番と偶数番の2系列とも出発点が要る)。