数学B / 漸化式と数学的帰納法
2倍角が生む周期3の数列
問題
数列 を 、 で定める。
(1) すべての自然数 について が成り立つことを、数学的帰納法で示せ。
(2) すべての自然数 について が成り立つことを示せ。
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初項の形 が最大のヒント — を漸化式に入れると は何になるか。角が毎回何倍になるかが見えれば、(2)は「7を法とした角の巡回」の話になる。
解答・解説
方針
漸化式 4a(1−a) は、a=sin²φ とおくと 4sin²φcos²φ=sin²2φ — 「2倍角の公式の変装」だと見抜くのが核心。(1)は帰納法でこの置き換えを固定し、(2)は角が 2倍ずつ進むこと(π/7 → 2π/7 → 4π/7 → 8π/7)と sin²(8π/7)=sin²(π/7) で一周する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 漸化式 は、多項式のまま追うと2乗のたびに次数が倍増して破綻する。
手がかりは初項の形 だ。 とおいて漸化式に入れると
この漸化式は倍角の公式の変装で、角を2倍にする操作だった。すると と当たりがつき、(1)は帰納法で固定できる。
(2)は角の列 が、 の世界では3歩で一周すること( が鍵)を見ればよい。
① (1) を帰納法で示す。 : ✓。 で と仮定すると、 として
よって でも成り立ち、すべての で成立する。
② 角の一周((2)の鍵)。 だから
③ (2) を示す。 (1)より
ここで で、 は の整数倍だから の値を変えない。よって
すなわち数列は周期3で循環する(実際 は相異なるので、周期はちょうど3)。
まとめ: 「初項の形が置き換えを指名する」— で始まる2次の漸化式は倍角の変装、という翻訳が全て。倍角=角の2倍化、周期性=(mod 7 の世界)という2つの顔が、ひとつの数列の上で重なっている。
発展 — 一歩先へ。 巡回する3つの値 の和はちょうど になる( から)。また、写像 はロジスティック写像と呼ばれ、ほんの少し初期値をずらすと軌道が指数的に離れていく「カオス」の代表例。 の置き換えは、その混沌の中に潜む規則軌道(周期3)を釣り上げる竿になっている。
(1) 帰納法+倍角の公式(証明) (2) から周期3(証明)
別解
指数を で割った余りで追う(巡回の正体)。 角の分子だけを見ると、列は と倍々に進む。ここで の値は、 を で割った余りだけで決まる( が 増えると角は 増え、)。
だから見るべきは を で割った余りの列:
だから、余りは の3周期で巡回する。これがそのまま だ。
(2)の「周期3」の正体は、 を法とした の位数が だという整数の事実。三角関数の顔をした問題の心臓部に、合同式が住んでいる。整数の単元で学ぶ「 の余りの周期」と、まったく同じものが動いている。
ポイント
- で (倍角の変装)。
- 帰納法で 。
- から周期3。
よくある間違い
- (2)を数値の近似で「ほぼ同じ」と述べる。 は と による厳密な等式。
- 帰納法の段で、角の対応( が になる)を書かずに式だけ進める。
- 「周期はちょうど3」と主張するのに が相異なることの確認を落とす(問題の要求が「」だけなら不要だが、「周期3」と言い切るなら要る)。