数学B / 漸化式と数学的帰納法
特性方程式型(基本)
問題
、 で定まる数列 の一般項を求めよ。
ヒントを見る
『 倍して定数を足す』型には、両辺から同じ数を引いて『何かの等比数列』に変形する方法がある。その『同じ数』の見つけ方を思い出そう。
解答・解説
方針
の型。特性方程式 を解いて 。両辺から を引くと となり、 が等比数列になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 — 掛けてから、さらに足している。
等差でも等比でもない。だが、書き出すと正体が見える。
各項に を足してみよう。
きれいな の累乗になった!
つまり は等比数列である。 だけずらすと、等比に化けるわけだ。
なぜ なのか。 その を機械的に見つける道具が特性方程式だ。 を解くと 。この を引く( を足す)と、余計な定数が消える。
「ズレを吸収して等比にする」 — これが特性方程式型の核心である。
① 特性方程式を解く。 より 。
② を引いて等比の形にする。
③ 置きかえて等比数列にする。 とおくと 。初項 。
④ に戻す。 。
まとめ:()は「特性方程式で を出す → を等比数列とみる」。 は「動かない値(不動点)」で、そこからのズレが等比的に変化する、というイメージだ。
発展 — 一歩先へ。 という数列は、パズルの世界で有名だ。
ハノイの塔。
本の柱があり、 本目に大きさの違う円盤が 枚、大きい順に積んである。これを別の柱へ移す。ただし
- 回に動かせるのは 枚
- 小さい円盤の上に、大きい円盤を置いてはいけない
最小の手数は何回か。
枚のときの最小手数を とする。 移す手順を考えると、必ずこうなる。
この問題の漸化式そのものだ!
だから
枚なら 手、 枚なら 手。
伝説によれば — インドの寺院に 枚の黄金の円盤があり、僧侶がこれを移し終えたとき世界が終わる、という。
秒に 手動かしても、約 億年かかる。 宇宙の年齢( 億年)の 倍以上だ。世界の終わりは、当分こない。
この数列 は、メルセンヌ数と呼ばれる。 が素数のとき も素数になることがあり、知られている最大の素数はすべてこの形をしている( 年時点の最大は 、 万桁超)。
。 この短いルールが、パズルの手数と、人類が知る最大の素数の両方を生んでいる。
別解
特性方程式を使わずに、「差をとって定数を消す」。
邪魔なのは、末尾の だ。 この定数さえ消えれば、話は簡単になる。
定数を消す常套手段が「引き算」である。
漸化式を つ並べる。
辺々を引く。
が消えた! 定数どうしが打ち消し合ったからだ。
ここで、差を新しい数列と見る。
すると
は公比 の等比数列だ。
初項を求める。 、 だから
差が分かったので、階差型として復元する。 で
等比数列の和。
でも で合う ✓
本解と同じ答えにたどり着いた。
つの道を比べてみる。
- 本解(特性方程式): ズレの基準点 を見つけ、 を等比にする
- 別解(階差): 式を引いて定数を消し、差 を等比にする
どちらも「等比数列に持ち込む」点は同じ。 違うのは何を等比にするかだ。本解は「ズレ」、別解は「差」を等比にしている。
別解の強み。 特性方程式を覚えていなくても、定数が邪魔なら引き算で消すという一般的な発想だけで解ける。この発想は、 項間漸化式など、もっと難しい型でも通用する。
ポイント
- 特性方程式 で を求める。
- が公比 の等比数列になる。
よくある間違い
- 特性方程式を と書いてしまい、定数項 を落とす。特性方程式は「 も も に置き換えた式」なので、定数はそのまま残る
- を求めたあと、 の初項を のままにする。等比数列になるのは なので、初項は
- 最後に を戻し忘れて で終える。求めたのは であって ではない