数学B / 漸化式と数学的帰納法

等比型の漸化式

★ 基礎漸化式等比数列

問題

で定まる数列 の一般項を求めよ。

ヒントを見る

『前の項に同じ数をかける』形。これもよく知っている数列 — どちらの基本数列かを見抜くのが第一歩。

解答・解説

方針

は「となりの項が 倍になる」、つまり公比 の等比数列。初項 、公比 の一般項を書く。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 前問は「足す」型だった。今度は 「掛ける」型だ。

書き出してみる。

毎回 倍。これは等比数列である。

漸化式の第一関門は、この 択だ。

  • 足す → 等差
  • 掛ける → 等比

か。 ここを見誤らなければ、あとは公式に乗せるだけである。

公式 は公比 の等比数列。一般項

① 型を見抜く。 は「毎回 倍」なので、公比 の等比数列。

② 一般項を書く。 初項 、公比

まとめ: を見たら等比数列。公比はその 。等比の一般項に入れるだけだ。

発展 — 一歩先へ。 「毎回 倍」は、たった 行のルールだ。しかし、その増え方は人間の直感を裏切る。

有名な逸話がある。

チェス盤の マス目に米を 粒、 マス目に 粒、 マス目に 粒 — 前のマスの を置いていく。 マス目には何粒か。

全部の合計は

京粒。 重さにすると数千億トンで、人類が数千年かけて作る米の総量を超える。

「毎回 倍」を 回繰り返すだけで、こうなる。

なぜ直感が外れるのか。 人間の感覚は足し算的にできている。「 万円ずつ増える」なら 年で 万円と見当がつく。

だが掛け算的な増加は、 桁ずつ桁が増えていく。 が線形に増えると、桁数が線形に増える — 値そのものは爆発する。

回倍にするごとに、約 倍。

この感覚は、現代を生きるうえで必須である。

  • 複利: 年利 なら約 年で 倍( の法則)
  • 感染症: 人が 人にうつせば、 世代で 人超
  • 半導体: 「 年で 倍」(ムーアの法則)を 年続けた結果が、今のスマホだ

この 行が、爆発の正体である。

別解

公式を使わず、「 を何回掛けたか」を数える。

漸化式 を、 から順にさかのぼってみよう。

その も、 である。代入する。

もう一度。

規則が見える。

回さかのぼると、 個出る。

どこまでさかのぼる? 分かっているのは だけだから、 まで。

公式と同じ答え。

この方法の利点は、 という指数が"数えた結果"として出てくることだ。

公式を丸暗記していると「 だったか だったか」で必ず迷う。しかしさかのぼって数えれば、迷いようがない。

具体例で確かめる。 は?

矢印は 本。 つまり 倍を 回。

項までに、 倍は 回。 初項はまだ 度も掛けられていないからだ。

これは「植木算」と同じ構造である。 木が 本並ぶとき、木と木のあいだは か所。項が 個なら、掛け算は 回。

ポイント

  • は公比 の等比数列。
  • に代入。

よくある間違い

  • としてしまう( になり、初項 に合わない)。掛ける回数は
  • を「 を足す」と読み違え、等差として としてしまう
  • 初項 を忘れて とする。等比数列は「初項 公比の累乗」であって、公比の累乗だけではない