数学B / 漸化式と数学的帰納法
等比型(分数の公比)
問題
、 で定まる数列 の一般項を求めよ。
ヒントを見る
公比が より小さい等比数列。一般項を書いたあと、初項も公比も の累乗であることを使うと、指数 つにまとまってきれいになる。
解答・解説
方針
公比 の等比数列。一般項に入れ、指数を整理する。 にそろえると指数が見やすい。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 — 毎回、半分になる。
公比が の等比数列だ。 公比が分数でも、型はまったく同じである。
書き出してみよう。
減っていくが、 にはならない。 半分にし続けても、いつまでも正の数が残る。
一般項は公式どおり。
これで答えは出ている。 だが、、 と、底を にそろえると、指数の足し算だけできれいに整理できる。
「底をそろえて、指数で勝負する。」 指数計算の基本の作法だ。
① 一般項を書く。 初項 、公比 。
② 指数を でそろえる。 、。
まとめ:公比が分数でも手順は同じ。 のままでもよいが、 の累乗にそろえると とすっきりする。
発展 — 一歩先へ。 「半分ずつ減る」— この数列は、自然界のいたるところに現れる。
放射性物質の崩壊。
放射性炭素 は、 年ごとに量が半分になる。この 年を半減期という。
この問題と、まったく同じ漸化式だ。
ここから、考古学の道具が生まれる。
生きている生物は、大気中の を取り込み続けるので、体内の濃度は一定に保たれる。死ぬと取り込みが止まり、あとは半分ずつ減っていくだけ。
だから、残っている の量を測れば、死んでからの時間が分かる。
- 残り → 年前
- 残り → 年前
- 残り → 年前
残り なら、 年前だ。
放射性炭素年代測定と呼ばれるこの方法で、遺跡の年代が特定されてきた。ラスコー洞窟の壁画も、ツタンカーメンの棺も、この計算で年代が決まっている。
なぜ「半分」が基準なのか。
にならないからだ。指数関数的な減少は、決して に到達しない。 だから「全部なくなるまでの時間」は定義できない。
代わりに「半分になるまでの時間」を使う。 そしてこの時間は、いつ測り始めても同じである( も も、同じ ステップ)。
この"いつでも同じ"という性質が、時計として使える理由だ。
同じ構造は、薬にもある。 血液中の薬の濃度も、半減期に従って減る。「 日 回」という服用間隔は、この計算から決まっている。
。 この 行が、 万年前の炭を「時計」に変えた。
(すなわち )
別解
「指数の部分だけ」を数列として見る。
数列を、すべて の累乗で書き直そう。
指数だけを取り出して、並べる。
ずつ減る、ただの等差数列だ!
指数の数列を とおく。 初項 、公差 だから
もとに戻す。
本解と同じ答え ✓
確かめる。 で ✓、 で ✓、 で ✓
なぜ、こんなにうまくいくのか。
掛け算は、指数の世界では足し算になる。
だから
「 倍する」が、「指数から 引く」に翻訳された。
これは、対数の考え方そのものである。
対数をとると、掛け算が足し算に、等比が等差に化ける。
この翻訳の威力。
「 を 回掛ける」という掛け算の計算が、「 から ずつ引く」という足し算の計算になる。間違いようがない。
指数計算に自信がないときほど、この見方が助けになる。 指数だけを見れば、そこにあるのは中学生でも分かる等差数列だ。
掛け算の世界と、足し算の世界。 対数は、その つをつなぐ翻訳機なのだ。
ポイント
- 公比 の等比数列。
- の累乗にそろえると指数が整理できる。
よくある間違い
- としてしまう。逆数の累乗は で、指数の符号が変わる
- の指数の足し算で、 を と符号を誤る
- 公比が より小さいので「やがて になる」と考えてしまう。半分にし続けても にはならず、 に近づくだけ