数学B / 漸化式と数学的帰納法
特性方程式型(分数の係数)
問題
、 で定まる数列 の一般項を求めよ。
ヒントを見る
係数が分数でも『何倍かして定数を足す』型の攻め方は同じ。両辺から同じ数を引いて等比に直す — その数の見つけ方を思い出そう。
解答・解説
方針
特性方程式 を解いて 。 と変形し、 を公比 の等比数列とみる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 — 掛けて、足す。 の形だ。
係数が分数でも、特性方程式型の手順は ミリも変わらない。
これを解くと 。
が、公比 の等比数列になる。
「分数だから難しそう」と身構えないことだ。 が でも でも でも、やることは同じ — 不動点 を求めて、そこからのズレを追う。
型が同じなら、手順も同じ。 これを確認するのが、この問題の役目である。
① 特性方程式を解く。 より 、。
② を引いて等比の形に。
③ 置きかえる。 とおくと公比 の等比数列。初項 。
④ に戻す。
まとめ:係数 でも流れは変わらない。特性方程式で を出し、 を公比 の等比数列とみる。 が大きくなると は に近づく(不動点に収束する)。
発展 — 一歩先へ。 「どこから始めても、同じところに落ち着く」— この性質は、実は数学の強力な定理につながっている。
電卓で実験してみよう。
好きな数を入れて(単位はラジアン)、 ボタンを何度も押す。
押し続けると、どんな数から始めても
に落ち着く。
これが の不動点だ。
(ドッティ数と呼ばれる)。
なぜ収束するのか。 この問題と同じ理屈である。不動点の近くで、 は距離を縮めるからだ()。
ズレが毎回縮む → 不動点に吸い寄せられる。
この問題では、縮む割合が だった。 の場合は約 倍。 未満でありさえすれば、必ず収束する。
これを縮小写像の原理(バナッハの不動点定理)という。
この定理は、現代数学の屋台骨である。
- 方程式の解の存在証明: 「解がある」ことを、繰り返しの収束から示す
- 微分方程式の解の一意性: 解がただ つであることの根拠
- GPS の位置計算: 繰り返し補正して、真の位置に収束させる
- 機械学習: パラメータを繰り返し更新し、最適値へ近づける
「繰り返せば、答えにたどり着く」 — コンピュータが方程式を解く方法は、突き詰めればこれだ。
を何度も繰り返すと に着く。 その素朴な事実の中に、数値計算のすべての原理が入っている。
(すなわち )
別解
「 に吸い寄せられていく」— ズレの視点で見る。
まず、実際に項を出してみよう。
に近づいている。 しかも、 との差がきれいに半分ずつになっている。
この という数の正体は何か。
「動かない値」だ。 もし なら
ずっと のまま。 これを不動点という。
ズレを追う。 とおくと
ズレは、毎回きっかり半分。 初項は だから
不動点に足し戻す。
本解と同じ答え ✓
この見方の面白さ。
さっき見た も、不動点は だった。 だが、そこではズレが 倍ずつ拡大し、数列は から吹き飛んでいった。
今回は、ズレが半分ずつ縮小する。 どんな初項から始めても、必ず に近づく。
どこから始めても、行き先は 。
係数 の大きさが、運命を決める。 と の違いが、「吸い寄せる」と「突き放す」の違いになる。
すり鉢の底に落ちるビー玉と、鉛筆の先で立とうとするビー玉。 同じ「不動点」でも、性格は正反対なのだ。
ポイント
- 分数係数でも特性方程式で を求める。
- が公比 の等比数列。
よくある間違い
- 特性方程式 の移項で を としてしまう。両辺を 倍して
- の初項を のままにする。等比になるのは なので、初項は
- の指数整理で とすべきところを と誤る。 を忘れない