数学B / 漸化式と数学的帰納法
等比数列と見抜く
問題
、 で定まる数列 の一般項を求めよ。
ヒントを見る
比が一定、という条件が数列の名前を教えてくれる。あとは公式どおり。
解答・解説
方針
は「比がつねに 」、つまり公比 の等比数列。初項 、公比 の一般項を書く。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 — 比が、いつでも で一定。
「比が一定」なら、等比数列である。
分母を払えば、見慣れた形に戻る。
差の形が等差だったように、比の形は等比だ。
- (差が一定)→ 等差
- (比が一定)→ 等比
引き算か、割り算か。 ここを読み取れば、型は決まる。まず分母を払って、いつもの形に直そう。
① 型を見抜く。 (比が一定)なので、公比 の等比数列。
② 一般項を書く。 初項 、公比 。
まとめ:漸化式が「比 = 一定」の形なら等比数列。公比はその値。等差の「差」に対して、等比は「比」を見る、と対にして覚える。
発展 — 一歩先へ。 「比が一定かどうか」を見る目は、現実のデータを読むときに効いてくる。
感染症の広がりを考えよう。
人の感染者が、平均して 人にうつすとする( を実効再生産数という)。
世代ごとの感染者数は
まさに、この問題の漸化式だ。
なら、 人から始まって
世代で 倍。 これが「指数関数的増加」の恐ろしさである。
では、 を 未満にできたら?
減っていく。 やがて に近づく(収束する)。
が、運命の分かれ目だ。 が か かで、結果は正反対になる。
この という境目こそが、対策の目標になる。
同じ構造が、あちこちにある。
- 人口: 組の夫婦から生まれる子が平均 人未満なら、人口は減る
- 核分裂: 個の中性子が次に 個以上を生むかどうかが、臨界の条件
- 投資: 年利 なら 。複利は等比数列である
「比を見る」ことの意味。
差(増えた人数)を見ると「先週より 人増えた」で終わる。比を見ると「 倍になった」と分かり、来週の予測ができる。
等比数列の見方を持っている人は、変化のスピードそのものを読める。
別解
「比の積」で一気に求める。
比が与えられているのだから、比をそのまま掛け合わせてみよう。
分子と分母が、次々に約分される。
残るのは両端だけ。 望遠鏡を畳むように、途中がすべて消える(等差のときは差の"和"で消えた。等比では比の"積"で消える)。
一方、各因子はすべて である。 因子は 個。
公式と同じ答え。
さらに、この式を別の形に書き直してみる。
の形になった。
この形が語ること。 は、指数関数 の、 での値である。
等差数列が 次関数( 直線)の飛び飛びの値だったのと、ちょうど対をなす。
- 等差数列 次関数(まっすぐ増える)
- 等比数列 指数関数(加速して増える)
どちらの表示を使うか。
値はまったく同じ。 前者は「初項 公比の累乗」という数列の顔、後者は「指数関数」という関数の顔である。
確かめる。 で ✓、 で ✓
つの数列に、 つの顔がある。 場面に応じて、見やすいほうを使えばよい。
ポイント
- 比が一定 → 等比数列(その値が公比)。
- 。
よくある間違い
- を「差が 」と読み違え、等差としてしまう。分数の形は"比"を表す
- としてしまう( で になる)。掛ける回数は 回
- 比が一定と分かった時点で、 と初項を忘れる。初項 を必ず前に掛ける